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2026年のインテリアはどこへ向かうのか — ジャパンディ・バイオフィリック・素材回帰を編集部視点で読み解く

2026年のインテリアはどこへ向かうのか — ジャパンディ・バイオフィリック・素材回帰を編集部視点で読み解く

2026年のインテリアは、派手な刷新よりも静かな移行で語られる年になりました。コロナ禍以降に膨らんだ「家で過ごす時間の質」という議論は、いつの間にか流行語ではなくなり、住む人の身体感覚と素材の触れ心地に重心が戻ってきています。SNSで一斉に共有される画像的なスタイルから、その場に立ったときに体が落ち着くかどうかという、写真には写りにくい指標へと評価軸がずれてきました。ミニマリズムの成熟、ジャパンディ、バイオフィリック、ヴィンテージとモダンの混在、そしてアースカラーへの回帰。並べてみると別々の現象に見えますが、根は同じで、視覚情報を絞って素材と光と空気に意識を返す方向に空間設計が揃ってきています。編集部としても、この一年で取材した住宅やショールームの空気が、確かに数年前とは違うと感じています。

近年のインテリアを動かす5つの潮流

まずトレンドを俯瞰しておきたいと思います。2026年の住空間を観察すると、ばらばらに見える流行の裏に5つの太い流れが見えてきます。1つ目はミニマリズムの成熟です。ものを減らすこと自体が目的化していた2010年代後半とは違い、いまは「減らした先に何を置くか」が問われています。物量を絞った棚に、作家ものの陶器や古道具を1点だけ置く編集が増えました。空白は思想ではなく、置かれた一点を語るための余白として機能しています。

2つ目はジャパンディ、つまり北欧と日本の交差点で生まれる構成です。北欧の明るい光と座面の低い家具、日本の障子越しの拡散光と床座文化が、互いに違和感なく溶け合います。3つ目はバイオフィリックデザインで、観葉植物や自然光、自然素材を能動的に空間へ編集する考え方が、店舗だけでなく住宅にも本格的に降りてきました。4つ目はヴィンテージとモダンの混在で、新品の家具で揃える発想から、時間が経った素材を一点軸に据える編集へと比率が変わってきています。

5つ目は色彩面でのアースカラー回帰です。彩度の高い差し色やくすみパステルが一巡し、土・砂・苔・焼け杉といった地面に近い色が壁・床・ファブリックの基調になりつつあります。注目すべきは、これら5つが互いに排他的ではないことです。むしろ一つの住空間に重ね合わせて適用されます。たとえばジャパンディの構成にバイオフィリックな植栽を載せ、アースカラーの漆喰壁を背景にヴィンテージのチェアを置く、という組み方が現実的な落とし所として定着しつつあります。スタイル名で固定して語るより、5つの軸の比率を住む人ごとに調整するという視点のほうが、いま起きていることを正確に説明できます。

ものを減らすこと自体が目的化していた2010年代後半とは違い、いまは「減らした先に何を置くか」が問われています。

素材回帰 — 木・漆喰・リネンが主役に

2026年のインテリアで最も体感的に変わったのは素材の選び方です。ツヤのある塩ビシートやハイグロス塗装の面積が住宅から後退し、無垢の木、漆喰や珪藻土の左官壁、リネンや麻のファブリックといった、手で触れたときに温度差が出る素材が前面に出てきました。空気が乾燥した日と湿った日で表情が変わる素材を選ぶことが、空間に時間軸を持ち込む方法として再評価されています。

無垢材は、節や色味のばらつきを「ノイズ」と見るか「個性」と見るかでこの数年評価が分かれてきましたが、最近は表情のある材を歓迎する方向に揺り戻しが起きています。ナラやチェスナット、クルミ系の落ち着いた色味の家具を中心に、床と家具で樹種を変えて視覚的な対比を作る編集が目に付きます。組み立て家具一色で揃えるのではなく、椅子一脚だけでも長く使える無垢の一点を投入することで、空間全体の重心が落ち着きます。

無垢材家具を選ぶ際は素材・サイズ・既存インテリアとの相性を意識したい。各 EC モールで価格と在庫を横断的にチェックし、長く付き合えるディテールと耐久性を見極めて選びたい。

GUZ編集部レビュー3.9 / 5

経年とともに味わいが増し、傷んでも削り直せる修理可能性の高さが、一点ものの木の家具ならではの魅力です。湿度の変化で反りや割れが出やすいため、設置場所や床暖房との相性には注意が必要です。

左官仕上げの壁は、フラットなビニールクロスにはない陰影で部屋の印象を一変させます。漆喰や珪藻土は調湿性能の話題で語られがちですが、より大きな効果は光のまわり方にあり、朝と夕方で壁の色が違って見えます。施工単価は上がりますが、面積の大きい一面だけを左官にする部分採用が普及してきました。ファブリックでは、リネンとコットンリネンの混紡カーテンやベッドカバーが、ポリエステル100%の遮光カーテンに代わって寝室に入り始めています。シワや経年変化を欠点と捉えず、洗いざらしの質感を肯定する文化が、衣類の世界から住宅の世界へ確実に流れ込んでいます。

