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鹿児島の古着屋 — 天文館を巡る6店

鹿児島市の古着屋は、市電の走る天文館の一帯に集まっています。東千石町の雑居ビルの2階や地下、路地に入った小さな区画に店が点在し、そこから中央町や西千石町、泉町へ歩を伸ばすと、また別の店が現れます。九州のなかでは福岡に次ぐ規模の古着シーンで、県外へ出ずに1930年代のアンティークからヨーロッパのリメイクまでを見比べられるという厚みがあります。市電の電停を降りればすぐにアーケードという街の構造が、徒歩での回遊を成立させています。

鹿児島の店に共通しているのは、価格帯を無理に上げずに年代物を扱っているという点です。都市の規模から見て、相場を追いかけるだけでは店が続きません。そのため、店主が自分の目で選んだものを納得のいく値付けで並べるという姿勢が自然と主流になり、結果として一枚あたりの説明が丁寧な店が多くなりました。加えて、桜島の火山灰が降る土地柄から、素材の扱いや洗いについての知見が蓄積しているのも特徴です。灰の日に外に干せない環境で古着を扱うということは、それだけ手入れの前提が違うということでもあります。

この記事では、天文館の東千石町を中心に、中央町・西千石町・泉町まで含めて、実際に営業を確認できた独立系の古着店を6軒選びました。全国展開のチェーン店や商業施設内の大型店は外し、店主が買い付けと接客を担う店を軸にしています。鹿児島の個人店は営業時間の変動があり買い付けによる臨時休業も起こるため、遠方から向かう場合は各店の告知を確かめてから出かけてください。

天文館・東千石町の古着店

TUNNEL — 1930年代まで遡るアンティークとヴィンテージ

東千石町のスバルホワイトビル2階にあるTUNNELは、1930年代のアンティークから続く年代の古いものを扱う店です。オーナーが直接アメリカへ出向いて買い付けるスタイルを続けており、棚には量販の古着では見かけない仕立てのものが並びます。正午から夜8時まで定休日なしという営業なので、鹿児島の古着屋巡りの起点にも締めにも使えます。年代の古い服は生地が薄くなっているものも多いため、着るためのものと保存するためのものが混在します。どちらの目的なのかを伝えると、それに合った一枚を出してもらえるという点で、店との会話が買い物の質を左右する店です。通販のページも持っているため、遠方から気になっていた一枚を実物で確かめるという使い方もできます。ビルの2階という立地で看板も控えめなので、初めて向かうときは住所の階数まで確認しておくと迷いません。

MILL — ヨーロッパ古着とリメイクを同じ棚で

東千石町のニイムラカメラビル1階にあるMILLは、ヨーロッパ古着とリメイク品を軸にした店です。加えて高円寺のヴィンテージショップのオリジナルアイテムも扱っており、地方にいながら首都圏の古着カルチャーの現在地に触れられるという構成になっています。正午から夜8時までの営業で定休日はありません。ヨーロッパの実用着は色数が抑えられていて日本の街並みに馴染みやすく、リメイクものは一点しかないという前提で選ぶことになります。既製の古着とリメイクを同じ空間で比べられる店は多くないので、手を加えるという発想そのものに興味がある人には収穫の多い一軒です。カメラ店のビルの1階という立地で、天文館のアーケードから入ってすぐの位置にあるため、TUNNELと合わせて短時間で二軒を見比べられます。ヨーロッパ古着とリメイクを続けて見ると、素材として服を捉える視点が自然と身につきます。

BRIGHT — ストリートの古着と新品をアットホームに

西千石町の有川ビルにあるBRIGHTは、ストリート系の古着と新品を並行して扱う店です。正午から夜8時までの営業で定休は不定です。古着専門店の張り詰めた空気が苦手な人でも入りやすい雰囲気が持ち味で、古着に触れはじめた人が最初の数枚を選ぶのに向いています。新品を併売しているという点も実務的で、古着で組んだ着こなしに足りない一枚を同じ店で補えます。天文館の中心からは少し西に外れますが、徒歩圏に収まる距離なので、東千石町の店と合わせて回る動線に無理なく組み込めます。店主やスタッフとの距離が近く、着こなしの相談にも応じてもらえるため、自分の手持ちを踏まえて足りない一枚を探すという使い方に向いています。

