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学芸大学の古着屋 — 鷹番の夜に開く6店

東急東横線の学芸大学駅は、渋谷から急行で二駅という距離にありながら、駅前の商店街を出るとすぐに住宅街が始まる街です。その鷹番から中央町にかけての一帯に、いまでは20軒を超える古着屋が点在しています。駅の東西に伸びる商店街の路面、その一本裏の路地、そして小さなビルの1階や地下に店が入り、歩いて数分の範囲で性格のまったく違う棚を見比べられます。下北沢や高円寺のように古着の街として名前が通っているわけではないのに、密度だけで見れば都内でも上位に入るという、少し不思議な位置にある街です。

この一帯に店が集まった理由のひとつは、渋谷と中目黒に近すぎず遠すぎないという距離感です。家賃は渋谷や代官山より抑えられ、それでいて東横線一本で都心から来られます。もうひとつは、住宅街としての性格が強いために、夜遅くまで営業しても近隣の生活動線と衝突しにくいという条件です。実際に学芸大学の古着屋は夜10時や11時、深夜まで開いている店が珍しくありません。仕事を終えてから服を見に行けるという営業形態が成立しているのは、この街の構造によるものです。

この記事では、鷹番と中央町を中心に、実際に営業を確認できた独立系の古着店を6軒選びました。全国展開のチェーン店や大手のリユース店は外し、店主やスタッフが在店して選定の意図を伝えている店を軸にしています。学芸大学の店は営業時間が独特で、閉店が深夜に及ぶ店と夕方までの店が混在するため、訪問前に各店のInstagramで当日の営業を確かめてから出かけてください。

鷹番二丁目の古着店

ISSUE — 相場ではなくファッションとしての価値で選ぶ

鷹番二丁目にあるISSUEは、2018年11月に開いた店で、学芸大学の古着シーンを語るうえで外せない一軒です。掲げているのは、古着の相場ではなくファッションとしての価値で判断するという姿勢で、アメリカ古着の持つ土臭さと、美しいシルエットや鮮やかな色彩とのバランスを提案しています。襤褸やペンキの付いた一点物なども扱い、洗練されたセレクトアイテムとしての古着という見せ方が一貫しています。平日は午後3時から夜10時、土日は午後3時から深夜0時までという営業です。棚に並ぶものの選定基準が明確なので、古着をどう捉えるかという考え方そのものを受け取れる店だといえます。専門メディアの取材も受けており、街の外からも人が訪れる存在になっています。裏手にウィメンズの姉妹店もあるため、二人で訪れて別々の店を見て合流するという回り方もできます。

7th — アメトラを軸にした2009年からの独立店

鷹番二丁目の7thは、2009年に独立して開いた店です。オーナーは千葉の柏で古着屋に勤めた経験を持ち、そこからこの街に自分の店を構えました。扱いはラルフローレンやブルックスブラザーズといったアメリカントラディショナルの古着を軸に、現地買い付けの並行輸入品やデッドストック、革靴、ネクタイ、バッグまで広がります。月火水金は午後2時から夜9時、土日は午後1時から夜9時までの営業で木曜が定休です。革靴の在庫が充実しているのが特徴で、服だけでなく足元まで同じ文脈でそろえられます。アメトラという系統を一店で押さえたい人にとって、学芸大学でまず訪れるべき一軒です。駅から徒歩2分という立地で、店の規模は大きくないぶん一枚ずつの説明が受けられる距離感が保たれています。

mistico disco — 80年代前後とインディアンジュエリー

鷹番二丁目のM&K鷹番2階にあるmistico discoは、1980年代前後のレディースを軸に、色柄のはっきりしたアイテムとインディアンジュエリーを扱う店です。金曜から火曜は午後3時から夜10時半、水曜は午後2時から夜9時までの営業で木曜が定休です。来店前にInstagramのストーリーズで開店時間を確認するよう案内が出ており、通販は行っていません。実店舗でしか買えないという前提は、その一枚に会いに行くという行為の重さを変えます。派手な色柄のものが多いので、手持ちの服に一点だけ強いものを足したいという目的に向いています。ジュエリーは服より価格の刻みが細かく、予算の残りで一つ足すという選び方もできます。

