INTERIOR

間接照明の選び方 — 部屋の印象を変える灯りの置き方と一台の選び方

ソファ脇で暖色に光るフロアランプ(間接照明のイメージ)

天井の中心に一灯だけ、白っぽい光がまっすぐ落ちてくる部屋と、光源そのものは見えないのに壁や天井の隅がぼんやり明るい部屋とでは、同じ広さでも受け取る印象がまったく違います。前者は作業向きの均一な明るさを作りますが、くつろぐ時間には少し硬く感じられることがあります。後者は光の量そのものは控えめでも、陰影が残るぶん奥行きが生まれ、部屋全体が柔らかく見えます。この記事では、後者の光り方、つまり間接照明という考え方を、置き方の基本と一台の選び方という2つの軸から整理します。

直接光と間接光の違いを、まず言葉で分けておく

直接光とは、電球やLEDといった光源から出た光がそのまま目や物の表面に届く光り方です。天井の直付けシーリングライトやダウンライトはこの代表で、部屋全体を効率よく明るくできる反面、光源の輪郭がはっきり見えるぶん、まぶしさ(グレア)を感じやすいという性質があります。作業や勉強、料理といった手元の精度が必要な場面では、この直接光がむしろ適しています。

一方の間接光は、光源から出た光を壁や天井、家具の内側などにいったんぶつけてから、反射した柔らかい光だけを室内に届ける光り方です。光源そのものが視界に入らないため、まぶしさが生まれにくく、反射面の広さに応じて光がにじむように広がります。間接照明という言葉は、この「光源を隠して反射光だけを見せる」という設計思想を指していると捉えると、話がつかみやすくなります。

グレアフリーという英語表現は、この「まぶしさのなさ」をそのまま言い換えたものです。照明を選ぶときに明るさ(ルーメン)だけを基準にすると、数値上は十分でも実際の部屋では眩しく感じてしまうことがあります。間接照明を検討する段階では、明るさよりも先に「光源が見えるか、隠れているか」を基準に器具を見比べる方が、失敗が少なくなります。

間接照明という言葉は、この「光源を隠して反射光だけを見せる」という設計思想を指していると捉えると、話がつかみやすくなります。

色温度は、時間帯と用途で選び分ける

照明の色味は色温度(ケルビン、記号はK)という単位で表されます。数値が低いほど赤みやオレンジ味の強い温かい光になり、数値が高いほど白く澄んだ光になります。一般的な白熱電球はおおむね2700K前後で、この色温度は夕方以降のくつろぎの時間や、リビングでの会話、映画を見る時間帯によく合うとされています。対して5000K前後の昼白色は、作業や勉強に向く覚醒感のある光として知られています。

間接照明として使う器具は、基本的に2700Kから3000K程度の電球色を選ぶと、反射光の柔らかさがより際立ちます。白すぎる光を壁に反射させると、間接照明特有の「にじむような温かさ」が薄れ、単に暗いだけの部屋になりがちだからです。逆に、書斎的な使い方をしたいコーナーだけは中間色の温白色を選ぶなど、部屋の中で色温度を統一しすぎないことも一つの手法です。

なお、照明と睡眠の関係については専門的な領域に踏み込むため、この記事では踏み込んだ断定を避けます。夜の眠りを見据えた照明計画を具体的に組みたい場合は、色温度と灯りの数を掛け合わせた設計を扱う寝室の照明計画の記事で詳しく扱っていますので、そちらを参照してください。

光を逃がす場所は、だいたい3つに絞られる

間接照明の置き方を難しく考える必要はありません。実践されている手法のほとんどは、光をどこに逃がすかという観点で3パターンに整理できます。一つ目はコーナー、つまり部屋の隅です。壁が二面で交わる角にフロアランプを置くと、光が両方の壁に反射して広がり、部屋の対角線上に奥行きが生まれます。ソファの背後や、テレビボードの脇といった、普段は死角になりがちな場所が定位置として選ばれることが多いようです。

二つ目は壁や天井へのバウンス、つまり反射です。上向きに光を放つタイプのフロアランプやアッパーライトを使うと、天井全体がほのかに明るくなり、天井の高さそのものを演出できます。天井が低めの部屋でも、この手法によって圧迫感がやわらぐという声もよく聞かれます。壁向きに光を当てる場合は、壁の素材や色によって反射の質感が変わるため、白やベージュ系のクロスの部屋ほど効果を実感しやすい傾向があります。

三つ目は、家具の陰に光源を仕込むという方法です。テレビボードの裏側やベッドフレームの下、棚板の裏側などに細いテープ状の光源を貼ると、家具そのものが浮いているように見える効果が生まれます。この手法は照明器具というより「建材寄りの光」に近く、部屋全体の明るさを補うというより、特定の家具を主役として引き立てる用途に向いています。テープライトの選び方については、貼る場所の長さを測ってから購入する手順が欠かせません。

