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下高井戸・明大前・桜上水の古着屋 — 京王線沿いの5店

ラックに掛けられたさまざまな年代のヴィンテージ古着(下高井戸・明大前・桜上水の古着屋ガイドのイメージ)

京王線の下高井戸、明大前、桜上水は、地図の上ではおよそ1キロメートルの範囲に収まる三つの駅です。各駅停車なら隣どうしを数分で移動できますし、線路沿いの道をたどれば歩いてもつながります。古着をめぐるときに、この「ひとつの駅を出たらもう次の駅が近い」という距離感は、思っているより効いてきます。一軒で気になるものが見つからなかったとしても、次の一軒までの移動がほとんど負担にならないからです。半日の予定でも、焦らずに複数の店を見て回れます。

三つの駅に共通しているのは、生活の気配と学生の気配が同居した通りの雰囲気です。下高井戸には日本大学文理学部のキャンパスが控え、明大前という駅名がそのまま示すとおり明治大学のキャンパスも近くにあります。若い人の往来が日常的にある一方で、通りには長く続く食料品店や飲食店が並び、観光地化した古着の街とは違う落ち着きが残っています。休日でも人で埋まって歩けなくなるということがなく、一軒あたりにゆっくり時間を使えるのは、この沿線ならではの利点だと言えます。

下高井戸には、昭和31年に開設された下高井戸市場を核とした商店街があります。駅前から続く細い通りに小さな区画が連なる構造がそのまま残っていて、区画が細かいぶん一軒あたりの面積は広く取れません。その代わり、渋谷や下北沢と比べれば家賃の水準が抑えられるため、大きな資本を持たない個人が最初の一軒を構える場所として選ばれやすい土地でもあります。下北沢の古着屋のように店数そのものが多いエリアと比べれば総数では及びませんが、一軒ごとの個性の振れ幅という点では引けを取りません。

実際、2022年から2023年にかけて、20代から30代の買い付け人や作り手が独立して構えた小規模な店が、この一帯に集中して生まれました。世田谷区赤堤4丁目には Shelly’s、TEMPO、Seeds が徒歩数分の距離で固まり、桜上水側には moanin’ store、明大前には 7ession があります。駅をまたいで点在しているように見えて、実際には一本の線としてつなげて歩ける配置です。この記事では、GUZ FASHION 編集部が公開されている情報をもとに整理した五軒を、下高井戸・赤堤側と桜上水・明大前側に分けて見ていきます。

下高井戸・赤堤の古着店

Seeds — 四人の視点が並ぶ、白いカントリー風の一軒

Seeds は下高井戸駅から徒歩3分ほど、世田谷区赤堤4丁目45-13にある店です。営業時間は13時から20時まで、月曜が定休と公式のオンラインストアに記載されています。渋谷と神宮前に店を構える古着屋「muddler」に続く2店舗目として、2023年にオープンしました。

運営は mizuki さん、hiroto さん、kaiya さん、mao さんという同世代の四人体制です。店名の Seeds は「種」を四人ぶんの複数形にしたもので、誰か一人の名前や好みを看板に掲げるのではなく、四つの視点が並んで置かれている状態をそのまま名前にしたことになります。買い付けはアメリカとヨーロッパの双方で行われ、年代の古いヴィンテージから、日常的に袖を通せるレギュラー古着までが同じ空間に並びます。なかでも機能性ウェアの比率が高めに取られているのが特徴で、アウトドアやスポーツの文脈から生まれた服を、今の服装に混ぜて着る前提で選んでいる構成だと読み取れます。

もう一つ触れておきたいのが、レディースや大きめのサイズも意識して構成されている点です。古着屋は買い付けを担当する人の体格や好みがそのまま在庫に表れやすく、結果として特定のサイズ帯に偏ることが珍しくありません。四人で見ている店がサイズの幅を意識していると明言しているのは、探す側からすれば単純に選択肢が増えるという話になります。外観は白を基調としたカントリー風で、看板だけでは業種を判断しにくい佇まいですが、これは意図してそうしているとのことです。初めて向かうときは住所を地図に入れてから歩き出すと、行き過ぎずにたどり着けます。

Shelly’s — 音楽とストリートの文脈で服を並べる

Shelly’s は世田谷区赤堤4丁目36-22、電話番号は03-6379-1306です。営業は火曜から日曜の13時から20時までで、月曜が定休にあたります。Seeds から歩いてすぐの範囲にあり、赤堤4丁目という狭い区画のなかで三軒が固まっている構図の、ちょうど中心あたりに位置します。

