ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)は、元プロボクサーでありデザイナーの柳川荒士(やながわ あらし)によって2003年に設立された日本のファッションブランドです。ブランドは、洗練されたテーラリングと力強いデザインが特徴で、アンダーグラウンドからハイファッションまで幅広い層に支持されています。名前の由来は、19世紀のアメリカのプロボクサーで、初めてグローブを使ったボクシングのヘビー級チャンピオンであるジョン・ローレンス・サリバンに敬意を表したものです。ボクサーであった柳川自身の経験と、ボクシングが持つ力強さと美しさをファッションに反映したいという思いが込められています。
以下では、ジョンローレンスサリバンのブランドの歴史と、いくつかの代表的なコレクションについて詳しく紹介します。
JOHN LAWRENCE SULLIVANの歴史
1. 設立と初期の展開(2003年-2010年)
2003年に柳川荒士がジョンローレンスサリバンを設立。当時、柳川はプロボクサーとしてのキャリアを持ちながら、ファッションデザインの道に進むという異色の経歴を持っていました。ボクシングで培った強靭さや美学、そして戦う男としての精神をデザインに取り入れ、ブランドの独自性を構築します。
ブランド初期のコレクションは、特にメンズウェアに焦点を当て、力強いテーラリングが特徴的でした。スーツやコートといったフォーマルなアイテムを、現代的なシルエットや革新的な素材で再解釈するスタイルが評価され、ファッション業界で注目されました。
2. 東京から世界へ(2010年-2015年)
2010年、ジョンローレンスサリバンは東京コレクション(東京ファッションウィーク)で本格的にデビューし、国内外で大きな注目を集めます。東京コレクションでの成功を受け、ブランドは徐々に国際的な知名度を上げていきました。
2011年には、初のウィメンズコレクションを発表し、メンズウェアに加えてウィメンズウェアも手がけるようになりました。柳川のウィメンズデザインは、男性的なテーラリングとフェミニンな要素を融合させたスタイルが特徴で、斬新なアプローチが高く評価されました。
3. パリファッションウィークデビュー(2017年)
2017年、ジョンローレンスサリバンはパリファッションウィークに初めて参加し、国際的なブランドとしての地位を確固たるものにします。パリデビューは、ブランドにとって大きなターニングポイントであり、より多くのバイヤーやファッションジャーナリストに注目されました。柳川は、彼自身のバックグラウンドやボクシングの影響を明確に反映させつつ、進化し続けるコレクションを発表し、国際的な評価を獲得しました。
4. ボクシングとファッションの融合
柳川荒士のデザインにおいて、ボクシングは単なるテーマではなく、ブランド全体に影響を与える中心的な要素です。ブランド名の由来であるジョン・ローレンス・サリバンもボクシング界の偉大なチャンピオンであり、柳川はその精神を現代のファッションに投影しています。
ボクシングは、「力強さ」と「洗練さ」、そして「自己表現」を象徴しています。柳川のデザインも、これらの要素を取り入れながら、現代の男性や女性が持つ強さと個性を引き出すように作られています。
JOHN LAWRENCE SULLIVANのおすすめコレクション
1. 2014年秋冬コレクション
このコレクションでは、柳川荒士の持つボクシングの影響が色濃く反映されています。軍事的な要素やスポーツウェアのディテールを取り入れ、無骨ながらも洗練されたスタイルを構築しています。タイトなシルエットと大胆なカッティング、シャープなテーラリングが特徴で、ブランドのアイコニックなデザインスタイルを確立しました。
ウールコートやダブルブレストのジャケットにレザーや金属のアクセントを加え、力強さとエレガンスを兼ね備えたコレクションとして評価されました。また、メンズ・ウィメンズの両ラインで発表され、ジェンダーレスな美学が取り入れられた点も注目を集めました。
2. 2017年春夏コレクション
ジョンローレンスサリバンがパリファッションウィークでデビューしたこのコレクションは、ブランドの国際的な飛躍を象徴するものです。シンプルながらも力強いカラーパレット(ブラック、グレー、バーガンディなど)と、クラシカルなテーラリングをベースに、アバンギャルドな素材使いやアシンメトリーなディテールが加えられました。
このコレクションは、従来のスーツスタイルに新しい解釈を加え、パリでの観客を魅了しました。また、サテンやレザーを組み合わせたアイテムが登場し、洗練された反抗的なエレガンスが表現されています。
3. 2020年秋冬コレクション
このコレクションは、ジョンローレンスサリバンの強さと美しさを象徴するものです。クラシックなテーラードジャケットやオーバーサイズのコートに加え、バイカラーやチェック柄、パッチワークが目立つデザインが多く見られます。特に、オーバーサイズのシルエットやレザーの使用が特徴的で、モダンでパワフルな雰囲気が漂っています。
また、このコレクションでは、よりリラックスしたルックやアスレチックなディテールも取り入れられ、着やすさとモード感が両立したスタイルを展開しました。
4. 2022年春夏コレクション
2022年の春夏コレクションでは、柳川はクラシカルなテーラリングとモダンな要素を大胆に融合させました。このコレクションでは、軽やかで透け感のある素材やメタリックな要素が際立っており、ブランドのテーラリング技術をさらに進化させたデザインが特徴です。特に、ジャケットやシャツに使われた薄手のファブリックやカラーブロックのアクセントが印象的でした。
また、ジェンダーレスなシルエットが引き続き採用され、メンズとウィメンズの境界が曖昧になるようなデザインが多く取り入れられています。シャープなカッティングとエレガントな素材使いにより、現代的なファッションの新しい方向性が示されています。