DOMESTIC BRAND

roundabout(ラウンダバウト)— 藤原裕和が楽しむ、不格好さのなかにある豊かさ

壁に吊るされた一枚のシャツ、力の抜けた佇まい

roundabout(ラウンダバウト)は、藤原裕和が2010年に立ち上げた、日本のファッションブランドです。「無駄」や「不格好さ」といった、ふつうなら避けられがちな要素をあえて楽しむという、ユニークな視点を出発点にしています。完璧に整った美しさではなく、どこか余白やゆらぎを残した服。そこにこそ、着る人をほっとさせる、いわば余白の豊かさがあるという考え方が、ブランドの根底に一貫して流れています。大阪を拠点に、企画からデザイン、生産までを自社で一貫して手がける姿勢も、roundabout のものづくりを支える大きな特徴です。流行の中心から少し距離を置いた場所で、自分たちの感覚を信じて服を作り続ける。その自立した姿勢が、ブランドに独自の落ち着きを与えています。本記事では、デザイナー藤原裕和の哲学から、ブランドのこれまでの歩み、ものづくりの核にある考え方、代表的なアイテムまでを、できるだけ確かな事実に沿って丁寧に整理してお伝えします。

不格好さを楽しむ — roundabout というブランド

roundabout を語るうえで欠かせないのが、その独特の価値観です。多くのブランドが、洗練や完成度の高さを目指すなかで、roundabout はあえて「無駄」や「不格好さ」に目を向けます。効率や合理性だけでは測れない、人の手の痕跡や、少し肩の力が抜けたような佇まい。そうした要素を排除するのではなく、むしろ魅力として引き受けていく。その姿勢が、ほかにはない居心地のよさを生み出しています。日本には古くから、不完全なものや時間を経たものに美を見いだす感性が根づいてきました。完璧な対称性ではなく、わずかな歪みや余白にこそ味わいを感じ取る。roundabout の「無駄」や「不格好さ」を楽しむという視点は、そうした日本ならではの美意識とも、どこかで通じ合っているように見えます。整いすぎたものは、ときに人を緊張させますが、少しの隙や緩みがあるものは、見る人や着る人の心をほどいてくれます。たとえば、計算され尽くしたコーディネートよりも、どこか力の抜けた着こなしのほうが、その人らしさや余裕を感じさせることがあります。roundabout が提案するのは、まさにそうした余裕のある装いです。完璧を演じるのではなく、自然体でいることの心地よさ。それを服のかたちで体現しようとする点に、このブランドの一貫した美意識があります。

デザイナーの藤原裕和は、自分の好きなもの、自分が着たいもの、自分が見てみたいもの、それだけを作っていきたいと語っています。流行や市場の要請に振り回されるのではなく、あくまで自分の感覚を信じて服を作る。その正直さこそが、roundabout の服に、ほかでは得がたい飾り気のない説得力を与えています。誰かに向けて作為的にデザインされたものではなく、作り手自身が心から良いと思えるものだからこそ、着る人にもその素直な気持ちが伝わるのです。市場調査の結果や売れ筋の分析からではなく、一人の人間としての「これが好きだ」という実感から出発する。一見すると独りよがりにも思えるこの姿勢が、かえって普遍的な共感を呼ぶのは、作り手の正直さが服に宿るからにほかなりません。自分に嘘をつかずに作られたものには、不思議と人の心を打つ力があります。

このブランドが提案するのは、気負わずに身につけられる、肩肘張らない服です。きちんとしすぎず、それでいてだらしなくもない。日常のなかで自然体でいられるような、適度な抜け感を持った服づくりが一貫して追求されてきました。完璧さよりも、心地よさ。そうした価値観は、効率や正解ばかりが求められる現代において、むしろ新鮮で豊かなものとして受け止められています。roundabout を一目で見分ける識別子があるとすれば、それはこの飾らない佇まいそのものだといえるでしょう。大量に生産され、流行のサイクルのなかで消費されていく服が世にあふれるなかで、roundabout は急がず、自分たちのペースで一着ずつ作ることを選んできました。早く安くたくさん、ではなく、納得のいくものを長く。その姿勢は、ものとの付き合い方を見つめ直したいと考える人々の共感を集めています。服を消耗品ではなく、暮らしを共にする相棒として捉える。そんな価値観が、ブランドの一貫した態度から静かに伝わってきます。

「無駄」や「不格好さ」といった、ふつうなら避けられがちな要素をあえて楽しむという、ユニークな視点を出発点にしています。

創業から現在まで — 年代でたどる歴史

roundabout の歴史は、自分の作りたいものを作るという素朴な動機から出発し、それを自社で一貫して形にしていく地道な歩みです。年代を追って、その流れを見ていきます。