この店が掲げている軸は「音楽とストリートカルチャーに基づいたリアルな古着」という考え方です。デッドストック、つまり倉庫などで未使用のまま残っていた在庫についても、新品として別枠で扱うのではなく、すべて古着として販売しているのが特徴として挙げられています。未使用品を古着の棚に戻すという判断は、状態の良し悪しではなく、その服が生まれた年代と場所の文脈を基準に並べていることの表れだと読めます。服を一点ずつ独立した商品として置くのではなく、どの音楽の周辺で着られていたのか、どの街の空気に属していたのかという背景ごと並べるタイプの店です。

もう一つ、地域とのつながり方にも特徴があります。近隣の作り手がつくった商品を委託というかたちで置いていて、古着以外のジャンルを扱う店とも横のつながりを持っています。赤堤のような小さな区画で複数の個人店が同時期に増えていった背景には、こうした店どうしの関係が働いている可能性があります。訪れる側から見ると、一軒の棚に古着とは別の作り手の手仕事が混ざっていることになるので、服だけを目的にして行くよりも、棚全体を眺める気持ちで行ったほうが取りこぼしが少なくて済みます。定休が月曜という点だけ、出かける前に頭に入れておきたいところです。

TEMPO — 90年代から00年代のアメリカンレギュラーとストリート

TEMPO は世田谷区赤堤4丁目36-19、UKビルの206号室にあります。番地から分かるとおり Shelly’s のほぼ隣で、この二軒は続けて見に行くのが自然な距離です。営業時間は14時から20時まで、休みは不定休とされています。

扱っているのは、オールドSTÜSSYやGAPをはじめとする、90年代から00年代にかけてのアメリカンレギュラーとストリートブランドが中心です。希少性の高い年代物だけを追いかけるのではなく、当時ごく普通に売られて、ごく普通に着られていた服を軸に据えている構成だと言えます。『MEN’S NON-NO』でスタイリストが世田谷の二軒として挙げた一軒でもあり、そこでは「ほどよく気の抜けたムード」を狙ったセレクトだと評されていました。気合いを入れて着る一着というより、日常の中に混ぜたときにうるさくならない服を探している人と噛み合う棚だと考えられます。

他の店にない要素として、店主が自身のポッドキャストを配信している点があります。店の在庫がどんな基準で選ばれているのかは、店頭の服だけを見ても分かりにくいものですが、話し言葉のかたちで発信されているものがあるなら、訪ねる前に耳を通しておくと棚の見え方が変わります。なお TEMPO は公式サイトと電話番号を公開していないため、営業しているかどうかは店のSNSで最新の投稿を確かめてから向かうのが確実です。ビルの2階にあって路面から中の様子が見えにくいぶん、この確認は省かないほうがよい手順です。

古着をめぐるときに、この「ひとつの駅を出たらもう次の駅が近い」という距離感は、思っているより効いてきます。

桜上水・明大前の古着店

moanin’ store — 服とアートと雑貨が同じ棚に並ぶ

moanin’ store は杉並区下高井戸1丁目19-7の201号室にあります。住所は杉並区ですが、最寄りは桜上水駅で徒歩2分ほど、下高井戸駅からでも徒歩8分ほどの位置です。電話番号は03-6379-2635、営業時間は平日が13時から21時まで、土日祝が12時から19時まで、火曜が定休と公式サイトに記載されています。平日の閉店が21時と遅めなので、仕事帰りに立ち寄れる時間帯が確保されているのは、この一帯では貴重な条件です。

店主はスケーターであり画家でもある原田大さんです。セレクトショップ「RAWDRIP」のメインバイヤーを務め、スケートショップ「PROV」のオリジナルデザインを手がけたのち、独立してこの店を構えました。買い付ける立場とつくる立場の両方を通ってきた経歴が、そのまま品ぞろえの幅につながっています。軸になっているのは気取らないアメリカンユーズドで、そこにアート系のスーベニア、スケート、雑貨が同じ棚の上で並ぶという構成です。ジャンルごとに売り場を分けるのではなく、同じ目線の高さで混ぜるという並べ方そのものが、この店の性格を示しています。

服以外の一点物が置かれているのも特徴で、グアテマラのハンドメイドバスケットや、カナダ在住の作家がつくったラグなどが挙げられます。古着を探しに行ったつもりが手に取るのは布物だった、という順番が起こりうる店ということです。桜上水の駅前は商業施設が集まる規模ではないため、この店を目当てに降りる人が多いと考えられますが、下高井戸から歩いても8分程度なので、赤堤の三軒を見たあとに足を伸ばす動線でも無理がありません。

7ession — 90年代アーカイブから2000年代のスポーティまで

7ession は世田谷区松原1丁目37-16、古澤ビルの2階にあります。明大前駅から徒歩2分ほど、すずらん通り沿いという分かりやすい場所です。営業時間は14時から20時まで、休みは不定休とされています。

