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Christopher Esber(クリストファー・エスバー)— シドニー発、2010年創業のカットアウトドレスと2024年ANDAMグランプリ

白黒で撮影された、オープンバック(背中の切り抜き)のシルクドレスを後ろ姿で捉えたスタジオ写真(Christopher Esberのカットアウトと彫刻的シルエットのイメージ)

Christopher Esber(クリストファー・エスバー)は、2010年にオーストラリア・シドニーで創業されたウィメンズウェアブランドです。肩や背中、腰まわりに施すカットアウト(切り抜き)の意匠と、建築的な構造美を落とし込んだシルエットで知られています。旧版の記事には「2024年LVMH Prize決勝進出」という記述がありましたが、公式サイトおよび複数の海外ファッションメディアを確認したところ、2024年にChristopher Esberが受賞したのはLVMH Prizeではなく、フランスのANDAM(Association Nationale pour le Développement des Arts de la Mode)が主催するANDAM Fashion Awardのグランプリであり、この賞をオーストラリア出身デザイナーが受賞したのは史上初めてのことでした。旧記事の学歴に関する記述(Whitehouse Institute of Design Australia卒業)についても、公式サイトが伝える経歴とは異なる出典不明な情報だったため、本稿では一次情報にもとづいて是正しています。以下、Christopher Esberというブランドの創業経緯から現在地まで、確認できた事実を中心にお伝えします。

創業者Christopher Esberと創業経緯 — シドニーのファッションデザインスタジオから

Christopher Esberは、オーストラリア・シドニーを拠点に活動するデザイナーです。公式サイトのAboutページによれば、2008年にSydney’s Fashion Design Studio(シドニーの服飾専門教育機関)を卒業し、卒業制作のコレクションが業界の注目を集めたことがブランド創設の出発点になったと紹介されています。旧版の記事にあった「Whitehouse Institute of Design Australia卒業」という記述については、Whitehouse Institute of Design自体はシドニーやメルボルンにキャンパスを持つ実在の服飾教育機関ですが、Christopher Esberとの関わりを裏付ける一次情報は見当たりませんでした。本稿ではこの点を修正し、公式サイトが明記するSydney’s Fashion Design Studioという表記を採用しています。

2008年の卒業から2年後の2010年、Christopher Esberは自身の名前を冠したウィメンズウェアブランドをシドニーで正式に立ち上げました。公式サイトは、ブランドの設計思想について、テイラリングの技術的な背景、ネガティブスペース(余白としての切り抜き)の活用、彫刻的なハードウェアという3つの要素から生まれる独自のシルエットに支えられていると説明しています。控えめに見えるシルエットのなかに、着る人自身に開放感や官能性を思い起こさせる仕掛けを組み込むという方向性は、創業当初から現在まで一貫して受け継がれてきました。

最初の大きな節目は2012年です。Christopher Esberはニューヨーク・ファッション・ウィークに初出展し、同年にはL’Oréal National Designer Award(オーストラリアの若手デザイナーを対象にした賞)を受賞しました。創業からわずか2年でこうした国際的な発表の場と国内の主要な賞を同時に手にしたことは、ブランドの初期の勢いを示す出来事だったといえます。

続く節目は2014年です。この年、Christopher Esberは地域予選にあたるWoolmark Prizeのリージョナル部門で受賞し、あわせてVogue Italiaの編集者Sara Mainoが選定する「Most Talented Designer Award」のオーストラリア・パシフィック地区代表にも選ばれました。国内の賞にとどまらず、国際的な業界関係者からの評価を受け始めたのがこの時期だったことがうかがえます。

それから約10年近くを経た2023年9月28日、Christopher Esberはフランス・パリのシテ・ド・アーキテクチャー・エ・デュ・パトリモワーヌ(建築文化財博物館)で、フランスのオートクチュール・モード連盟(Fédération de la Haute Couture et de la Mode)の招待による単独のランウェイショーを開催しました。これは2010年の創業から数えて13年目、Christopher Esberが公式スケジュールに乗った単独ショーとしては初めての開催でした。旧版の記事は「2024年9月にニューヨーク・ファッション・ウィークで初の公式ランウェイを開催」としていましたが、複数の一次情報を確認するかぎり、これはニューヨークではなくパリでの出来事であり、開催年も2024年ではなく2023年が正しい情報です。このパリでの単独ショー開催を受けて、Christopher EsberはAustralian Fashion Laureate(オーストラリアのファッション業界を対象にした表彰制度)で「Designer of the Year」に選出されています。

