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国分寺・小金井のヴィンテージ食器と古道具 — 中央線沿線の小さな店をめぐる

国分寺・小金井のヴィンテージ食器と古道具 — 中央線沿線の小さな店をめぐる

中央線の途中下車で出会う、国分寺・小金井の古道具

新宿から中央線快速でおよそ三十分。国分寺・小金井のあたりまで来ると、車窓の景色は少しずつ緩やかになります。国分寺市には武蔵国分寺跡の史跡が広がり、小金井市には桜の名所として知られる小金井公園が控え、住宅街のところどころに雑木林の名残が残るような、落ち着いた空気の街です。吉祥寺や高円寺のような賑わいとは異なりますが、駅前や住宅街の一角に、店主がひとりで長く続けている古道具店や食器店がぽつぽつと点在しているのが、このエリアの面白いところです。

中央線沿線は、古着や古書、雑貨といった専門店文化が根づいていることで知られる路線です。このふたつの街もその西の端に位置し、大型のアンティークモールのような賑やかさはないものの、店主が一点ずつ選んだ食器や古道具にじっくり向き合える店が育っています。今回は、実際に営業状況を確認できたこのエリアの店を六軒、編集部の目で整理しました。国分寺駅と国立駅の周辺に三軒、小金井公園に近い一角に二軒、そして中央線でひと駅隣の国立にも、あわせて訪ねたいアンティーク食器の専門店が一軒あります。住所や営業時間はそれぞれの店舗カードにまとめていますが、個人店ならではの不定休も多いエリアなので、訪問前には最新の情報を確認しておくと安心です。

大きなチェーン店が並ぶ通りとは違い、ここで出会う店の多くは店主が自分の目利きで一点ずつ仕入れた品を並べています。値札の裏には仕入れの経緯や前の持ち主の話が隠れていることもあり、会話をしながら選ぶ時間そのものが買い物の醍醐味になります。効率よく数を回ることよりも、気になった一軒で足を止めて棚をじっくり眺める姿勢のほうが、このエリアの古道具巡りには似合っているように思います。休日の昼下がりに電車を途中下車して、次の予定を決めずにふらりと歩いてみるくらいの気軽さで訪れるのがちょうどよい距離感です。

大きなチェーン店が並ぶ通りとは違い、ここで出会う店の多くは店主が自分の目利きで一点ずつ仕入れた品を並べています。

国分寺駅・日吉町エリアで見つける、古道具と北欧食器

まず紹介したいのは、国分寺駅の南口からほど近い一角と、隣の国立駅に近い日吉町エリアです。同じ国分寺市内でも、駅前の商店街らしい雰囲気の店と、住宅街に静かに佇む店とでは表情がまったく異なります。三軒それぞれ扱うものの幅も違うので、目的に応じて歩く順番を決めるとよいでしょう。

古道具 kasugai-鎹

国分寺駅の南口から歩いて三分ほどの場所で、親子二代にわたって営まれてきた古道具店です。棚に並ぶ品はとにかく雑多で、ドイツ製の鳩時計や鉱物の標本、地球儀、ソ連製のミニカーやマトリョシカ、占領期の日本製品まで、ジャンルを問わずに集められています。その合間に、時代を経た食器や生活雑貨も顔を出すので、目当てのものを探すというより、棚全体を眺めながら思いがけない出会いを楽しむ店だといえます。

駅から近いぶん、電車の待ち時間に少し立ち寄るような気軽さで訪ねられるのも魅力です。値札のついた品々を眺めているだけでも、その時代ごとの暮らしの断片が見えてくるようで、飽きることがありません。不定休で営業日が変わることもあるようなので、遠方から訪ねる場合は事前に営業日を確認しておくと無駄足を防げます。国分寺での古道具めぐりは、まずこの店から始めるのがおすすめです。

maika

国分寺市日吉町、国立駅の北口から歩いて六分ほどのところにある、食器と生活道具の店です。店主の宮原剛さんが買い付ける北欧のヴィンテージ食器が中心で、アラビアをはじめとした名品が、気負わずに日常で使える価格帯で並んでいます。二〇二二年五月に三鷹から移転してきた店で、焼菓子店「kb’s bake」を併設しているのも特徴です。器を選んだ後に、その場でコーヒーと焼き菓子をいただきながらひと息つけます。

