Fragment Design(フラグメント デザイン)は、日本のストリートファッションシーンを代表するブランドのひとつで、デザイナーである藤原ヒロシによって1988年に設立されました。Fragment Designは、アート、音楽、ファッションを融合させたシンプルかつ洗練されたデザインが特徴で、特に「稲妻」ロゴで広く知られています。藤原は「ストリートファッション界のゴッドファーザー」として、世界のファッションやカルチャーに多大な影響を与えてきました。
Fragment Designの歴史
1980年代後半:Fragment Designの始まり(1988年〜1990年)
- 設立と初期の活動: 1988年にFragment Designを設立した藤原ヒロシは、すでに日本のヒップホップやクラブカルチャーで大きな影響力を持っていました。音楽とファッションを融合した新しいスタイルを提案する彼は、アメリカやイギリスのストリートファッションをいち早く取り入れ、それを日本独自の視点で再解釈しました。初期のFragment Designは、デザインというよりも、藤原が手がけたプロジェクトやコラボレーションを表すプラットフォーム的な存在でした。
- 音楽との関わり: 音楽を通じて広がるネットワークが、藤原のファッションブランドとしてのFragment Designにも大きな影響を与え、ミュージシャンやファッションアイコンがFragmentのアイテムを身につけることで、ブランドの存在が次第に広がっていきました。
1990年代:ストリートカルチャーの急成長とFragment Designの確立(1990年〜1999年)
- ストリートカルチャーとファッションの融合: 1990年代は日本のストリートファッションが大きく発展した時代で、藤原ヒロシのFragment Designはその中心的存在となりました。彼のアメリカ、ヨーロッパとのコネクションが、国内に新たなカルチャーを持ち込む役割を果たし、Fragmentはそれを象徴するブランドとなりました。
- A Bathing ApeやGoodenoughなどの活動: 藤原は自身のブランドだけでなく、A Bathing Ape(BAPE)の設立にも携わり、さらに「Goodenough」というブランドもプロデュースしました。Goodenoughは日本初のストリートブランドのひとつとされ、ストリートカルチャーの象徴的な存在に成長しました。Fragment Designの影響力も、この時期にさらに拡大しました。
- シンプルで洗練されたデザイン: Fragmentのデザインはミニマリズムを重視し、過剰な装飾を控えたシンプルなスタイルが特徴です。これが当時の日本のストリートシーンにおいて、他のブランドとは異なる存在感を放つ要因となりました。
2000年代:グローバルなコラボレーションの時代(2000年〜2010年)
- Nikeとの初のコラボレーション: 2000年代に入ると、Fragment Designは数々のブランドとコラボレーションを始め、特にナイキ(Nike)とのコラボが代表的です。2005年、Fragment Designはナイキと初のコラボレーションを行い、エア フォース 1などのクラシックなスニーカーをFragmentらしくアレンジした限定モデルを発表しました。これが大ヒットとなり、以降もFragmentとNikeのパートナーシップは続いていきました。
- 高級ブランドとの連携: Fragmentはその後、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やモンクレール(Moncler)、ラグジュアリーブランドのティファニー(Tiffany & Co.)などとのコラボレーションも展開し、ストリートファッションとラグジュアリーブランドの境界を曖昧にする存在として注目されました。藤原ヒロシのブランドは、単なる「ストリートブランド」以上の存在に進化し、ハイファッションとの関わりを深めました。
- おすすめコレクション:Nike Air Force 1 by Fragment
Fragmentがナイキと行ったAir Force 1のコラボレーションは、スニーカーファンから高い評価を受けました。シンプルでありながら洗練されたデザイン、Fragmentのアイコニックな「稲妻」ロゴが施されている点が特徴です。
2010年代:ストリートとラグジュアリーの融合(2010年〜2020年)
- 継続するコラボレーション: 2010年代は、Fragment DesignがNike、Converse、Undercover、Starbucks、The North Faceなど、様々な分野のブランドと継続的にコラボレーションを行い、その影響力をさらに拡大しました。特に、Nikeとの「Fragment x Jordan」コレクションは、世界中で即完売するほどの人気を博し、スニーカーヘッズやファッションファンから熱い支持を受けました。
- シグネチャーシリーズ「Fragment x Jordan」
2014年に発表された「Fragment x Jordan 1」は、Fragment Designを象徴するアイテムのひとつです。ブルー、ホワイト、ブラックのカラーブロッキングが特徴的で、クラシックなエアジョーダン 1のシルエットに、Fragment Designの「稲妻」ロゴが追加されており、ストリートファッションとバスケットボールカルチャーの融合を象徴しています。このコラボレーションは、ファッション業界においてコレクターズアイテムとして評価されました。 - 他の注目コラボ:ルイ・ヴィトンやモンクレールとの協業
2017年、藤原ヒロシはルイ・ヴィトンとのコラボレーションで話題を呼びました。彼のシンプルかつ洗練されたスタイルが、ルイ・ヴィトンの高級感と見事に調和し、ストリートファッションとラグジュアリーファッションの融合の象徴とされました。また、モンクレールとも「Moncler Genius」プロジェクトで共同プロジェクトを展開し、機能的でスタイリッシュなダウンジャケットを発表しました。
2020年代:新たな挑戦とグローバルな影響力(2020年〜現在)
- コロナ禍におけるデジタル展開: コロナ禍においてもFragmentはデジタルプラットフォームを活用し、継続して新しいアイテムを発表しました。藤原ヒロシはインタビューなどで、デジタル技術がブランド展開に不可欠なものと語っており、オンラインイベントやバーチャルコレクションの発表などを行っています。
- The Conveniの開設: 2020年には、藤原ヒロシが東京・銀座に「The Conveni」というコンセプトストアを開設し、Fragment Designのアイテムだけでなく、さまざまなブランドとのコラボレーションアイテムも販売しています。The Conveniは、藤原が日本のコンビニ文化にインスピレーションを得ており、日常とファッションを結びつける新しい形のショップとして話題を集めました。
- おすすめコレクション:Fragment x Sacai x Nike LDWaffle
2021年に発表された「Fragment x Sacai x Nike LDWaffle」は、Fragment Design、sacai、Nikeという3つのブランドのコラボレーションで実現しました。このスニーカーは、ダブルレイヤーのデザインとFragmentのシンプルな美学が融合した作品で、世界中のスニーカーファンから高い評価を受けました。
Fragment Designの今後
Fragment Designは、今後もストリートファッションとハイファッションの境界を越え、様々なブランドとのコラボレーションや新しいプロジェクトに取り組むことでしょう。藤原ヒロシの影響力と、彼のシンプルで洗練されたデザイン哲学は、今後もファッション界を刺激し続けると期待されています。