GUCCI(グッチ)は、1921年にイタリア・フィレンツェで創業されて以来、革新的でラグジュアリーなファッションを提供し続けているブランドです。長い歴史を持つGUCCIの発展には、創業者グッチオ・グッチのビジョン、数々のデザイナーの貢献、そしてファッション界のトレンドを反映した多くのコレクションが大きな役割を果たしてきました。ここでは、GUCCIの各年代ごとの歴史と、おすすめのコレクションについて詳述します。
Gucci の歴史
1920年代〜1930年代: 創業と初期の発展
GUCCIは1921年、グッチオ・グッチによって設立されました。彼は元々ロンドンの高級ホテルで働いており、そこで多くの顧客から愛される高品質な旅行鞄やトランクを目にしました。この経験をもとに、フィレンツェで高級革製品を扱う店舗を開いたのがGUCCIの始まりです。
初期のGUCCIの製品は、職人技術とイタリアの伝統的なスタイルに根ざした旅行用鞄や革製品が中心でした。特に1930年代には、GUCCIはイタリア国内で広く認知されるようになり、馬具からインスピレーションを得たデザインが人気を集めました。この時期に誕生した「ビットローファー」や「バンブーバッグ」は、現在もGUCCIのアイコン的な製品として知られています。
おすすめコレクション:
- バンブーバッグ(1947年発表)
戦後の素材不足の中で、竹を使った革新的なデザインが採用され、現在も続くGUCCIの象徴的なバッグシリーズとなりました。
1950年代〜1960年代: 国際的な成功とエレガンスの象徴
1950年代に入ると、GUCCIはイタリアを超えて国際的に拡大を始めます。特にハリウッドスターやヨーロッパの王族が愛用したことで、GUCCIのブランドイメージは一気に高まりました。1953年にはニューヨークに初の海外店舗をオープンし、GUCCIはアメリカ市場にも進出しました。
この時期、GUCCIのデザインはエレガントでありながらも日常使いできる機能性を兼ね備えており、特にモダンな女性に支持されました。ブランドの象徴的なモチーフである「ダブルG」や「ウェブストライプ」がこの時期に確立され、GUCCIのスタイルを決定付けました。
おすすめコレクション:
- ビットローファー(1953年発表)
馬具のビットにインスパイアされたデザインのローファー。高級感と実用性を兼ね備え、今も愛されるアイテムです。
1970年代〜1980年代: ブランドの多角化と挑戦の時期
1970年代に入ると、GUCCIはファッションだけでなく、香水やアクセサリー、家庭用品など、様々な分野に進出します。この時期はファッションブランドの多角化が進んだ時代で、GUCCIもその流れに乗り、ライフスタイル全般に影響を与えるブランドとして成長しました。
しかし、1980年代後半には家族経営の内部で対立が深まり、ブランドの統一感が失われてしまいます。この結果、GUCCIは財政的な困難に直面し、一時はブランドの価値が低下する事態にまで至りました。
おすすめコレクション:
- フローラ(1966年発表)
グレース・ケリーが愛用したことで知られる「フローラ」プリントは、GUCCIの象徴となる美しい花柄をあしらったアイテムです。エレガントでありながらも華やかな印象を与えるデザインが特徴です。
1990年代: トム・フォードによる再生
1990年代に入ると、GUCCIはトム・フォードをクリエイティブ・ディレクターに迎え、劇的な再生を遂げます。フォードはセクシーで挑発的なスタイルを打ち出し、GUCCIのブランドイメージを刷新しました。特に彼のデザインは、ミニマリズムとグラマラスな要素を融合させ、1990年代のファッションシーンを象徴するスタイルを確立しました。
彼の手掛けたコレクションは、革新的なカットや質感を特徴としており、GUCCIは再びファッション業界の最前線に立つことになります。フォードのビジョンは、GUCCIを若々しく、エッジの効いたブランドへと変貌させ、その影響は今も色濃く残っています。
おすすめコレクション:
- 1995年秋冬コレクション
トム・フォードが手がけたこのコレクションは、GUCCIを世界的な注目の的にしました。セクシーでモダンなデザインが特徴で、1990年代のアイコニックなスタイルの一つとされています。
2000年代: アレッサンドロ・ミケーレによる新しいビジョン
2000年代に入ると、GUCCIは一時的にトム・フォードから離れ、新しいクリエイティブディレクターを迎えますが、2015年にアレッサンドロ・ミケーレがクリエイティブディレクターに就任したことで、新たな時代が到来します。ミケーレはヴィンテージ感とモダンなエレメントを融合させたデザインで、GUCCIのファッションに新たな命を吹き込みました。
彼のデザインはジェンダーフルイドであり、多様性や自己表現を重んじる現代の価値観を反映しています。特に花柄や動物のモチーフ、ゴシックな要素を取り入れたデザインは、世界中の若者を中心に人気を集め、GUCCIは再びトレンドセッターとしての地位を確立しました。
おすすめコレクション:
- 2017年秋冬コレクション
ミケーレのビジョンが存分に発揮されたコレクションで、ヴィンテージとモダンが調和したデザインが注目を集めました。特に刺繍やアートワークが施されたアイテムが話題となりました。
2020年代: サステナビリティとデジタル展開
近年、GUCCIはサステナビリティやデジタル化にも注力しています。エコフレンドリーな素材を使ったコレクションの発表や、バーチャルファッションショーの開催など、時代の変化に合わせて柔軟に対応しています。特に2020年代に入ってからは、環境問題への意識が高まり、ファッション業界全体がサステナブルな取り組みを進める中、GUCCIもその最前線に立っています。
デジタル分野では、NFTやメタバースとの連携を図るなど、未来志向のアプローチを積極的に取り入れ、次世代の消費者に向けた新しい価値を提案しています。
おすすめコレクション:
- GUCCI Off The Grid(2020年発表)
再生可能な素材を使用し、サステナビリティを重視したコレクション。エコフレンドリーなアイテムながら、デザイン性の高いアイテムが揃っています。
GUCCIは、100年を超える歴史の中で幾度となく変革を遂げ、その度にファッション界をリードしてきました。創業者グッチオ・グッチの時代から始まり、トム・フォードやアレッサンドロ・ミケーレといった才能あるデザイナーたちによって進化を続けています。GUCCIのコレクションは、時代を超えて愛され続け、多様なスタイルや価値観を反映し、未来へと向かうファッションの潮流を作り出しています。