派手な色柄のものが多いので、手持ちの服に一点だけ強いものを足したいという目的に向いています。

鷹番三丁目・中央町の古着店

MOOD — 週末が本番のアメリカ古着

鷹番三丁目のMOODは、2021年に開いた店です。店主が平日は別の洋服屋に勤めているため、水曜から日曜の午後2時から夜9時までという営業で、月曜と火曜が定休になっています。扱いはアメリカ古着が中心で、いい意味で力の抜けた雑然とした空気を大事にしている構成です。整えられた店が増えるなかで、古着屋らしい古着屋の温度感を残しているという点に価値があります。子ども服の別アカウントも持っており、家族で古着を着るという層にも応えています。週末しか開いていないという営業形態は不便に見えますが、それは店主が本業の目で選び続けているということの裏返しでもあります。

TRAMPOT — 回転扉の先にあるアメリカとヨーロッパ

鷹番三丁目のロフティ学芸大学1階にあるTRAMPOTは、回転扉から入るという独特の入り口を持つ店です。白を基調とした店内は奥に広く、アメリカとヨーロッパの古着がレディースとメンズでほぼ半々の比率で並びます。営業時間については出典によって記載が分かれており、訪問前にInstagramなどで当日の状況を確かめる必要があります。学芸大学の古着屋のなかでは有名店として名前が挙がる一軒で、産地を絞らずに構成しているため、この街で最初に相場感をつかむのに向いています。二人で訪れて同じ空間を見られるという点も、メンズ専門店が多い古着の世界では実用的な利点です。

ALTNOI — デザイナーズとハイブランドを深夜まで

鷹番二丁目のALTNOIは、国内外のデザイナーズブランドやハイブランドの古着をメンズとレディースの両方で展開する店です。午後1時から夜9時までの営業で水曜が定休という設定になっています。学芸大学の古着屋の多くがアメリカ古着やヨーロッパの実用着を軸にしているのに対して、この店はデザイナーものという別の軸を持っているため、街の中で担っている役割が違います。ハイブランドの古着は真贋と状態の判断が難しい領域なので、店として在庫を管理している場所で見られるという安心感があります。品ぞろえの量も多く、時間をかけて見るほど発見がある店です。夜9時まで開いているので、他店を回り終えたあとの締めに置いても間に合います。

学芸大学で古着を選ぶときの実践ポイント

学芸大学を回るうえでまず押さえたいのは、営業時間が夜に寄っているという点です。午後2時から3時に開き、夜9時から深夜まで営業する店が多いため、日中に訪れると開いている店がほとんどありません。仕事を終えてから回るという使い方に最も適した街で、夕方から動き始めても6軒を回るだけの時間が確保できます。逆に朝から古着屋を回りたいという人には向きません。

もうひとつ、この街は店ごとの軸が明確に分かれているという特徴があります。アメトラ、アメリカ古着、80年代のレディース、デザイナーズと、系統が重なっていません。だからこそ、一日で全部を回るより、その日の目的に合う二軒か三軒に絞って深く見るほうが収穫が大きくなります。中目黒や祐天寺が徒歩圏や一駅の距離にあるため、複数の街をまたいで組み立てるという選択もできます。

選ぶ基準そのものを持っておくと、棚の前での判断が速くなります。アメリカントラディショナルの型がどういう発想で作られてきたのかを、現行の設計として引き受け続けているブランドを一つ知っておくと比較の軸ができます。アメリカの学生服や競技服の意匠を継承しながら現行品として更新しているRalph Laurenのつくりを見ておくと、7thの棚に並ぶオックスフォードシャツやツイードのジャケットが、どの時代のどういう用途を前提にした型なのかを読み取れるようになります。

価格帯とサイズの見立て方

学芸大学の独立系古着店の価格帯は、日常的に着られるレギュラー古着で三千円から八千円あたり、状態のよいヴィンテージやデザイナーズもので一万円から二万円あたりが中心になります。都心に近い立地のぶん、地方都市より数千円高い水準に落ち着いていると考えておくとずれません。ハイブランドの古着はさらに上の帯になりますが、正規の中古市場より抑えられていることが多く、状態と真贋の管理を店に任せられる分の対価と考えると納得しやすくなります。