そして2024年6月、Christopher EsberはANDAM Fashion Awardの2024年度グランプリを受賞しました。ANDAMは1989年に設立されたフランスの非営利団体で、若手からミッドキャリアのデザイナーを対象に資金支援と業界とのネットワーク構築の機会を提供する賞です。同賞の35周年にあたるこの年、Christopher Esberはオーストラリア出身のデザイナーとして史上初めてノミネートされ、そして受賞まで果たした人物になりました。同年のANDAMではMeryll Rogge、Marie Adam-Leenaerdt、Ruohan、Charles Jeffrey Loverboyといったデザイナーもファイナリストに名を連ねています。旧版の記事にあった「2024年LVMH Prizeの8名のファイナリストの一人に選出」という記述は、この2024年のANDAM受賞と混同したものとみられます。同年のLVMH Prizeのファイナリスト8組(Aubero、Duran Lantink、Hodakova、Marie Adam-Leenaerdt、Niccolò Pasqualetti、Paolo Carzana、Pauline Dujancourt、Standing Ground)にChristopher Esberの名前は含まれておらず、この点は本稿で明確に是正しています。

創業からの拡大は、こうした賞レースでの評価と並行して進んできました。Christopher Esberは2021年にスイムウェア(水着)ラインへ参入し、Net-A-Porter向けのブライダル(ウェディング関連)カプセルコレクションも手がけています。現在の主な取扱店には、Net-A-Porter、SSENSE、Mytheresa、Selfridges、Harrods、Luisa Via Roma、MatchesFashion.com、Saks、Printemps、The Websterといった欧米の主要ラグジュアリーEC・百貨店が名を連ねており、イブニングドレスを軸にしながらも取扱カテゴリーを着実に広げてきたことがうかがえます。

ANDAM受賞から約1年後の2025年10月、Christopher Esberはパリ・ファッション・ウィークで2026年春夏コレクションを発表しました。米国のファッション専門誌WWDのレビューによれば、このコレクションは「休暇を思い浮かべながらデスクに向かう人々」をテーマに構成され、スーツの背面に帆のようなパネルを取り付けたり、サロンを思わせるゆったりしたパンツを合わせたりと、南国のリゾートを想起させるディテールが目立つ内容だったと紹介されています。ビーチタオルを思わせるボタン付きの白いワンピースや、クイーンズランド・メイプル材を削り出したウィンドチャイム風のアクセサリーなど、遊び心のある意匠が多く盛り込まれた回だったとも報じられました。WWDはこの回について、ANDAM受賞後にパリの専門工房との協業を深めてきた成果がうかがえる内容だったと評しています。

旧版の記事にあった「2024年LVMH Prizeの8名のファイナリストの一人に選出」という記述は、この2024年のANDAM受賞と混同したものとみられます。

ブランド美学 — カットアウトと彫刻的シルエット

Christopher Esberのデザインを特徴づけるのは、肩や背中、腰まわりに施す計算されたカットアウト(切り抜き)です。一見すると控えめなシルエットのドレスやトップスのなかに、身体の一部をあえて見せる切り抜きを組み込むことで、着る人自身に緊張感と開放感の両方を感じさせる意匠に仕上げています。公式サイトやFarfetchなど主要な取扱店の商品説明を見ると、この切り抜きの意匠がドレスからロングガウンまで幅広いアイテムに一貫して用いられている点が確認できます。

もう一つの特徴が、彫刻的なハードウェア(金属パーツ)の使用です。ビーズ状の細かい金属パーツを、ドレープするジャージー素材の生地に沿わせるように配置し、身体の動きにあわせて連続的に流れるようなシルエットを作り出す手法が用いられています。ストーンやジェムをあしらったハードウェアもChristopher Esberらしいディテールとして紹介されており、テイラリングの技術的な精度と彫刻のような装飾性を同時に成立させている点が、このブランドの独自性です。