リネンファブリックを選ぶ際は素材・サイズ・既存インテリアとの相性を意識したい。各 EC モールで価格と在庫を横断的にチェックし、長く付き合えるディテールと耐久性を見極めて選びたい。

GUZ編集部レビュー3.8 / 5

適度な張りと柔らかさを兼ね備え、木の家具など硬さのある素材と合わせても優しく空間を和らげてくれます。季節ごとに掛け替える手入れの手間がかかる点は好みが分かれるところです。

木製家具を長く使うためのメンテナンスにも関心が戻り、蜜蝋系のワックスや植物オイルでの仕上げ直しを習慣化する人が増えています。年に一度のメンテナンスは、家具を所有していることを身体で再確認する儀式に近いものです。

蜜蝋ワックスを選ぶ際は素材・サイズ・既存インテリアとの相性を意識したい。各 EC モールで価格と在庫を横断的にチェックし、長く付き合えるディテールと耐久性を見極めて選びたい。

GUZ編集部レビュー3.7 / 5

木材に染み込んで自然な艶と保護膜をつくり、使うほど色合いが深まっていく点が魅力です。ただし効果を保つには年に一度程度の塗り直しが必要で、こまめな手入れを負担に感じる方には不向きです。

さらに広い視点で素材を選びたい場合は、木の質感を軸にした空間づくりの考え方もあわせて参照してみてください。樹種ごとの色の変化や、相性の良い壁・床の組み合わせを整理しています。

バイオフィリック — 自然要素を住空間に編集する

バイオフィリックデザインは2020年代前半に商業空間で広まり、2026年に入って住宅側に本格的に降りてきた潮流です。観葉植物を「飾り」ではなく「空間を構成する建材の一つ」として位置付ける考え方が中心にあります。窓から入る自然光、室内の通気、水の音、自然素材のテクスチャを束ねて、一つの環境として整える。植物が単体で映えるかではなく、その植物が部屋全体の体感温度や湿度感をどう変えるかで選ばれるようになりました。

住宅で取り入れやすいのは、まず中型の観葉植物を1〜2鉢、視線が抜ける位置に据えることです。フィカス・ウンベラータ、エバーフレッシュ、シェフレラなど、葉が大きく動きのある樹形のものが、部屋の角に置かれると視線の終点として機能します。床から天井までの高さに対して鉢込みで3分の2程度のボリュームがあると、家具との視覚的バランスが取りやすくなります。

観葉植物中型を選ぶ際は素材・サイズ・既存インテリアとの相性を意識したい。各 EC モールで価格と在庫を横断的にチェックし、長く付き合えるディテールと耐久性を見極めて選びたい。

GUZ編集部レビュー4.0 / 5

葉が大きく動きのある樹形の樹木で、部屋の角に据えると視線の終点として空間を引き締める効果が期待できます。鉢を含めた全体の高さが天井までの3分の2程度を目安に選ぶ必要があり、置き場所によっては圧迫感が出やすい点は留意したいところです。

鉢は植物以上に空間の印象を決める要素です。プラスチック鉢のまま置くと生活感が前に出るため、テラコッタやストーンウェアといった陶器鉢へのリポットをおすすめします。マットな素焼きは無垢材や漆喰壁との相性が良く、釉薬のかかった陶器はモダンな床材に対して引き締めの効果を持ちます。

陶器植木鉢を選ぶ際は素材・サイズ・既存インテリアとの相性を意識したい。各 EC モールで価格と在庫を横断的にチェックし、長く付き合えるディテールと耐久性を見極めて選びたい。

GUZ編集部レビュー3.7 / 5

プラスチック鉢からのリポットで生活感が和らぎ、素焼きなら素材感のある空間、釉薬仕上げならモダンな空間との相性が良い鉢です。水はけの良い培養土や鉢底石と組み合わせないと根腐れの原因になりやすく、セットでの導入が前提になります。

鉢底石・水はけのよい培養土・受け皿の組み合わせを整えれば、根腐れリスクも下がります。培養土は観葉植物専用に配合されたものを選ぶと、初期の活着がぐっと安定します。植物の選び方や手入れの基本については、観葉植物のインテリア選びの考え方に詳しくまとめています。日々の水やりと月一の葉水を続けるだけで、葉の艶と部屋全体の湿度感、そして光の通り方までもが驚くほど変わってきます。

バイオフィリックは「植物を増やす」ことではなく「自然との接続点を増やす」ことだと理解すると、運用が楽になります。窓辺に小さな植物を一鉢置き、麻のカーテン越しに光を拡散させ、木の家具に触れて朝のコーヒーを淹れる。その一連の動作のなかで、自分の身体が建材と自然のあいだに置かれていることに気づける状態が、目指す到達点です。