バイヤーの井石毅さんとディレクターの佐野敦哉さんが2022年に販売を始め、2023年1月に明大前へ店を構えました。扱う範囲は幅広く、90年代のブランドアーカイブから、2000年代のアウトドアやスポーティウェア、スケートやサーフ系、さらにアニメTなどのカルチャー古着までが並びます。年代で言えばおよそ十年ぶんをまたぐ品ぞろえですが、共通しているのは、その服が当時どんな場面で着られていたのかという背景が残っているものを選んでいる点です。ブランドの名前だけを頼りに探すより、着たい場面から逆算して相談したほうが噛み合いやすい店だと考えられます。

接客を通じて関係をつくり、その人に合う古着を提案するという方針を掲げているのも、この店の性格を表しています。棚を黙って見て回りたい日には少し身構えるかもしれませんが、探しているものが漠然としている日には、この形式のほうが早く着地します。また、同世代のアーティストとグラフィックTを共同制作するなど、売る側にとどまらず制作の側にも足を伸ばしています。『MEN’S NON-NO』と『装苑』の双方で紹介されており、メンズとレディースのどちらの文脈からも見られている店だと言えます。こちらも公式サイトを持たず不定休のため、向かう前にSNSで営業日の告知を確認しておくと確実です。

この三駅をめぐるときのコツ

まず押さえておきたいのが、曜日の設計です。Seeds と Shelly’s は月曜が定休、moanin’ store は火曜が定休、TEMPO と 7ession は不定休という並びなので、五軒すべてが開いている可能性が高いのは水曜から日曜にかけてということになります。月曜に赤堤へ向かうと二軒が閉まっている計算になりますし、火曜に桜上水へ降りると目当ての一軒が休みという事態も起こりえます。営業日は変わることがあるため、この記事の情報も出発前に各店の案内で確かめてください。とくに公式サイトを持たない TEMPO と 7ession は、SNSの最新の投稿を見てから動くのが確実です。

次に時間帯です。開店が13時の店と14時の店が混ざっていて、moanin’ store だけ土日祝は12時から開いています。午前中に着いても入れる店がないため、正午前後に桜上水側から始めて、13時台に下高井戸と赤堤へ移り、14時以降に明大前へ抜けるという順番にすると待ち時間が出ません。逆向きに明大前から入る場合は、14時を過ぎてから動き始めたほうが効率がよくなります。赤堤4丁目の三軒は徒歩数分の範囲に固まっているので、この区画だけはまとめて回る前提で組むと動線が短く済みます。

もう一点、建物の造りにも触れておきます。TEMPO は206号室、7ession は2階、moanin’ store は201号室と、いずれも路面ではなく建物の中にあります。歩きながら看板を探す方法だと通り過ぎてしまうので、住所と階数まで控えてから向かうほうが迷いません。Seeds のように外観から業種が判断しにくい店もあります。また、五軒はそれぞれ得意な文脈が違います。機能性ウェア、音楽とストリート、アメリカンレギュラー、アートと雑貨、カルチャー古着という具合に軸がずれているので、「何を買うか」を先に決めるより、「今日はどの文脈を見たいか」で順番を決めたほうが、結果的に納得のいく一枚に出会いやすくなります。

棚の文脈で選ぶという話でいえば、ストリートやサーフ、スケートの側から生まれたブランドの成り立ちを知っておくと、同じ一枚でも見え方が変わります。たとえばStussyの来歴をたどってから90年代の棚を眺めると、年代やタグの違いが「どの時期の空気をまとった服か」という判断材料に変わります。

まとめ

下高井戸、明大前、桜上水の三駅は、古着の街として名前が知られているエリアではありません。それでも2022年から2023年にかけて独立した小規模な店がこの一帯に集まり、赤堤4丁目の Shelly’s、TEMPO、Seeds と、桜上水側の moanin’ store、明大前の 7ession という五軒が、一本の線としてめぐれる配置になりました。学生街の落ち着いた通りと、渋谷や下北沢より抑えられた家賃の水準という条件が、その背景にあります。

一軒あたりの規模は大きくありませんが、そのぶん選ぶ基準がはっきりしていて、五軒の軸がきれいにずれています。半日あれば無理なく回れる距離なので、目当ての一枚を決め打ちで探すというより、どの店の見立てが自分に合うかを確かめる日として使うと、この沿線の良さが出ます。営業日と営業時間、そして建物の階数だけ先に確認しておけば、当日の動きに迷いは出ません。ほかのエリアと比べながら計画を立てたいときは、東京の古着屋ガイドもあわせてご覧ください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のGUIDEカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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