「東京で古着といえば高円寺」と言われるほど、この街には古着店が密集しています。JR中央線・総武線の高円寺駅を中心に、南口のパル商店街やルック商店街、北口の古着街まで、徒歩圏に80軒前後がひしめくと言われ、王道のアメリカ古着から委託販売型のヴィンテージ、レディースのレトロガーリー、ストリートやカルチャー系まで、棚の個性は実に多彩です。本記事では編集部が定点観測している実力店を、住所と営業時間つきで10店紹介します。掲載情報は変わることがあるため、訪問前に各店の最新情報をご確認ください。
サブカルの磁場で生き残る、高円寺の独立店
高円寺が古着の街として育った背景には、家賃の手頃さと、ライブハウスや劇場に集まる表現者たちの存在があります。買い切りではなく個人から服を預かって売る委託販売型のモデルがこの街で広がったことも、小資本の個人店が次々と生まれる土壌になりました。結果として、オーナーの審美眼がそのまま棚に出る独立店が、商店街ごとに積み重なっていったのです。
歩き方の目安として、南口のパル商店街からルック商店街にかけてが古着の中心軸になります。北口側にも個性的な店が点在し、築50年を超える木造テナントを再生した「キタコレビル」のように、街の空気を象徴する一角もあります。まずは大型店で相場観をつかみ、そこから路地の個人店へ分け入っていくと、価格と状態の見極めがしやすくなります。
北口側にも個性的な店が点在し、築50年を超える木造テナントを再生した「キタコレビル」のように、街の空気を象徴する一角もあります。
編集部が通う、高円寺の古着10店
BIG TIME 高円寺店 — まず相場をつかむ王道の大型店
パル商店街沿いに1階と2階の広い売り場を構え、長く東京の古着シーンを支えてきた人気店です。アメリカとヨーロッパの王道アイテムが量も年代の幅も揃っているため、高円寺で最初に立ち寄って相場の基準を作る一軒として使いやすいでしょう。デニムやミリタリー、スウェット、アウターと系統ごとに棚が整理されているので、目当てのジャンルから一気に見比べられるのが大型店ならではの利点です。価格も手に取りやすいレギュラーから年代物のスペシャルまで幅広く、初心者からベテランまで満足できます。まずここで高円寺全体の温度感をつかんでから、路地の個人店へ向かうのが効率の良い回り方です。
SAFARI 1号店 — 委託販売型ヴィンテージの草分け
2001年、当時23歳のオーナーが7坪の小箱で創業した店です。当時一般的だった買い切り型に対し、個人が手放したい服を預かって販売する委託型のモデルを高円寺で広げた草分けとして知られています。委託型ゆえに毎日のように品が入れ替わり、回転の速さと価格の手頃さが持ち味で、通うたびに棚の表情が変わります。一点ものに出会える確率が高いので、決め打ちで探すよりも、こまめに通って「掘る」楽しみを味わうのに向いています。高円寺の古着文化の根っこを知るうえでも外せない、歴史ある一軒です。
SLUT 高円寺本店 — ベルベルジン出身が手がける王道アメリカ古着
2006年、原宿の名門ヴィンテージショップ「ベルベルジン」出身のオーナーがパル商店街にオープンした店です。古き良き王道のアメリカ古着の佇まいを大切にしており、デニムやワーク、ミリタリー、スウェットといった定番を、年代や仕様の背景まで踏まえて選び抜いています。名門出身ならではの目利きの確かさが棚づくりに表れているため、一着の質や年代を重視する人に響きます。流行に流されない普遍的なアメリカ古着を、長く着ける一着として選びたいときに頼りになる一軒で、店主との会話から得られる知識も魅力です。
Small Change 高円寺 — ブリティッシュヴィンテージの代表格
スタイリストやバイヤーからの支持が厚く、ブリティッシュヴィンテージの取り扱いに長く力を入れてきた高円寺の代表的な古着店です。アメカジが中心の街にあって、英国ならではの生地感やテーラリング、ヨーロッパのワークウェアを探したいときに寄りたい一軒になります。品揃えに編集の意図がはっきり出ているため、ただ古いだけでなく、今の着こなしに落とし込める一着が見つかります。プロが仕入れに通う店だけあって、質と状態の水準が高く、人と被らない欧州古着で着こなしに深みを出したい人に向きます。系統立てて服を選びたい人にこそ訪れてほしい店です。
ハイドアウト — 北口の古着街を代表するストリート系
高円寺北口の古着街に拠点を構える、ストリート系古着の代表格として知られる店です。バイヤーがアメリカを中心に直接買い付けたヴィンテージのTシャツやデニム、ミリタリーが軸で、バンドTやムービーTなどカルチャーの匂いの濃い一着が見つかります。南口の王道店とはまた違う、高円寺のサブカルらしい尖った表情に触れたいときに足を運びたい一軒です。年代物のプリントものは状態や希少性で価値が変わるので、好きなジャンルがある人ほど掘り出し甲斐があります。北口側を歩くときの起点として使いやすい店です。
Top of the Hill 高円寺 — ユーロワークとミリタリーの玄人棚