ブランドの始動(2010年〜)

roundabout は、2010年の秋冬シーズンより本格的に始動しました。デザイナーの藤原裕和が、自らの感覚に正直なものづくりを追求する場として立ち上げたブランドです。華やかなデビューや派手な打ち出しではなく、自分が良いと思うものを一着ずつ丁寧に作っていくという、地に足のついた出発でした。流行を追いかけるのではなく、長く着られる普遍的な服を、自分のペースで生み出していく。その姿勢は、創業時から現在まで変わることがありません。2010年といえば、ファストファッションが世界的に勢いを増し、安く早く大量に作ることが当たり前になりつつあった時代です。そうした流れに逆らうように、自分の納得できるものを丁寧に作るという道を選んだことには、明確な意志が感じられます。大きく稼ぐことよりも、自分が信じるものづくりを長く続けること。その価値観が、ブランドの出発点に据えられていました。規模の拡大を急げば、どこかで作り手の目が届かなくなり、最初に大切にしていたものを見失いかねません。roundabout が一貫して身の丈に合ったものづくりを続けてきたのは、自分たちが心から納得できる範囲を守るためでもあったのでしょう。

自社一貫生産という選択(設立以降)

roundabout を運営する株式会社ラウンドアバウトは、大阪を拠点に、企画からデザイン、生産までを自社で一貫して手がけています。多くのブランドが、デザインと製造を分業し、生産を外部に委ねるなかで、ものづくりのすべての工程を自分たちの手の届く範囲で行うという選択は、決して効率的とはいえません。それでもこの体制を貫くのは、自分たちが本当に納得できるものを、妥協なく作り上げたいという思いがあるからです。作り手の意図が、最終的な一着までまっすぐに反映される。その一貫性が、roundabout のものづくりの確かさを支えています。生産を外部に委ねれば、コストを抑え、数を多く作ることができます。しかし、その過程で作り手の細やかな意図が薄まってしまうことも少なくありません。roundabout が自社一貫生産にこだわるのは、効率と引き換えに失われがちな、ものづくりの密度や手触りを守るためでもあります。企画の段階で思い描いたニュアンスを、生産の最後まで途切れさせずに届ける。その姿勢が、量産品にはない奥行きを服に与えています。試作と修正を自分たちの手元で繰り返せることも、自社一貫生産の大きな利点です。少しの違和感も見過ごさず、納得がいくまで作り込める。その積み重ねが、一見シンプルな服のなかに確かな完成度を宿らせています。

地道に支持を広げて(現在まで)

roundabout は、大々的な宣伝で一気に知名度を上げるタイプのブランドではありません。けれども、その飾らない服づくりは、感度の高い人々のあいだで静かに、しかし着実に支持を広げてきました。全国のセレクトショップや自社の展開を通じて、ブランドの世界観に共感する層へと、口コミのように静かに届けられています。一度その心地よさを知った人が、まわりの誰かに勧めたくなる。そうした自然な広がり方は、宣伝で作られた人気とは違う、確かな手応えを伴っています。流行に左右されない普遍的な服を、自分たちのペースで作り続けるという姿勢が、長く付き合えるブランドとしての信頼につながってきました。派手さよりも、確かな心地よさで選ばれてきたのです。一度ブランドの服を手に取った人が、その着心地や佇まいに惹かれて再び戻ってくる。そうした地道な信頼の積み重ねが、roundabout を長く続くブランドにしてきました。流行に乗って急拡大したブランドが、ブームの終わりとともに姿を消していくなかで、自分たちのペースを守り続ける姿勢は、かえって息の長さにつながっています。声高に主張しないからこそ、深く、そして長く愛される。そんな理想的なブランドのあり方を、roundabout は静かに体現しています。

デザイナー — 藤原裕和という人物

roundabout を理解するうえで、デザイナー藤原裕和の哲学は欠かせません。彼のものづくりの軸は、徹底して自分の感覚に正直であることです。自分の好きなもの、着たいもの、見てみたいもの。その素朴で個人的な動機を、そのままブランドの出発点に据えています。マーケティングや流行の分析からではなく、一人の作り手としての実感から服を立ち上げるという姿勢が、roundabout に作為のない自然さを与えてきました。

藤原が大切にしているのは、完璧であることよりも、人の心に寄り添う温かさです。「無駄」や「不格好さ」を楽しむという言葉が示すように、彼は整いすぎたものに潜む冷たさよりも、少しの余白やゆらぎがもたらす豊かさを信じています。効率を最優先する時代にあって、あえて手間のかかる自社一貫生産を選び、自分が納得できるものだけを作る。その妥協のない、けれども肩の力の抜けた姿勢が、roundabout を替えのきかない存在にしてきました。作り手の人柄が、そのまま服の佇まいに映し出されているブランドだといえます。

