東京発、「着飾る」というテーマを掲げるメンズブランド
BED j.w. FORD(ベッドフォード)は、デザイナーの山岸慎平が2010年に立ち上げた、東京を拠点とするメンズファッションブランドです。運営母体は同年に設立された株式会社バースリーで、山岸がデザインを、高坂圭輔がビジネス面を主に担うという体制で始まりました。ブランドが一貫して掲げてきたのは「着飾る」というテーマです。ジャケットにタイを締めるといった記号的な装いではなく、生活の中にある美しさや儚さを独自の解釈で服へと落とし込み、シーズンごとに異なるテーマを設定しながらコレクションを組み立ててきました。
裏原宿的な文脈から生まれたブランドが数多く存在する中で、BED j.w. FORDはロゴやポップなグラフィックを前面に出す方向とは距離を置き、都会に生きる大人の男性像そのものを再定義しようとしてきた点で異彩を放っています。専門的な服飾教育を受けないまま小規模にスタートしたブランドが、東京のコレクションからミラノ、パリへと発表の場を広げていった歩みは、このブランドの実力を物語る事実のひとつです。古着として流通する個体には、コレクションごとに異なるテーマの痕跡が色濃く残っており、単なる中古アパレルとしてではなく、その時々のブランドの解釈を映した記録として選ぶ楽しみ方ができるのも特徴です。
ブランドが一貫して掲げてきたのは「着飾る」というテーマです。
2010年、BED j.w. FORDはどのように始まったか
石川から東京へ — 古着店とGENERAL RESEARCHで培った感覚
山岸慎平は1984年、石川県の生まれです。高校を卒業すると同時に上京し、まずは東京郊外の古着店で企画やバイイングの仕事に携わりました。実際の古着を数多く見て、選んで、値付けをするという経験は、後にBED j.w. FORDが古着市場との距離の近さを保ち続けていることの原点になっているとも読み取れます。その後、山岸は裏原宿カルチャーの影響を強く受けたブランドとして知られるGENERAL RESEARCHで、販売とプレスの業務に携わりました。ここでの経験を通じて、ブランドのスタイルをどう構築し、どう伝えていくかという視点を身につけていったと考えられます。
専門学校や大学で服飾を体系的に学んだ経歴を持たないまま、現場での経験だけを積み重ねてブランドを立ち上げたという点は、BED j.w. FORDを理解するうえで見落とせない出発点です。理論から入るのではなく、実際の古着に触れ、実際の店頭で服を売る中で培った感覚を軸にしているからこそ、このブランドの服には机上のデザインにとどまらない生々しさが宿っているのかもしれません。
高坂圭輔との出会いと株式会社バースリー設立
2010年、山岸は高坂圭輔とともに株式会社バースリーを設立し、BED j.w. FORDを小規模にスタートさせました。山岸がデザインを、高坂がビジネス面を主に担うという役割分担は、ブランド設立当初から現在に至るまで変わらない体制として続いています。デザイナーが創作に専念できる環境を、ビジネス面を担う相方が支えるという構図は、多くの新興デザイナーズブランドが直面する経営面の課題を乗り越えるうえで、ひとつの有効な形だったと見ることができるでしょう。
ブランドが軌道に乗るまでの数年間、山岸はアルバイトを続けながらBED j.w. FORDの運営を支えていたと本人がインタビューで振り返っています。華やかなデビューを飾ったブランドという印象を持たれがちですが、実際には地道な下積みの時間を経て少しずつ知名度を築いていったという経緯があり、2011年春夏シーズンには展示会形式でコレクションを発表し、正式なデビューを飾りました。
ブランド名の由来 — ニューヨーク、ベッドフォードという地名
ブランド名の由来については、媒体によって語られ方が一様ではありません。中には架空の人物名に由来するという説を紹介するものもありますが、デザイナー本人はGOETHEのインタビューの中で、渡航時に滞在したニューヨークの地区名「ベッドフォード」に着想を得たと明かしています。当時のベッドフォードは倉庫街として知られ、どこか近寄りがたいムードを漂わせながらも、多くのアーティストが暮らす創造的な土地だったといいます。一方で「j.w.」の部分については、山岸自身が「特に意味はない」と語っており、語感やバランスを優先して添えられた文字列であることがうかがえます。