灰の日に外に干せない環境で古着を扱うということは、それだけ手入れの前提が違うということでもあります。

中央町・泉町の古着店

used shop OCTA — 中央駅寄りで探す日常の古着

中央町の平成中央ビルにあるOCTAは、鹿児島中央駅に近い立地の店です。正午から夜8時までの営業で定休は不定です。駅側に宿を取る旅行者や、列車の待ち時間を使いたい人にとって、天文館まで移動せずに古着を見られるという意味を持ちます。扱いは日常的に着られる範囲のものが中心で、価格帯も手に取りやすい構成です。天文館の店が年代や産地で個性を出しているのに対して、この店は使いやすさで棚を組んでいるという違いがあり、両方を見比べると鹿児島の古着シーンの幅が見えてきます。鹿児島中央駅は九州新幹線の終点でもあるため、県外から日帰りで訪れる場合の起点としても実用的な位置です。

akloz used clothing — 松原町の路面で構える一軒

松原町のaklozは、天文館の南側、路面に構える店です。正午から夜8時までの営業で定休は不定です。天文館のアーケードから少し離れた住宅と商店が混ざる一帯にあり、観光の動線からは外れるぶん、地元客の日常に近い品ぞろえになっています。古着屋巡りとしては、天文館の密集地帯を回ったあとに歩いて足を伸ばす位置づけが自然です。天文館の密集地から一歩外へ出た店は、同じ街でも仕入れの傾向が違ってくることが多く、そこを確かめるだけでも訪れる価値があります。観光客の少ない時間帯は店内も静かで、一枚ずつ落ち着いて見られるという利点もあります。

GALA art & vintage — 各国のヴィンテージとアクセサリー

泉町の奥山ビル1階にあるGALA art & vintageは、アメリカやヨーロッパをはじめさまざまな国から集めたヴィンテージをセレクトし、古着に加えてアクセサリーやインポートのアイテムも扱う店です。正午から夕方5時までという営業時間で、木曜と日曜、祝日が定休なので、訪れるには予定を合わせる必要があります。営業日と時間が限られているぶん、棚は点数を絞って質を見せる構成です。デザインや工芸の催しに出店することもあり、服だけでなくものづくり全般への視線がある店で、一点物のアクセサリーを探している人には代えのききにくい立ち寄り先になります。泉町は天文館の北側にあたり、市電の朝日通の電停から歩ける距離です。

鹿児島で古着を選ぶときの実践ポイント

鹿児島を回るうえでまず意識したいのは、店ごとに扱う年代の幅がはっきり違うという点です。1930年代のアンティークを置く店と、日常的に着られる範囲で棚を組む店では、同じ「古着」でも生地の状態も価格の根拠も別のものになります。一日で複数店を回るなら、最初に年代の古い店を見て基準の上限を知り、そのあとで日常着の店を回ると、価格の意味が理解しやすくなります。

もうひとつ、鹿児島の店は営業日や営業時間が絞られていることがあります。夕方5時に閉まる店や、週の半分が定休の店が混在しているため、行きたい店から逆算して一日を組む必要があります。行き当たりばったりで歩くと、開いている店だけを見て終わってしまうという結果になりがちです。

選ぶ基準そのものを持っておくと、棚の前での判断が速くなります。古着や民藝的なものの成り立ちを源流に据えて、現行の設計へ引き受けているブランドを一つ知っておくと比較の軸ができます。素材の来歴と工程そのものを設計の対象にしているvisvimのつくりを見ておくと、TUNNELやMILLの棚に並ぶ一枚の、どこが時間による表情でどこが作り手の意図なのかを見分ける手がかりになります。

価格帯とサイズの見立て方

鹿児島の独立系古着店の価格帯は、日常的に着られるレギュラー古着で数千円台、年代の古いヴィンテージや一点物のアクセサリーで一万円台から数万円というあたりが目安です。1930年代から40年代のものは希少性で値が決まるため、状態と価格が単純に比例しません。同じ年代でもリペアの有無や生地の抜け具合で判断が分かれるので、値札より先に裏地や脇下を確かめる順番にすると納得して買えます。