ものづくりの核 — 自分が納得できるものだけを

roundabout の服が放つ独特の心地よさは、感覚だけで生まれているわけではありません。その奥行きは、企画から生産までを自社で一貫して手がけるという、ものづくりの体制に支えられています。デザインを考える人と、それを形にする人が分断されていないからこそ、作り手の細やかな意図が、最終的な一着の隅々にまで行き届きます。生地の選び方、縫製の仕様、シルエットの微妙なバランス。そうした細部に、自分が心から納得できるものだけを世に送り出すという、ぶれない姿勢が表れています。

roundabout が大切にするのは、流行の最先端を行くことではなく、長く愛用できる普遍的な服を作ることです。あえて完璧に整えすぎず、適度な余白を残すことで、着る人がリラックスして身につけられる。きちんとしすぎないけれど、品を失わない。その絶妙なバランスは、作り手が着る人の日常を具体的に思い描いているからこそ実現できるものです。素材選びから仕立てに至るまで、自分の感覚に正直であろうとする一貫した思想が、すべてのアイテムに流れています。派手さで主張するのではなく、着るほどになじみ、手放しがたくなる。そうした服づくりこそが、roundabout の真骨頂です。

代表的なアイテム

roundabout を語るうえで欠かせないのは特定の一着ではなく、日常に寄り添うカットソーやニット、パンツといった、肩の力の抜けたアイテム群です。roundabout のアイテムに共通するのは、声高に主張しないのに、手に取ると確かな違いが伝わるという点です。ここでは、ブランドの世界観を感じられるカテゴリを順に見ていきます。

カットソーとTシャツ

日常的に着る機会の多いカットソーやTシャツは、roundabout の飾らない魅力がもっとも素直に表れるアイテムです。一見シンプルに見えながら、身頃のシルエットや襟まわりの処理に、適度な抜け感や独自の工夫が込められています。きちんとしすぎず、それでいてだらしなく見えない絶妙なバランスが、一枚で気負わず着られる心地よさを生み出します。流行に左右されないかたちだからこそ、何年も着続けられる定番として、多くの人に選ばれてきました。日常着でありながら、着るほどに体になじむ確かな作りが感じられます。毎日のように袖を通すものだからこそ、目立つデザイン性よりも、着たときの心地よさや、洗濯を繰り返しても崩れにくい丈夫さが大切になります。roundabout のカットソーは、そうした実用の部分にこそ手を抜かない誠実さがにじんでいます。一枚でさらりと着るのはもちろん、重ね着の土台としても活躍し、装い全体に自然な抜け感を添えてくれます。

ニットとアウター

ニットやアウターにおいても、roundabout の哲学は健在です。完璧に整った端正さよりも、どこか手の温もりを感じさせるような、柔らかな佇まいを大切にしています。肩肘張らずに羽織れるカーディガンやセーター、軽やかに着られるアウターは、日常のなかで自然体でいられる装いを支えてくれます。素材の風合いや編みの表情に、自社で一貫して作るからこそ実現できるこだわりが宿っており、シンプルなようでいて他にはない味わいを感じさせます。長く付き合うほどに愛着が深まる一着です。ニットは編み方や糸の選び方ひとつで表情が大きく変わるアイテムですが、自社で一貫して作るからこそ、細かなニュアンスまで思いどおりに表現できます。きれいに整いすぎないざっくりとした風合いや、どこか手仕事を思わせる温かみは、機械的に量産された製品にはない味わいです。寒い季節に頼れる実用性と、見た目の柔らかな佇まいを両立させたニットは、roundabout の世界観を全身で楽しみたい人に向いています。シンプルな装いに一枚加えるだけで、こなれた印象と温かみを同時に添えてくれる、頼れる存在です。

パンツとボトムス

ボトムスにおいても、roundabout らしい適度な抜け感が生かされています。きっちりと細身に仕立てるのではなく、ゆとりを持たせたシルエットや、リラックスしたかたちのパンツは、穿いていて心地よく、日々の暮らしに自然になじみます。流行のかたちを追いかけるよりも、長く穿き続けられる普遍性を重んじる姿勢が、ボトムスにも一貫して表れています。トップスと合わせて全身でブランドの世界観を楽しむのはもちろん、手持ちの服に一本加えるだけでも、肩の力の抜けた雰囲気を取り入れられます。締めつけの少ないシルエットは、長時間穿いても疲れにくく、日常のさまざまな場面に寄り添ってくれます。きれいめにもカジュアルにも振れる中庸なかたちは、合わせる相手を選ばず、着回しの幅が広いのも魅力です。流行のシルエットは数年で古びてしまいがちですが、普遍的なかたちを選ぶことで、何年先まで穿き続けられる、信頼できる一本になります。穿き心地のよさは、毎日の暮らしの満足度を、静かに底上げしてくれます。