地名としての「ベッドフォード」に、緊張感と創造性が同居する空気を重ね合わせたという成り立ちは、BED j.w. FORDが掲げる「着飾る」というテーマとも響き合います。単に美しいだけでなく、どこか危うさや儚さを含んだ空気感を服に落とし込もうとする姿勢は、ブランド名そのものに刻まれた土地の記憶と無縁ではないのかもしれません。
デザイナー山岸慎平という人物
山岸慎平は、服飾の専門教育を受けることなく、古着店での実務とGENERAL RESEARCHでの経験だけを頼りに自身のブランドを立ち上げたデザイナーです。理論や体系だったパターンメイキングの訓練を経ずにデザイナーとして歩み始めたという経歴は、決して珍しいものではありませんが、そこから東京コレクションのランウェイに立ち、ミラノやパリにまで発表の場を広げていったという道のりは、簡単に再現できるものではありません。
山岸が繰り返し語ってきたのは、既存の「カッコいい大人の男性像」を書き換えたいという動機です。裏原宿のプリントTシャツ文化とは対照的に、田舎の砂利道をコートで颯爽と歩くような男性像を志向していると本人は説明しており、ロゴやポップなグラフィックを前面に出さないという判断も、この一貫した美意識から来ていると考えられます。丁寧に作って丁寧に届けること、当たり前の作業を誠実に積み重ねることこそが特別な価値になるという考え方も、山岸自身の言葉としてたびたび語られてきました。
デザイナーとビジネス担当者という二人体制を保ちながら、大きく規模を拡大するのではなく、コレクションごとのテーマを丁寧に練り上げていくという姿勢は、山岸個人の資質がブランド全体の性格にそのまま表れている証だといえるでしょう。
山岸自身が影響を受けたブランドとして、アン ドゥムルメステールやドリス ヴァン ノッテン、ヨウジヤマモトといった名前が挙げられることがあると伝えられています。ロゴやグラフィックで主張するのではなく、シルエットや素材の質感そのものでブランドの個性を語ろうとする姿勢は、こうした嗜好とも重なる部分があります。裏原宿カルチャーの現場に身を置きながらも、より静かで内省的な表現に惹かれていったという経緯は、BED j.w. FORDが持つ独特の温度感を理解するうえでのひとつの手がかりになるでしょう。
「着飾る」という思想 — ナルシストとロマンチストのはざまで
BED j.w. FORDのコンセプトを語るうえで欠かせないキーワードが「ナルシスト(Narcissist)」と「ロマンチスト(Romanticist)」です。生活の中にある美しさや儚さを感じられる空間やモノ、音や映像を独自の解釈で服へと落とし込みたいという意気込みを、ブランド自身は「エゴ」と定義しています。自己満足で終わらせず、多くの人に認知される表現にまで昇華させたいという矛盾をはらんだ欲求こそが、BED j.w. FORDのものづくりを前に進めてきた原動力だと捉えることができます。
フォーマルでもカジュアルでもなく、マスキュリンでもフェミニンでもない、繊細でもなく乱暴でもない、そうした形容しがたいスタイルを目指しているという説明も、このブランドの立ち位置をよく表しています。既存のカテゴリーに収まりきらない曖昧さをあえて残すことで、着る人それぞれの解釈の余地を服の中に確保しているのだと考えられるでしょう。生地や色が、実際に人が纏って道を歩いたときにどう見えるかという視点を重視しているという姿勢も、静止した状態のデザインだけでなく、動きの中での美しさを追求してきたことの裏付けになっています。
毎シーズン異なるテーマを設けながらも、根底にある「着飾る」という思想そのものは一貫しており、この芯の強さがBED j.w. FORDを一過性のトレンドで終わらせなかった理由のひとつだと見ることができます。
代表アイテムに見る、洗練と艶っぽさ
MA-1 — ミリタリーの記号を削ぎ落としたノーカラー仕様