器具の使い分け — フロアランプ・テーブルランプ・テープライト

置き場所が決まったら、次はどの器具を選ぶかという話になります。フロアランプは背が高く、コーナーや壁際に置くことで空間全体に光を回せる器具です。シェードの素材によって光の質感が変わり、布のシェードは光をやわらかく拡散させ、金属や陶器のシェードは光の方向をよりはっきり限定します。部屋の主照明として使う場合は、床から光源までの高さと、シェードの開き方をあわせて確認しておくと失敗が減ります。間接照明 フロアランプのような検索で、シェードの形状ごとの違いを見比べてみると、部屋の雰囲気に合う一台の輪郭が見えてきます。

テーブルランプは、サイドテーブルや棚の上といった、目線より低い位置に置く小ぶりな器具です。フロアランプほど部屋全体を明るくする力はありませんが、その分「読書灯」や「手元灯」としての役割に徹しやすく、複数台を部屋のあちこちに分散させて置く使い方とも相性が良い器具です。北欧デザインのテーブルランプは、木や紙、陶器といった自然素材のシェードが多く、光をつけていない昼間でもオブジェとして部屋になじむという利点があります。テーブルランプ 北欧で探すと、木製ベースや紙シェードなど素材違いの選択肢が幅広く見つかります。

テープライトは、器具というより光そのものを部屋に「貼り付ける」感覚の製品です。棚の下や壁の巾木沿いに設置すれば、器具の存在を意識させずに反射光だけを作り出せます。近年はLEDテープライトの中にも色温度を調整できる製品が増えており、昼はやや白めの光で作業をこなし、夜は電球色に切り替えるという使い分けも一本の製品でまかなえるようになっています。貼る前には設置予定の長さを実測し、必要なメートル数と電源アダプターの容量が足りているかを確認しておくと、施工後にやり直す手間を避けられます。

光源を隠す思想 — ポール・ヘニングセンとPH5

間接照明という考え方を、家具の域を超えて突き詰めたデザイナーとして知られるのが、デンマークの建築家であり照明デザイナーでもあったポール・ヘニングセンです。彼が1920年代に確立した設計思想は、白熱電球という当時の光源が変化・進化しても、その眩しさが直接目に入らないようにするという一点にありました。単一のシェードで光を覆うのではなく、複数枚のシェードを対数螺旋を基準に段階的に重ね、下向き・横向きに逃がす光の量をそれぞれ調整するという、当時としては科学的なアプローチが取られています。

この思想が最も広く知られる形になったのが、1958年に発表されたPH5です。三層のシェードが電球を完全に覆い隠し、テーブルや床には柔らかい拡散光だけが届く一方、上向きにも一定の光を逃がすことで天井際が沈み込みすぎない設計になっています。光源の電球を直接見せない、という発想そのものが、この記事で扱ってきたコーナー置きや壁面バウンスの原理と地続きであることが分かります。ダイニングテーブルの上に吊るす一台としてだけでなく、「光源を隠す」という考え方の教科書的な存在として押さえておく価値があります。

1958 年 Poul Henningsen 設計、北欧ペンダントライトの代名詞。3 つのシェードで眩しさを抑えた建築学的に計算された光の質、自宅をモダンミュージアム化する一台。30-50 代のダイニング・北欧モダン志向・本格志向。

おすすめシーン
30-50 代のダイニング・北欧モダン志向・本格
GUZ編集部レビュー4.2 / 5

3層のシェード構造でまぶしさを抑えた光の質は、建築的な計算に裏打ちされた北欧照明の代表格にふさわしい完成度です。空間の格を一段引き上げる存在感がある一方、価格はおよそ10万円前後とされ、手軽に取り入れられる予算感ではない点は留意したいところです。

PH5はダイニング用のペンダント照明としてデザインされているため、フロアランプやテーブルランプのようにコーナーへ気軽に置くタイプの器具ではありません。ただし、天井から吊るす一灯であっても「光源そのものを見せず、シェードを介した反射光だけを届ける」という考え方は、この記事で紹介してきた間接照明の手法すべてに通底しています。器具を選ぶ際に「この光は直接目に入る位置に来ないか」を毎回確認する癖をつけておくと、フロアランプでもテーブルランプでも失敗が少なくなります。

部屋のタイプによって、置き方の重心を変える

ワンルームのように一部屋で生活のすべてをまかなう住まいでは、間接照明の役割は「用途ごとに空間を区切ること」に近くなります。ベッド周りには読書用のテーブルランプ、デスク周りには作業用の直接光、くつろぐソファ周りにはコーナーのフロアランプというように、同じ一室の中で光源を複数に分けておくと、家具の配置だけでは作りにくい「見えないゾーニング」が生まれます。一台の主照明だけに頼らず、複数の小さな光源を分散させるという発想は、ワンルームほど効果を実感しやすいとも言われています。