北欧食器と聞くと格式張った印象を持つ人もいるかもしれませんが、この店に並ぶのはあくまで暮らしに寄り添う道具としての一枚です。柄や色合いを見比べながら、今日の食卓に似合う一枚を選ぶような感覚で買い物ができます。国分寺駅からは少し距離がありますが、国立駅からのアクセスがよいので、次に紹介する古轍とあわせて回るコースにも組み込みやすい立地です。

Marca(マルカ)

正式には「〜Dried Flower & 古道具〜 Marca」という名前で、二〇一一年から店主の深田衣美さんが営むドライフラワーと古道具の店です。国立駅から歩いて六、七分ほどの場所にあります。古道具そのものは小瓶などの小物が中心で、食器の扱いは限られますが、ドライフラワーと古い道具を組み合わせた棚づくりには、他の店にはない編集の目が感じられます。時間が経ったものだけが持つ味わいを大切にするという店のコンセプトが、隅々まで行き届いている印象です。

東京蚤の市をはじめ各地のマルシェにも継続的に出店しており、店内だけでなく外に出て活動している様子がうかがえます。ドライフラワーのアレンジメント教室も開かれているので、器だけでなく花や道具を組み合わせた暮らしの提案に関心がある人には、寄り道の価値がある一軒です。このガイドの中では食器そのものの品揃えはやや脇役ですが、古道具屋めぐりの一区切りとして覚えておきたい店です。

小金井公園の近くで、骨董と修理の技に触れる

小金井市に入ると、雰囲気は住宅街の落ち着きがいっそう強まります。ここで紹介する二軒はどちらも小金井公園に近いエリアにあり、駅から少し歩く分、車や自転車で訪れる人も多いようです。ひとつは昔ながらの骨董屋然とした店、もうひとつは修理工房を併設したアンティーク家具の店と、性格の異なる二軒です。

古道具古賀

小金井公園にほど近い五日市街道沿いで、店主の浅見信彦さんが一九九三年から営んできた古道具店です。食器や時計、美術品、茶道具、和洋の人形や玩具まで、扱うジャンルは実に幅広く、掘り出し物を求めて遠方からわざわざ足を運ぶ愛好家もいるといいます。公式サイトやSNSを持たない、昔ながらの構えの店だからこそ、実際に足を運んで棚を眺めてみないとわからない発見があるのかもしれません。

三十年以上にわたって同じ場所で営業を続けてきた店だけに、品揃えの層の厚みは感じられます。定休日については媒体によって表記に差があるため、来店前には電話で営業を確認しておくのが確実です。バス便を使うか、東小金井駅から少し歩く距離にありますが、公園を散策するついでに立ち寄るという回り方もできます。

antiques-educo 小金井本店

修理工房を併設した、和洋のアンティーク家具と古道具を扱う店です。古いものが持つ経年の味わいをそのまま生かしながら修復し、次の暮らしへとつないでいくという姿勢を掲げており、店内には家具を中心に、道具や小物まで幅広く並びます。姉妹店は吉祥寺にあり、東京蚤の市や近隣の朝市などにも継続的に出店していることから、店としての活動は活発なようです。

家具が主役の店ではありますが、古道具全般の「直しながら使う」という考え方に触れられる点で、食器の店とはまた違った角度からアンティークの魅力を教えてくれます。最寄り駅からは徒歩で十六分ほどとやや距離があるため、バスや自転車を使うか、他の予定と組み合わせて時間に余裕を持って訪ねるのがよいでしょう。不定休なので、事前の確認は他の店同様に欠かせません。

足を延ばすなら、隣の国立で出会うアンティーク食器の専門店

国分寺・小金井から中央線でひと駅、国立まで足を延ばすと、食器そのものを専門に扱う名店があります。エリアの主役はここまでの五軒ですが、器を軸にした店をもう一軒じっくり見たいなら、あわせて訪ねる価値があります。

古轍

国立駅の南口から歩いて二分という近さにある、アンティーク食器専門の店です。「初めてのアンティーク」というコンセプトを掲げ、和食器と洋食器をおよそ七対三の比率で扱っており、江戸期から現代までの抹茶碗や塗り物、マイセンの一点ものまで幅広く並びます。フェーブやクロモスカードといった小さく愛らしい品も揃い、眺めているだけで時間を忘れてしまいそうです。