BED j.w. FORDを象徴するアイテムのひとつがMA-1です。通常のMA-1が備えているポケットや中綿、リブ編みの裾といった軍用ジャケットならではのディテールをあえて取り払い、ノーカラーに仕立て直したモデルとして知られています。ミリタリーウェアという題材を借りながらも、そこから記号性を丁寧に削ぎ落としていくという手法は、ミリタリー由来のディテールを忠実に再現しようとする復刻ブランドとは正反対のアプローチです。同じMA-1という題材であっても、削ぎ落とすことで新しい美しさを引き出そうとする姿勢に、BED j.w. FORDならではの編集的な視点が表れています。
テーラードジャケットとレザージャケット
独特なカッティングと繊細なディテールで、艶っぽさを帯びたメンズウエアを得意とするのも、このブランドの特徴です。テーラードジャケットは、フォーマルな型を踏襲しながらも、シルエットのバランスをわずかに崩すことで、既製のスーツとは異なる空気感をまとわせています。レザージャケットについても同様に、素材そのものの重厚感とデザインの繊細さが同居しており、着る人の身体の輪郭を強調するような仕立てが随所に見られます。デニムシャツやショートモッズブルゾンといったアイテムも、素材違いで複数のバリエーションが展開されており、ベーシックな題材を独自の解釈で再構成するという姿勢が一貫しています。
他ブランドとのコラボレーションアイテム
BED j.w. FORDは、自社のコレクションと並行して、他ブランドとのコラボレーションアイテムも展開してきました。スイコックとのコラボレーションによるローファー風サンダルやフリンジローファー、シックストックスとのコラボレーションによるラメ入りのアーガイル柄ソックスなどがその代表例です。2018年にはアディダス オリジナルスとの本格的なコラボレーションも発表され、19-20年秋冬シーズン向けのアイテムとして披露されました。足元や靴下といった小物にまでブランドの美意識を行き渡らせている点は、BED j.w. FORDがトータルなスタイルの提案を志向していることの表れだといえるでしょう。
東京から世界へ — 沿革と評価
BED j.w. FORDは2011年春夏シーズンに展示会形式でデビューしたのち、2016年10月には当時のAmazon Fashion Week TOKYOでランウェイショーデビューを果たしました。同じ時期には東京ファッションアワードを受賞し、この受賞を機に2017年1月にはパリでの合同展示会に参加するという流れで、国内から海外へと発表の場を段階的に広げていきました。派手な話題づくりで一気に知名度を得たブランドではなく、ひとつずつ実績を積み重ねながら評価を得てきたという歩み方は、BED j.w. FORDの堅実さを物語っています。
2018年6月には、イタリア・フィレンツェで開催される「ピッティ・イマージネ・ウオモ」94回のゲストデザイナーに選出され、2019年春夏コレクションをランウェイショー形式で発表しました。同じ場でアディダス オリジナルスとのコラボレーションも披露され、日本国内にとどまらない評価を確立するきっかけになったと見られます。翌2019年秋冬シーズンからはミラノ・ファッション・ウィークでの発表を開始し、2020年秋冬シーズンからはパリでもコレクションを発表するようになりました。東京、フィレンツェ、ミラノ、パリと、発表の場を着実に広げてきたこの歩みは、一人のデザイナーが現場で培ってきた美意識が、国境を越えて評価される過程をそのまま映し出しています。
東京の新興デザイナーズブランドという括りの中には、BED j.w. FORD以外にも独自の哲学を掲げるブランドが数多く存在します。たとえばソウシオオツキのように日本の精神性とテーラードの美学を追求するブランドや、シュタインのようにミニマルとモードのはざまを描くブランドも、東京発のデザイナーズシーンを支えてきた存在です。それぞれ切り口は異なりますが、既存の枠組みに収まらないスタイルを模索してきたという点で、BED j.w. FORDと共通する部分が見えてきます。
似合う人、合わせ方のヒント
