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イタリアンスタイル — 計算された無造作がつくる大人の余裕

柔らかなナポリ仕立てのジャケットを着崩し、明るい色を効かせたイタリアンスタイルのイメージ

イタリアンスタイルの魅力を一言で表すなら、肩の力を抜いた大人の余裕です。きっちりと完璧に整えるのではなく、あえて少し着崩し、自然体でありながらも品よく見せます。その独特の感覚は、イタリア語で「スプレッツァトゥーラ」と呼ばれ、計算された無造作とも訳されます。本記事では、このスプレッツァトゥーラの精神を軸に、イタリアンスタイルの仕立てや素材、色使いと着崩しのコツを整理しながら、古着でイタリアの余裕を取り入れる方法までを、編集部の視点でまとめました。同じヨーロッパでも、英国の格式とは対照的な、暖かく伸びやかな美意識がそこにあります。

スプレッツァトゥーラという精神

イタリアンスタイルを理解する鍵が、スプレッツァトゥーラです。これは、努力や計算を感じさせずに、さりげなく優雅に見せる振る舞いのことを指します。完璧に左右対称に整えたり、きっちり隙なく着込んだりするのではなく、どこか一か所、わざと力を抜きます。その余白が、こなれた余裕と色気を生み出します。気負わず、それでいて品があります。その絶妙なバランスこそが、イタリアの装いの本質でした。

具体的には、ジャケットの袖を無造作にまくる、シャツの第一ボタンを開ける、上質な素材をあえてラフに着る、といった所作に表れます。大切なのは、それが「だらしなさ」ではなく、計算されたこなれであることです。土台にきちんとした仕立てや上質な素材があるからこそ、力を抜いても品が保たれます。英国の装いが規律と完璧さを重んじるとすれば、イタリアの装いは、その規律を知ったうえで、あえて緩めてみせる遊び心にあります。完璧を目指さない美しさ。それが、スプレッツァトゥーラの教えです。

この感覚は、一朝一夕に身につくものではありません。けれど、難しく考える必要もありません。鏡の前で全身を完璧に整えたあと、最後にどこか一か所だけ、ほんの少し緩めてみる。袖を一折りする、ボタンをひとつ外す、きっちり結んだスカーフを少しほどく。その小さな仕上げの引き算が、装い全体に呼吸とこなれを与えてくれます。完璧から一歩引く勇気こそが、イタリアらしい余裕への入り口でした。

その独特の感覚は、イタリア語で「スプレッツァトゥーラ」と呼ばれ、計算された無造作とも訳されます。

仕立てと素材の楽しみ

イタリアンスタイルの土台にあるのが、仕立てと素材の豊かさです。とりわけ南部ナポリの仕立ては、芯地を抑えた柔らかな作りで知られ、肩の力が抜けた自然な着心地を生みます。かっちりと構築的な英国の仕立てとは対照的に、体に沿ってしなやかに動きます。その柔らかさが、こなれた着崩しを支えています。ジャケットを羽織ったときの軽やかさが、イタリアらしい余裕を演出してくれます。

素材選びでも、この装いは触感を大切にします。上質なウールやリネン、コットン、カシミヤ。手で触れて心地よく、体になじむ素材を、季節に合わせて楽しみます。とりわけ、軽やかなリネンや、柔らかなニットは、イタリアの暖かい気候とこなれた着こなしによく似合います。素材そのものの質感を生かし、過度な装飾を避けます。良い素材を、肩の力を抜いて着る。そのシンプルな贅沢が、イタリアンスタイルの心地よさを作っています。

色と着崩しのバランス

イタリアンスタイルのもう一つの特徴が、明るく豊かな色使いです。英国の落ち着いた色調に対して、イタリアの装いは、明るいブルーやグリーン、テラコッタ、黄色といった、太陽を思わせる色を恐れずに取り入れます。とはいえ、派手になりすぎないのがイタリア流です。落ち着いた基調のなかに、差し色として鮮やかな一色を効かせる。その色の使い方に、明るくおおらかな国民性が表れています。

着崩しのバランスも、この装いの妙味です。きれいめのジャケットに、あえてデニムやスニーカーを合わせる。フォーマルとカジュアルを自在に行き来し、堅苦しさを和らげる。足元にローファーを素足で履くのも、イタリアらしい軽やかな着崩しのひとつです。大切なのは、崩しすぎないこと。土台をきちんと保ちながら、一か所だけ力を抜く。その引き算の感覚が、こなれた大人の余裕を生みます。やりすぎず、それでいて隙のある。そのさじ加減こそ、腕の見せどころでした。

古着でイタリアの余裕を取り入れる

この装いは、古着ととても相性のよいスタイルです。スプレッツァトゥーラが大切にする「使い込まれた風合い」や「肩の力の抜けた感じ」は、新品よりも、むしろ着古した古着のほうが自然に表現できます。少しやわらかくなったジャケットや、味わいのあるニット、履き込んだローファー。こうした古着には、新品にはないこなれた空気が宿っています。それを気負わず羽織ることで、イタリアらしい余裕が生まれます。

古着でイタリアの余裕を楽しむなら、仕立てのよいジャケットや、上質な素材のニットを一点、軸に据えるのがおすすめです。それを、デニムやシンプルなパンツとラフに合わせる。明るい色のニットやスカーフを、差し色として加える。完璧にそろえようとせず、力を抜いて組み合わせていく。一点ものの古着を、自分の感覚でこなれて着こなすその楽しみは、まさにこの無造作の精神そのものです。古いものを肩の力を抜いて着る。その姿に、イタリアの大人の余裕が静かに表れます。

力を抜くという美意識

イタリアンスタイルが教えてくれるのは、完璧を目指さないことの豊かさです。きっちり整えることよりも、どこか力を抜いた余白にこそ、こなれた余裕と魅力が宿る。良い仕立てと素材を土台にしながら、あえて崩し、明るい色を楽しみ、自然体で着こなす。その計算された無造作の精神は、装いだけでなく、肩の力を抜いて日々を楽しむ生き方そのものを映しているようにも見えます。

この美意識は、古着を愛する心とも通じ合います。完璧な新品ではなく、使い込まれた一着の風合いを楽しみ、自分の感覚で気負わず着こなす。イタリアンスタイルを取り入れることは、装いに余裕と遊び心を取り戻すことでもありました。完璧でなくていい、むしろ少し崩れているほうが心地よい。そう思えたとき、毎日の装いは、もっと自由で、もっと楽しいものになっていきます。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のFASHIONカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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