リビングとダイニングが分かれている住まいでは、リビング側は間接照明を中心にした低めの照度、ダイニング側はペンダント照明のような直接光寄りの照度と、意図的に明るさの差をつける手法がよく使われます。この明暗の差そのものが、壁で仕切られていない空間にも部屋の切り替わりを感じさせる効果を持っています。北欧インテリアのように木や布といった自然素材を基調にした部屋では、間接照明の反射光と素材の質感がなじみやすく、北欧インテリア入門の記事で触れている家具選びともあわせて検討すると、部屋全体の方向性が定まっていきます。

寝室については、光源の数や色温度の組み合わせ方によって夜の過ごし方が大きく変わる領域のため、この記事では深く立ち入らず、専用の記事に委ねる形にしています。部屋全体の照明計画をゼロから見直したい場合は、インテリアのスタイル別ガイドの記事で、テイストごとの部屋づくりの要素を先に確認しておくと、間接照明をどのテイストに寄せて選ぶかの軸が定まります。

予算帯は、まず「何を優先するか」から決める

間接照明にかける予算は、器具の種類によって大きく幅があります。テープライトは電源アダプターとセットで数千円台から手に入る製品が多く、まず試してみるという意味では最も導入しやすい選択肢です。テーブルランプは素材やブランドによって差が大きく、量産型のシンプルなものであれば数千円前後、木製や陶器のシェードを使った北欧デザインのものになると1万円台から2万円台前後(要確認)が一つの目安になります。

フロアランプは部屋の主照明に近い役割を担うぶん、価格帯も上に広がりやすく、量販店の実用モデルであれば1万円前後から、デザイン性の高いブランド品であれば数万円台後半から10万円前後(要確認)まで幅があります。予算を決める際は「どの部屋のどの場所を変えたいか」を先に絞り込み、そこから逆算して器具の種類を選ぶ方が、闇雲に高価な一台を探すより満足度が高くなりやすいという傾向があります。

近年はスマート電球を既存の器具にねじ込むだけで、色温度や明るさをアプリから調整できる製品も増えています。フロアランプやテーブルランプの傘はそのままに、中の電球だけを入れ替えるという手法は、初期費用を抑えながら「時間帯によって色温度を変える」という体験を試す入り口として扱いやすいものです。スマート電球で検索すると、既存の口金に対応するかどうかを含めて比較検討できます。

長く付き合うための手入れという視点

間接照明は一度置いて終わりではなく、シェードにたまるほこりや、光源の劣化によって少しずつ印象が変わっていく器具でもあります。布や紙のシェードは表面にほこりが積もると光の透過率が落ち、同じ電球を使っていても年数が経つにつれて暗く感じられるようになります。柔らかいブラシや乾いた布で定期的にほこりを払うだけでも、反射光の質感はかなり保たれます。

LED電球は白熱電球に比べて寿命が長いという利点がありますが、調光機能つきの器具に非対応のLED電球を組み合わせると、ちらつきや点灯不良につながることがあります。フロアランプやテーブルランプに調光機能がある場合は、購入前に「調光器対応」と明記されたLED電球かどうかを確認しておくと、後から電球だけ買い直すという手間を避けられます。窓際に置く器具は、直射日光でシェードの色が褪せることがあるため、レースカーテン越しの光が当たる範囲に留めておくと風合いを長く保てます。

一台を選ぶときに、最後に確認しておきたいこと

間接照明を選ぶ手順を整理すると、まず部屋のどこに光を逃がしたいかという場所を決め、次にその場所に合う器具の種類(フロアランプ、テーブルランプ、テープライト、あるいは天井から吊るす一灯)を選び、最後に色温度を用途に合わせて調整するという順番になります。逆に、器具のデザインだけを先に決めてしまうと、置きたい場所に対して大きすぎたり、光の逃げ方が合わなかったりすることがあるため、順番を意識しておくと選び直しが減ります。

PH5のように光源を隠すという設計思想を体現した一台を軸に据えると、フロアランプやテーブルランプを選ぶときの判断基準がぶれにくくなります。「この光は誰かの目に直接入る位置に来ないか」という一点を、購入前に一度立ち止まって確認してみてください。部屋の印象は、明るさの総量よりも、光源が見えるか隠れているかという一つの違いだけで、思いのほか大きく変わるものです。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のINTERIORカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

SHARE

「INTERIOR」で読まれている

あなたへのおすすめ

Louis Poulsen – PH 5 ペンダント

この商品の価格を見る