BED j.w. FORDのアイテムは、既製のスーツスタイルにも、ストリート寄りのカジュアルにも完全には当てはまらない、その中間の空気感を楽しみたい人に向いています。フォーマルでもカジュアルでもないという曖昧さをそのまま受け止められる人にとっては、既存のドレスコードから自由になれる一着として機能するはずです。逆に、はっきりとしたスタイルの型を求める人にとっては、最初はどう着こなせばよいか戸惑う場面もあるかもしれません。
コーディネートの面では、テーラードジャケットやレザージャケットといったアウターを主役に据え、インナーやボトムスはシンプルにまとめることで、シルエットの繊細さが際立ちやすくなります。ロゴやグラフィックが控えめなアイテムが多いため、色数を絞ったモノトーンに近い組み合わせのほうが、ブランドが目指す洗練された雰囲気を引き出しやすい傾向にあります。ミリタリーテイストの効いたMA-1のようなアイテムであっても、通常のカジュアルな着こなしとは一線を画す艶やかさが漂うため、デニムよりもテーパードの効いたスラックスと合わせるほうが、ブランドの世界観に沿いやすくなるでしょう。
中古市場でBED j.w. FORDを選ぶときに見ておきたい点
BED j.w. FORDは、繊細なディテールと独自のシルエットを特徴とするブランドであるだけに、中古で選ぶ際にはまず縫製の状態を丁寧に確認しておきたいところです。とくにテーラードジャケットやレザージャケットは、肩まわりの縫い目や裏地のほつれが目立ちやすい箇所であるため、届いてからの認識違いを防ぐためにも、購入前の写真や採寸の情報を確認しておくと安心です。MA-1のようにディテールを削ぎ落としたモデルは、シルエットそのものが個体の価値を左右するため、型崩れの有無を重点的にチェックしておくとよいでしょう。
また、BED j.w. FORDはシーズンごとにテーマを変えながらコレクションを展開してきたブランドであるため、同じ「ジャケット」というカテゴリーであっても、発表された年によって素材や意匠が大きく異なります。中古市場では、過去のコレクションで発表された個体ならではの表情に出会えることも少なくありません。気になるアイテムを見つけた際は、可能であればシーズンやコレクションのテーマを調べたうえで購入を検討すると、思い入れのある一着に出会いやすくなります。ロゴやタグの縫い付け方、生地の質感など細部の作り込みを事前に確認しておくことも、状態の良い個体を見極めるうえで欠かせない視点です。
価格帯と、買うタイミングの考え方
BED j.w. FORDのアイテムは、デザイナーズブランドとしての企画力や、細部にまでこだわった仕立てを反映して、一般的なカジュアルブランドと比べると価格帯は高めに位置づけられています。とはいえ、その価格はシーズンごとにテーマを練り上げ、ディテールを作り込んでいく制作プロセスの手間に見合ったものだと捉えることもできるでしょう。セール期には過去シーズンのアイテムが値下げされることもありますが、人気のシルエットやサイズは早い段階で品薄になりやすい傾向があります。
中古市場では、繊細な美意識を持ったデザインゆえに注目を集めやすく、状態の良い個体であれば安定した需要が見込めます。一方で、古いシーズンのアイテムほど価格が落ち着きやすい傾向もあるため、特定のコレクションにこだわらないのであれば、少し前のシーズンから探すことで手に取りやすい価格帯に出会える可能性があります。気に入った一着に出会えたタイミングを逃さず検討するという選び方が、このブランドとの付き合い方としては現実的だといえます。
長く着るための手入れとメンテナンス
テーラードジャケットやレザージャケットのように仕立ての繊細さが際立つアイテムは、自宅での丸洗いには向かないモデルが多く、基本的には信頼できる専門のクリーニング店に相談するのが無難です。とくにレザージャケットは、水濡れやドライクリーニングの方法次第で革が硬化し、シルエットの美しさそのものを損なってしまうことがあります。着用後は乾いた布で軽く汚れを拭き取り、湿気の少ない場所でハンガーにかけて保管するという基本を守るだけでも、型崩れの進行を大きく抑えることができます。