ルック商店街エリアに本拠を構え、ヨーロッパ古着とインポートヴィンテージを軸に成長してきた店です。フランスやドイツのユーロワーク、ミリタリーをコアにしており、無骨で実用的な一着を探す人に向いています。アメカジ一辺倒ではない欧州の質実な古着が揃い、手仕事の生地感や経年変化を確かめながら選べるのが魅力です。新高円寺駅からも近く、ルック商店街の散策とあわせて立ち寄りやすい立地です。定番を長く着たい人や、ワーク・ミリタリーの本物を求める玄人に響く、腰を据えて通いたい一軒です。
JuRian — ヨーロッパ買い付けのレトロガーリー
高円寺南口の路面に構えるレディース古着店で、ヨーロッパ買い付けの古着を「レトロガーリー」というキーワードで再編集して提案する店づくりを長く続けています。甘さと品の良さを両立させた一着が見つかりやすく、ワンピースやブラウスを軸にコーディネートの主役を作りたいときに向きます。駅から徒歩1分という抜群の立地で、高円寺の古着めぐりの入り口にもしやすい店です。ヨーロッパ古着ならではの色柄や生地の上質さを生かした提案が魅力で、女性向けの一着を時間をかけて選びたい人や、レトロな雰囲気の装いを好む人におすすめの一軒です。
GROG GROG 高円寺 — 米欧買い付けの一点物レディース
アメリカとヨーロッパで現地買い付けした一点物のヴィンテージを軸に、レディース古着を中心に展開する店です。パル商店街から徒歩圏という立地で、街歩きの途中に立ち寄りやすいのも魅力でしょう。バイヤーが現地で選んだ一点ものが並ぶため、人と被りにくい個性的な一着に出会えます。米欧の両方を扱うことで、アメカジの軽快さとヨーロッパの上品さの両方から選べるのが強みです。回転のある棚なので通うほど発見が増え、自分だけのお気に入りを探す楽しみがあります。定番に飽きた人や、一点ものでコーディネートに変化をつけたい人に向く一軒です。
CA. used clothing and books — ヴィンテージスウェット偏愛の小箱
高円寺駅南口から徒歩3分のビルに居を構える、店主のヴィンテージスウェットへの偏愛で知られる古着店です。古着と本を一緒に扱う空気が高円寺らしく、量より一点の濃さで選びたいときの目的地になります。スウェットの年代によるタグや編み、プリントの違いといった細部の魅力を語れる店主のセレクトは、好きな人にはたまらない品揃えです。小箱ならではの密度の高い空間で、一着ずつじっくり向き合えるのも魅力です。ヴィンテージスウェットを軸に古着を掘り下げたい人や、本と古着が同居する高円寺らしいカルチャーを味わいたい人に響く一軒です。
即興 SOKKYOU 高円寺 — 15年目を迎えたカルチャー系の老舗
2011年にオープンし、創業から15年目に入った高円寺のカルチャー系古着店です。高架沿いの立地で、オーナーの表現活動とも結びついた独自の視点が棚に表れており、定番の古着とは異なる文脈の一着に出会えます。流行の型にはまらないセレクトは、自分のスタイルを持っている人ほど刺さります。営業は変動があり日々の告知を確認する必要がありますが、その不確かさも含めて高円寺らしい、足を運ぶたびに違う表情を見せる店です。古着を単なる服としてではなく、カルチャーの一部として楽しみたい人や、店主の世界観に共感できる一着を探す人に向く一軒です。
高円寺で古着を選ぶときの実践ポイント
古着は同じサイズ表記でも、年代と生産国で寸法が変わります。とくにアメリカ古着の「M」とヨーロッパ古着の「M」は別物になりがちなので、表記よりも実寸が頼りになります。気になる一着は必ず試着し、肩幅、着丈、身幅を、自分が普段着ている服と並べて比べると失敗が減ります。委託販売型の店では同じサイズ表記でも前の持ち主の着方で風合いが異なるため、実物の状態を一枚ずつ確かめるのがおすすめです。
状態のチェックは、襟と袖口と裾のスレ、縫製のほつれとボタンの欠け、シミや黄ばみや匂い、ファスナーの動き、という順で見ると効率的です。ヴィンテージは多少のダメージも味として価格に織り込まれているため、致命的でないかどうかだけを見極めれば十分でしょう。高円寺は店数が多く同系統の品を見比べやすいので、一店で即決せず、商店街を一巡してから決めると納得感が高まります。
半日で巡る、高円寺・古着さんぽのコース取り
駅南口を起点に、まずはパル商店街の大型店で相場をつかみ、そこからルック商店街へと南下しながら個人店をのぞいていく順番がおすすめです。レディース中心の店と王道アメカジの店が交互に現れるので、目的を絞らず歩くほど発見があります。北口側へ回れば、ストリート系の店やキタコレビルのような街の象徴的な一角にも足を延ばせます。1時間から2時間で3、4軒、半日あれば6、7軒は無理なく回れるでしょう。
荷物が増えていくので、買い物のピークを中盤に置き、後半ほど身軽に動けるよう組み立てるのがコツです。歩き疲れたら商店街の喫茶で一息つけるのも高円寺の良さですが、本記事は古着に焦点を当てているため、飲食店については別途エリアガイドを参照してください。
まとめ — 高円寺の古着は「街ごと」楽しむ
高円寺の魅力は、一軒の品揃えよりも、系統の違う店が徒歩圏に密集していること自体にあります。大型店で基準を作り、委託型や個人店で個性を拾う、この往復ができるのが東京随一の古着の街と呼ばれる理由です。本記事で紹介した10店を起点に、商店街の路地まで足を延ばしてみてください。掲載の営業時間や住所は変更される場合があるため、訪問前に各店の最新情報をご確認ください。