設計思想の根底にあるのは、メンズウェアの構築的な要素と、フェミニンなシルエットを組み合わせるという発想です。精密なテイラリングの技術を土台にしながら、そこにドレープやラッチングといった柔らかい要素を重ね、構築と流動性という一見相反する二つの性質を一枚の生地のなかに同居させています。派手なロゴ主張に頼らず、カットの精度そのものでブランドを語るという姿勢は、創業以来一貫しています。

代表アイテム・意匠

Christopher Esberを象徴する一着が、カットアウトドレスです。肩・背中・腰まわりに数学的に計算された切り抜きを配置し、身体のラインを強調しながらも、露出そのものが目的化しない上品なバランスに仕上げているのが特徴です。ファッションメディアWho What Wearなどの記事でも、この切り抜きとラッチング(タック処理)、シアー(透け感)素材の使い分けがブランドの代名詞として紹介されています。

現行のコレクションでは、「Sculptured Extended Loop Mini Dress」や「Salacia Dress」といった、彫刻的なハードウェアを組み込んだドレスが代表的なアイテムとして各国のセレクトショップで扱われています。いずれも金属パーツをドレープする生地に沿わせる、Christopher Esberらしい構造を持つ一着です。

Christopher Esberの作品は、モデルのBella Hadidや歌手のDua Lipa、女優のZendaya、歌手のRihanna、俳優のMargot Robbie、モデル・女優のEmily RatajkowskiやEiza Gonzalezといった著名人が着用したことが、複数の海外メディアで報じられています。とりわけZendayaは、2020年初頭のレッドカーペットでカットアウトドレスを着用し、Christopher Esberの名前が世界的な注目を集めるきっかけの一つになったと伝えられています。2025年には、モデルのGigi Hadidが胸元にカットアウトをあしらった一着を着用した様子が話題になるなど、著名人の着用は現在も継続的に報じられています。旧版の記事にあった「Beyoncé」「Hailey Bieber」の着用については、これを裏付ける一次情報が確認できなかったため、本稿では採用していません。

どんな人に似合うブランドか

Christopher Esberが似合うのは、露出そのものよりも、切り抜きという意匠を通じた緊張感のあるシルエットを楽しみたい人です。カットアウトドレスは、肌の露出を最小限に抑えながらも視線を集める設計になっているため、派手すぎない上品なレッドカーペット向けの一着や、パーティーシーンでの主役級アイテムを探している人に向いています。

一方で、装飾やハードウェアの主張が強いアイテムが多いため、ミニマルで無地に近い服を好む人には、いきなり主力のドレスから入るのはやや個性が強く映るかもしれません。その場合は、ハードウェアの主張が控えめなニットトップや、テイラリングを基調にしたブレザーのようなアイテムから試してみると、ブランドとの距離感がつかみやすくなります。建築的な構造美やネガティブスペースという発想に関心がある人にとっては、単なる一着としてだけでなく、デザインの思想ごと楽しめるブランドだといえます。

GUZ FASHIONの読者にとって、Christopher Esberはオーストラリア発のブランドという点でも注目に値します。インポートブランドというと英国・フランス・イタリア・米国発のハウスが中心になりがちななかで、シドニーという単一都市を拠点に活動してきたデザイナーが、Woolmark Prizeやパリでの単独ショー、ANDAM受賞という段階を踏んで国際的な評価を得ていく過程は、他の欧米インポートブランドとは異なる角度から中古アイテムを探す楽しみを与えてくれます。

中古市場でのChristopher Esberの位置づけ

日本国内の中古市場でChristopher Esberを見かける機会は、他の海外インポートブランドと比べるとまだ限定的です。2023年のパリ単独ショー開催と2024年のANDAM受賞という二つの節目を経て、海外セレクトショップでの取扱いや国際的な知名度が高まってきた段階にあり、中古流通の厚みはこれから育っていくブランドだと位置づけるのが実態に近いといえます。国内の大手古着チェーンやセレクト古着店では、Christopher Esberの取扱実績そのものがまだ少ないため、店頭で探すよりも、Vestiaire CollectiveのようなラグジュアリーEC専門の海外委託流通プラットフォームを日本から利用する方が、現時点では効率的な探し方だといえます。

現状で見つかる個体は、Vestiaire Collectiveのような海外の委託販売プラットフォームや、フリマアプリでの個人間取引が中心です。カットアウトドレスやハードウェアを使った一着は、サイズやシルエットの見極めが難しいアイテムでもあるため、試着ができない中古購入の場合は、実寸のサイズ表記とあわせて、切り抜き部分の位置や生地の伸縮性を出品者に確認しておくと、身体に合うかどうかの判断材料が増えます。