roundabout という名前と、その姿勢

「roundabout」という英語には、回り道、遠回り、あるいは率直でないといった意味合いがあります。最短距離や効率だけを是とする現代において、あえて回り道や無駄を楽しむというブランドの姿勢は、その名前にそのまま重なっています。まっすぐに正解へ向かうのではなく、少し寄り道をするからこそ出会える景色がある。そうした考え方は、服づくりにおいても、暮らし方においても、ひとつの豊かな価値観を提示しています。人生も同じで、効率だけを求めて最短距離を走り続けると、見落としてしまうものがあります。少し立ち止まったり、回り道をしたりするなかでこそ、思いがけない発見や心の余裕が生まれる。roundabout の服は、そんな生き方の余白を、装いを通じてそっと肯定してくれるようです。

効率や合理性が優先されがちな時代だからこそ、roundabout が掲げる「無駄」や「不格好さ」を楽しむという視点は、かえって新鮮に響きます。完璧でないことを許し、余白やゆらぎを慈しむ。その姿勢は、ファッションにとどまらず、ものとの付き合い方そのものを問い直すメッセージでもあります。すべてを完璧に管理しようとするのではなく、不完全さも含めて受け入れる。その大らかさは、慌ただしい日々を送る現代人にとって、ある種の救いのようにも感じられます。自分の感覚を信じ、納得できるものだけを地道に作り続ける。その一貫したあり方が、roundabout を流行に流されない、芯のあるブランドにしてきました。大阪という、東京とは異なる土壌から独自の感性を発信し続けている点も、ブランドの個性を際立たせています。ファッションの情報や流行が東京に集中しがちななかで、距離を置いた場所から自分たちのペースでものづくりを続けることは、流行に飲み込まれずに独自性を保つうえでむしろ有利に働いているのかもしれません。中央の動向に一喜一憂せず、自分が信じる価値観を地道に形にしていく。その自立した姿勢が、roundabout の服に芯の強さを与えています。地に足のついた場所から生まれる服には、背伸びをしない、等身大の心地よさがあります。

中古・リセール市場での評価

roundabout は、過去のアイテムが中古市場でも取引されるブランドです。自社で一貫して作られた丁寧なつくりのアイテムは、長く着られることから、状態の良い中古品にも一定の需要があります。すでに展開を終えた過去のシーズンのアイテムは、ブランドの世界観に共感するファンによって探し求められることもあります。新品では手に入りにくいアイテムに、中古を通じて出会えるのも、リセール市場を活用する魅力のひとつです。流行に左右されない普遍的なかたちが多いため、年月を経ても古びにくく、中古でも長く活躍してくれる点が魅力といえます。むしろ、自社一貫生産で丁寧に作られたアイテムは、適切に手入れをすれば中古でも十分に良い状態を保っていることが多く、価格を抑えてブランドの世界観を味わいたい人にとって、中古は賢い選択肢になります。現行品とあわせて過去のアイテムを探したい場合は、楽天・Yahoo!ショッピング・メルカリといった複数のサービスを横断して比較するのが現実的です。サイズ表記やコンディションは出品ごとに差があるため、実寸と状態の記載を丁寧に確認したうえで検討することをおすすめします。

まとめ — 回り道のなかにある、確かな心地よさ

roundabout は、藤原裕和が2010年に立ち上げ、「無駄」や「不格好さ」をあえて楽しむという独自の視点で服を作り続けてきた日本のブランドです。自分の好きなもの、着たいものだけを作るという素朴で正直な動機を出発点に、大阪を拠点として企画から生産までを自社で一貫して手がけるという、手間を惜しまない体制でものづくりを続けてきました。完璧に整った美しさではなく、適度な余白やゆらぎがもたらす心地よさ。その価値観は、効率や正解ばかりが求められる時代にあって、かえって豊かなものとして多くの人に受け止められています。派手さで主張するのではなく、着るほどになじみ、長く付き合いたくなる。流行を追いかけることに少し疲れたとき、自分が本当に心地よいと感じる服を着たいと思ったとき。そんな飾らない服を探している人にとって、roundabout は、日々の暮らしに静かに寄り添ってくれる存在になるはずです。一着の服が、毎日を少しだけ心地よくしてくれる。roundabout が大切にしてきたのは、そんなささやかで確かな豊かさです。気になった方は、まずは日常に取り入れやすいカットソーやニットから、その肩の力の抜けた、心地よい世界観にじっくりと触れてみてください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のDOMESTIC BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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