ノーカラー仕様のMA-1のように、通常のミリタリージャケットとは異なる仕立てのアイテムは、リブや裏地の劣化の出方も一般的なミリタリーウェアとは違う場合があります。シーズンオフの間は防虫剤とともに収納し、年に数回は風を通しておくことで、生地や芯地のコンディションを保ちやすくなります。デニムシャツやコラボレーションによる小物類も、素材ごとの洗濯表示を確認したうえで手入れの方法を選ぶことが、コレクションごとの表情を長く楽しむための基本になります。
サイズ感・購入時に気をつけたい点
BED j.w. FORDのアイテムは、身体のラインを拾う繊細なシルエットを多く含むため、一般的なカジュアルブランドの感覚でサイズを選ぶと、思いのほかタイトに感じられることがあります。とくにテーラードジャケットやレザージャケットは、肩幅や身幅にゆとりを持たせすぎない設計になっているモデルが多く、普段よりワンサイズ上げるべきかどうかは、実際の採寸を確認したうえで判断するのが安全です。オンラインストアや中古の出品ページに記載された着丈・身幅・肩幅といった数値を、自分の手持ちの服と照らし合わせて確認しておくことをおすすめします。
MA-1のようにポケットや中綿を省いたモデルは、通常のミリタリージャケットよりも軽やかな着心地になっている一方で、防寒性という実用面ではオリジナルのミリタリー規格品とは異なる位置づけにある点も理解しておきたいところです。実用性よりもシルエットや素材の表情そのものを楽しむアイテムとして向き合うと、このブランドが目指す着こなしの意図に近づきやすくなります。試着ができる環境であれば、実際に袖を通して肩の落ち方や着丈のバランスを確かめておくと、通信販売で選ぶ際の目安にもなるでしょう。
よくある疑問
BED j.w. FORDはどこの国のブランドかという質問がよく見られますが、東京を拠点とする株式会社バースリーが手がける日本のブランドです。ミラノやパリでコレクションを発表していることから海外ブランドだと誤解されることもありますが、デザインの起点はあくまで山岸慎平という一人の日本人デザイナーにあります。
ブランド名の読み方についても質問が寄せられることがありますが、「ベッドフォード」と読みます。ニューヨークの地区名に着想を得たと本人が語っている一方で、由来を紹介する媒体によって説明が異なる場合があるため、興味を持った方は複数の紹介記事を読み比べてみるとよいでしょう。
サイズ感については、身体のラインを意識した繊細なシルエットが多いため、普段よりもジャストサイズか、ワンサイズ上を検討するとよいという声が見られます。実店舗で試着できる機会があれば、肩まわりと着丈を実際に確認しておくことをおすすめします。
デザイナーの経歴について気になる人も多いですが、山岸慎平は服飾の専門教育を受けておらず、古着店やGENERAL RESEARCHでの実務経験を経てブランドを立ち上げたという背景を持っています。理論よりも現場で培った感覚を軸にしているという成り立ちは、このブランドの服づくりの姿勢そのものを理解するうえでの手がかりになります。
まとめ — 着飾ることをやめない、という選択
BED j.w. FORDは、2010年の小さなスタートから、東京、フィレンツェ、ミラノ、パリへと発表の場を広げてきたブランドです。専門的な服飾教育を受けないまま、古着店やGENERAL RESEARCHでの経験だけを頼りにブランドを立ち上げた山岸慎平という一人のデザイナーが、「着飾る」というテーマを軸に据え、ナルシストとロマンチストのはざまで独自のスタイルを築き上げてきました。派手な広告展開ではなく、コレクションを重ねるごとに評価を積み上げてきたという歩み方には、流行を追うブランドとは異なる時間の流れが感じられます。
これからBED j.w. FORDを手に取ろうとしている人には、まずMA-1やテーラードジャケットといった代表的なアイテムから、シルエットや素材の質感を実際に確かめてみることをおすすめします。中古市場に流通する個体には、コレクションごとに異なるテーマの痕跡が残されており、どのシーズンの一着であるかを知ることで、より深くブランドを楽しむことができるはずです。フォーマルでもカジュアルでもない、その形容しがたいスタイルに身を委ねてみることで、BED j.w. FORDが目指してきた「着飾る」という思想の意味が、少しずつ見えてくるのではないでしょうか。