店内ではディルマ紅茶の試飲もできるので、器を選びながらお茶の時間を楽しめるのも心地よいところです。初心者にも入りやすい空気づくりを大切にしている店なので、アンティーク食器に触れるのが初めてという人には、まずここから始めてみることをすすめたいと思います。ここまでの古道具屋めぐりの締めくくりとして、あるいは最初の一軒として、動線に組み込みやすい立地です。

ヴィンテージ食器・古道具を選ぶときに知っておきたいこと

実際に店を回るときに、いくつか知っておくと選びやすくなる視点があります。まず食器のコンディションを見るときは、ヒビや欠けの有無を指先で確かめることが基本です。表面に浮かぶ細かな貫入と呼ばれるひび模様は、多くの場合は経年による味わいとして扱われますが、縁の欠けや底に届くような大きなヒビは、実用面での注意が必要になることがあります。金彩や絵付けが施された品は、その部分の剥がれやすり減り具合もあわせて確認しておくと安心です。

古い食器を日常に取り入れる際は、電子レンジや食洗機の使用を避けたほうがよい品も少なくありません。素材や年代、金彩の有無によって扱い方が変わるため、購入時に店の人へ使い方の目安を聞いておく習慣をつけると、長く付き合いやすくなります。同じ柄に見えても一点ずつ焼き上がりや色合いに個体差があるのが、ヴィンテージ食器のおもしろさでもあるので、写真だけで判断せず、実際に手に取って質感や重さを確かめてから選ぶことをおすすめします。

価格については、状態のよさや希少性、作り手の背景によって幅が出ます。安さだけを基準にせず、なぜその値段なのかを店主に尋ねてみると、その品の背景まで含めて理解した上で選べるようになります。今回紹介したエリアには、kasugaiや古道具古賀のように食器から家具、玩具まで何でも扱う店と、maikaや古轍のように食器に絞って編集された店の両方があります。何でも屋の棚を掘る楽しさと、専門店で丁寧に選ばれた一枚を見比べる楽しさは、どちらも古道具めぐりの醍醐味といえるでしょう。

食器以外の古道具に目を向けるときは、また少し違う見方が役立ちます。木製の家具や小物であれば、角の丸まり方や金具のすり減り具合に、使われてきた年月がそのまま刻まれています。塗装の剥げや継ぎ目の補修跡は欠点というより、その品がどんな暮らしの中を通り抜けてきたかを物語る手がかりです。antiques-educoのように修理工房を併設する店では、直しながら使うという発想そのものに触れられるので、傷や補修の跡を減点材料としてではなく、次の持ち主に渡すための手当てとして見る視点を教えてくれます。ドイツ製の時計やソ連製の玩具のような雑貨も同様で、動作の有無や部品の欠けは店の人に率直に尋ねてから判断するのが安全です。

回り方としては、国分寺駅からkasugaiとmaikaを歩き、Marcaを経由して小金井方面へ向かうか、あるいは公園散策とあわせて古道具古賀とantiques-educoを先に回るという組み方もできます。時間に余裕があれば、中央線でひと駅の国立まで足を延ばして古轍に立ち寄れば、半日から一日かけてじっくり歩けるコースになります。個人店が中心のエリアだけに、休業日や営業時間の変更もあり得るため、あらかじめ公式サイトやSNSで最新の情報を確かめてから出かけると安心です。

まとめ — 国分寺・小金井は、暮らしの器と出会う散歩道

ふたつの街をめぐる古道具屋の魅力は、大型店にはない一軒一軒の個性の違いにあります。kasugaiの雑多な棚、maikaの北欧食器、Marcaのドライフラワーと古道具の組み合わせ、古道具古賀の骨董然とした佇まい、antiques-educoの修理という視点、そして隣の国立にある古轍の食器専門店としての深さ。それぞれが違う角度からアンティークの世界を見せてくれるからこそ、一日で何軒も回っても飽きることがありません。

大きな買い物をする必要はなく、まずは気になった一軒を訪ねて、棚に並ぶ品々を眺めてみるところから始めてみてください。店主との会話の中で品物の背景を知ることができれば、その一枚や一点はきっと、値段以上の愛着を持って暮らしに迎えられるはずです。中央線の途中下車で出会う、小さな店をめぐる散歩道として、このエリアを歩いてみてはいかがでしょうか。訪ねるたびに棚の中身が入れ替わっているのも、一点ものを扱う個人店ならではの楽しみです。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のGUIDEカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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