香りや音といった視覚以外の自然要素を補助的に取り込むと、空間体験の解像度がさらに一段上がります。

ジャパンディ — 北欧と日本の交差点

ジャパンディは2022年頃から雑誌で言葉として使われ始め、2026年現在は具体的な構成方法として浸透してきています。北欧家具の温かみと、日本の和室文化が持つ余白の感覚を、無理なく一つの部屋に同居させるアプローチです。鍵となるのは「視点の高さ」と「面の処理」の二つに集約できます。

視点の高さは、椅子座と床座の中間に重心を置くことで作られます。北欧チェアは座面が低めのものを、日本の和家具よりは少し高めの座卓やローテーブルを合わせます。視線が床と天井の中間あたりで安定するため、長時間過ごしても疲れにくい構成になります。面の処理では、北欧の白い壁と日本の障子に共通する「拡散光を受ける白い面」を共通言語として使います。漆喰の白壁、和紙の照明、無染色のリネンカーテンが、互いに干渉せず光の柔らかさを担保します。

素材の使い分けでは、北欧側を木・ウール・革で、日本側を竹・和紙・陶器でまとめると役割が明確になります。たとえばオーク材のダイニングチェアの座面にウールラグ、その隣に信楽の壺と和紙の行灯を置く、といった編集です。色数は3〜4色に絞り、彩度を抑えたアースカラーで統一すると、二つの文化が衝突せず一つの空気として馴染みます。ジャパンディは流行の名前というより、北欧と日本の住文化に共通する「余白を恐れない」価値観を再発見する手続きだと捉えたいところです。

ヴィンテージとモダンの混在

新品の家具で部屋を揃える発想から、ヴィンテージを一点軸に据える編集へと比率が変わってきました。2026年の住宅取材で気づくのは、20代後半から40代の住み手ほど、リビングの中心に古いチェアや古道具を一点投入し、周囲をモダンな家具で構成しているケースが多いことです。新品だけで揃えた空間が持つ「時間の浅さ」に、若い世代ほど敏感になっているように見えます。

ヴィンテージを取り入れる際の落とし穴は、すべてを古いもので埋めようとして空間が骨董市化してしまうことです。古いものは、新しいものと隣り合うことで初めて時間の厚みが視覚化されます。比率としては全体の1〜2割をヴィンテージに、残りを直線的でフラットなモダン家具にとどめると、双方が引き立ちます。素材面では、革・真鍮・無垢材といった経年で表情が育つ素材をヴィンテージ側に、スチール・ガラス・人工大理石をモダン側に振ると、新旧のコントラストが滑らかになります。

古道具屋やヴィンテージショップでの一点物探しは、ECで完結する家具選びにはない時間を体験できます。物の来歴を聞き、手で触れて、自分の生活動線に合うかを想像する作業は、所有の意味そのものを更新してくれます。古いものを使うことは、過去を懐かしむ行為ではなく、時間軸の長い視点で物と関わる姿勢の表明です。

照明器具やラグも、年代物を1点混ぜるだけで部屋の時間軸が一気に深まる領域なので、家具と並んで狙い目になります。

色彩設計 — アースカラーと深い影

2026年の色彩は、SNSで流行したくすみパステルやセージグリーンの段階を越え、より地面に近い色域へと重心が下がっています。土の色、砂の色、焼けた杉の色、苔の影。彩度を落とし、明度の幅を広く取ることで、視線が一点に集中せず空間全体に分散する設計が増えました。インフルエンサー的な「映える色」の時代から、長く一緒に暮らせる色の時代へと、住空間の色彩観は明確に世代交代しています。

具体的な配色の例を挙げると、壁を生成りの漆喰、床をオーク無垢の自然オイル仕上げ、ファブリックをオートミールとオリーブグレー、ラグをチャコールに振る構成が、いま最も外しのない組み合わせの一つです。重要なのは「深い影」を許容することで、間接照明と直接照明を組み合わせ、部屋の隅に意図的に暗がりを残します。明るく均質に照らされた空間はホテルや商業施設に任せ、住宅は時間帯ごとに表情が変わる照明設計にしたいところです。色は光と影のセットで決まる、という当たり前の事実が、ようやく住宅設計の現場でも前提として共有され始めています。

編集部の見立て — トレンドより自分の体感を優先する

ここまで5つの潮流を整理してきましたが、編集部としての結論は逆説的に「トレンドを追わないこと」です。ジャパンディもバイオフィリックも、結局のところ「自分の身体が落ち着く環境とは何か」という問いを、別の角度から言い換えているにすぎません。スタイル名で部屋を組むと、自分の生活動線と齟齬が出たときに修正がきかなくなります。

2026年に提案したいのは、まず自分が一日のなかでいちばん長く座る場所に立ち、視線の先に何があるかを観察することです。そこに余計なものがあれば外し、足りない要素があれば一点だけ足す。素材は触ったときに心地よいものを、色は朝の光のなかで疲れないものを選ぶ。観葉植物を入れるなら世話を続けられる種類を、ヴィンテージを入れるなら自分が来歴を語れる一点を選びたいところです。トレンドは判断の材料であって、答えではありません。暮らしまわりの考え方と並べて読んでいただけると、自分の住空間の次の一手が見えやすくなるはずです。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のINTERIORカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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