ANDAM受賞や国際的なランウェイでの露出が今後も続けば、Christopher Esberの中古流通量そのものが増えていく可能性はありますが、現時点でこれを裏付ける具体的な取引データは確認できていません。日本国内で早めに個体を見つけたい場合は、Christopher Esberを扱う実績のある海外インポート系の古着店や、セレクトショップのアウトレット販売にも注目しておくとよいでしょう。

Net-A-PorterやSSENSE、Mytheresaといった新品の主要取扱先そのものが、シーズンオフにセール品を大幅値下げして販売する運用を行っているため、中古品だけでなく新品のセール在庫もあわせて選択肢に入れておくと、初めてChristopher Esberを手に取る際のハードルを下げやすくなります。2021年に参入したスイムウェアや、Net-A-Porter向けのブライダルカプセルのような比較的新しいカテゴリーは、まだ流通量そのものが少なく、中古市場に出回るまでにはもう少し時間がかかると見ておくのが妥当です。

Christopher Esberは2024年にLVMH Prizeで決勝進出したのですか

いいえ、これは誤りです。2024年にChristopher Esberが受賞したのはLVMH Prizeではなく、フランスの非営利団体ANDAMが主催するANDAM Fashion Awardのグランプリで、オーストラリア出身のデザイナーとしては史上初めての受賞でした。同年のLVMH Prizeのファイナリスト8組にChristopher Esberは含まれておらず、二つの賞は主催団体も選考の枠組みも異なります。

Christopher Esberはどこで服飾を学んだデザイナーですか

公式サイトによれば、Christopher EsberはSydney’s Fashion Design Studio(シドニーの服飾専門教育機関)を2008年に卒業しています。旧版の記事にあった「Whitehouse Institute of Design Australia卒業」という記述は、複数の一次情報を確認するかぎり裏付けが見当たらず、本稿では公式サイトの表記に沿って修正しています。卒業から創業までの2年間にどのような活動をしていたかについては、裏付けとなる一次情報が確認できなかったため、本稿では言及を控えています。

中古でChristopher Esberを選ぶときに注意すべき点はありますか

カットアウトやドレープを多用したドレスが中心のブランドなので、平置きの寸法だけでなく、切り抜き部分の位置や生地の伸縮性を出品者に確認しておくと安心です。国内での流通量はまだ限られているため、海外の委託販売プラットフォームも含めて探す視野を広げておくと、個体に出会える機会が増えます。

Christopher Esberの新品はどこで購入できますか

公式サイトのほか、Net-A-Porter、SSENSE、Mytheresa、Selfridges、Harrods、Luisa Via Roma、MatchesFashion.com、Saks、Printemps、The Websterといった欧米の主要ラグジュアリーEC・百貨店で取り扱われています。日本国内には常設の直営店舗はなく、こうした海外ECからの個人輸入や、これらのプラットフォームを扱う日本国内のセレクトショップ経由での取り寄せが主な入手経路になります。

まとめ

Christopher Esberの歩みを一次情報で確認し直すと、2008年にシドニーの服飾専門教育機関を卒業したデザイナーが、2010年に自身の名を冠したブランドを立ち上げ、2012年のニューヨーク・ファッション・ウィーク初出展とL’Oréal National Designer Award受賞、2014年のWoolmark Prizeリージョナル受賞とVogue Italiaの評価、そして2023年のパリでの単独ランウェイ初開催を経て、2024年にANDAM Fashion Awardのグランプリをオーストラリア出身デザイナーとして史上初めて受賞するまでの道のりが見えてきます。旧版の記事にあった「Whitehouse Institute of Design Australia卒業」「2024年LVMH Prize決勝進出」「2024年9月ニューヨーク・ファッション・ウィーク初ランウェイ」といった記述は、いずれも一次情報を確認するかぎり事実と異なっていたため、本稿であらためて整理しました。肩や背中、腰まわりに施すカットアウトの意匠と彫刻的なハードウェアというChristopher Esberらしい美学を踏まえたうえで、中古でのアイテム選びに役立ててみてください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のIMPORT BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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