サイズについては、アメリカ古着とヨーロッパ古着で設計思想が違う点に注意が必要です。アメリカの実用着は肩幅と身幅にゆとりのある型が多く、表記より小さめでちょうどよくなることがあります。ヨーロッパのものは着丈が短く袖が細い傾向があり、表記通りでも腕回りが窮屈に感じることがあります。デザイナーズものはブランドごとに独自の基準を持つため、表記をあてにせず必ず袖を通すのが確実です。

状態の確認も価格と同じくらい重要です。一点物のヴィンテージは生地が薄くなっていることがあり、見た目にきれいでも脇下や襟の裏が弱っている場合があります。学芸大学の店は照明を落とし気味にしているところもあるので、入口近くの明るい場所で生地を透かして確認させてもらうと判断しやすくなります。

効率よく巡るための道順と時間帯

学芸大学の古着店は午後1時から3時のあいだに開き、閉店は夜9時から深夜0時にばらけています。夕方4時に街へ入れば、閉店までに6軒を回るだけの時間があります。日中から動きたい場合は、正午前に開く店がほとんどないため、中目黒や祐天寺を先に回ってから学芸大学へ移動するという組み方が現実的です。

道順としては、駅の東口から鷹番二丁目のISSUE、7th、ALTNOI、mistico discoを固めて回り、そこから鷹番三丁目のTRAMPOTとMOODへ抜ける流れが移動距離を抑えられます。いずれも駅から徒歩5分以内で、荷物が増えても負担になりにくい規模です。中央町方面まで足を伸ばすなら、駅の西側へ回って別の店を追加するという広げ方もできます。

定休日は木曜と水曜に分かれているため、平日に訪れるなら火曜や金曜が空振りの少ない曜日になります。MOODのように平日が定休の店があるので、週末に回ると営業している店の数が最も多くなります。深夜まで営業する店は東横線の終電を意識しておく必要があり、渋谷方面と横浜方面のどちらへ帰るのかで切り上げ時間が変わります。支払いは現金のみの店も残っているため、いくらか用意しておくと安心です。

住宅街に古着屋が層をなす理由

学芸大学が古着の街として名前を出してこなかったのは、この一帯に「古着屋街」と呼べる一本の通りがないからです。下北沢や高円寺は駅前の商店街そのものが古着の集積として認識されていますが、学芸大学の店は鷹番の住宅街に散らばっており、通りを歩いても連続した景色になりません。それでも軒数だけを数えれば都内でも上位に入る密度になっているのは、住宅街の一階や小さなビルの区画が、在庫を絞る個人店にちょうど合うからです。看板を大きく出す必要がなく、常連と発信で客が来る店であれば、路面の目立つ場所は必要になりません。

もうひとつの条件は、この街で働く人たちの近さです。祐天寺や三軒茶屋、三宿、下北沢といった近隣の街で古着屋に勤めた人が、独立して学芸大学に店を構えるという流れが繰り返されてきました。店主同士が互いの店を知っているため、探しているものが自分の店になければ他店を案内するという空気があります。数の多さではなく、こうした横のつながりが街全体の回遊を支えているのです。

まとめ

学芸大学の古着屋は、渋谷から二駅という距離と住宅街という性格が重なった結果として、夜に開く店が層をなしている街です。相場ではなくファッションとしての価値で選ぶ店、アメトラを軸に革靴までそろえる店、80年代の色柄とジュエリーを見せる店、週末だけ開くアメリカ古着の店、産地を絞らずに構成する店、デザイナーズを深夜まで扱う店と、軸の違う6軒が駅から徒歩5分に収まっています。仕事の後に古着を見に行くという習慣を持つなら、都内で最も相性のよい街のひとつです。

東横線沿線のほかの街と合わせて回るなら、中目黒の古着屋ガイド祐天寺の古着屋ガイドが徒歩や一駅の距離で参考になります。東京全体の古着エリアを俯瞰したい場合は東京の古着屋エリアガイドもあわせてご覧ください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のGUIDEカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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