サイズについては、年代が古くなるほど現代の体型と合わなくなる点に注意が必要です。1950年代より前のものは全体に小柄な設計で、肩幅は合っても袖丈が足りないということが起こります。ヨーロッパの古着は着丈が短く袖が細い傾向があり、アメリカの実用着は逆にゆとりのある型が多くなります。必ず袖を通し、平置きの実寸を尋ねてから決めるのが確実です。

気候の影響も見ておきたい点です。鹿児島は湿度が高く桜島の灰が降る環境なので、古着の保管には手がかかります。店側が洗いや保管に気を配っているかどうかは、店内の匂いや畳み方に表れます。気になった一枚があれば、どう洗ってどう保管してきたかを尋ねてみると、その店の仕事の質が見えてきます。

効率よく巡るための道順と時間帯

鹿児島の古着店は正午前後に開き、閉店は夕方5時から夜8時までにばらけています。GALAのように夕方5時で閉まる店があるため、午前中から動くよりも、正午に合わせて街へ入り、閉店の早い店から回るという順番が効率的です。夜8時まで開いている天文館の店を後半に置くと、時間の使い方に無理がなくなります。

道順としては、泉町のGALAから始めて東千石町のTUNNELとMILLへ入り、西千石町のBRIGHT、松原町のaklozへ南下し、最後に中央町のOCTAへ抜ける流れが移動距離を抑えられます。天文館の一帯は市電の電停が近接しているため、荷物が増えたら一区間だけ乗るという判断もできます。中央町は天文館から徒歩でも20分ほどですが、市電を使えば数分です。

定休日は木曜と日曜に絞られる店があるため、平日の火曜から水曜あたりに訪れると空振りが少なくなります。桜島の降灰が多い日は歩行の負担が増えるので、風向きの情報を見てから予定を確定させると快適です。支払いは現金のみの店も残っているため、いくらか用意しておくと安心して選べます。

天文館という街と古着屋の関係

天文館は江戸期の天文観測所の名を残す一帯で、戦後は南九州最大の歓楽街として発展しました。アーケードが東西南北に伸び、飲食店と物販が層をなす構造は今も変わっていませんが、郊外の商業施設や鹿児島中央駅前の再開発によって、かつての一極集中は緩みました。空いた雑居ビルの上階や地下に、家賃の条件で個人店が入り込めるようになったのはそのためです。古着屋が上階と地下に多いのは偶然ではなく、路面の家賃を払わずに立地の利を得るという選択の結果です。

また、鹿児島は県外への進学や就職で一度街を離れる人が多い土地でもあります。首都圏や関西の古着屋で働いた経験を持って戻り、自分の店を構えるという流れが一定数あり、それが年代の古いものを扱う店や、首都圏のブランドを仕入れる店の存在につながっています。地方都市の古着シーンは人の往復によって更新されるという構図が、鹿児島では比較的はっきり見えます。仕入れ先の人脈も含めて外から持ち込まれるため、店ごとの色の違いがそのまま店主の経歴の違いになっているのです。

まとめ

鹿児島市の古着屋は、天文館という繁華街の密度を土台に、1930年代のアンティークからヨーロッパのリメイク、一点物のアクセサリーまでを扱う店が徒歩圏に並んでいる構成です。都市の規模に比べて年代の幅が広いのは、店主が自分の目で選んだものを納得のいく値付けで並べるという姿勢が主流になっているからで、その結果として一枚あたりの説明が丁寧な街になりました。ここで取り上げた6軒はいずれも店主の目が行き届く規模で、棚の前に立てば選定の基準が伝わってきます。営業日と営業時間が絞られている店があるため、訪れる順番を決めてから動くことが、この街を楽しむうえでの前提になります。

九州のほかの都市と合わせて回るなら、熊本の古着屋ガイド長崎の古着屋ガイドが距離感の近い参考になります。全国の古着エリアを俯瞰したい場合は日本全国の古着エリアガイドもあわせてご覧ください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のGUIDEカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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