Hongbum Kim というデザイナー
Cres.E.Dim の創業者 Hongbum Kim (김홍범) は韓国出身のデザイナーで、2009 年に自身ブランドを立ち上げました。Kim は音楽理論への深い関心を持ち、特にクラシック音楽における強弱記号 (ダイナミクス・マーク) の概念に深く影響を受けてきました。
音楽の強弱記号を発想源にした重ね布のレイヤー構造やシルエットは独創性が高く評価されています。脱構築的なカッティングは着こなしの自由度がある一方、初めて取り入れる方には合わせ方の難易度がやや高く感じられるかもしれません。
Dim の創業者 Hongbum Kim (김홍범) は韓国出身のデザイナーで、2009 年に自身ブランドを立ち上げました。
ブランド名「Cres.E.Dim」 と音楽理論
「Cres.E.Dim」 というブランド名は、音楽用語「Crescendo e Diminuendo (クレッシェンド・エ・ディミヌエンド、徐々に大きく、徐々に小さく)」 の頭文字から取られています。「CRES」 は Crescendo の略で「徐々に大きく」、「DIM」 は Diminuendo の略で「徐々に小さく」 を意味し、二つの相反するダイナミクスを一つのブランドに統合する命名でした。
Kim はこの音楽理論を自身のファッションアイデンティティと哲学に翻訳する姿勢を取り、コレクション全体で「強弱の二極を一つのコレクションに統合する」 という方向性を貫いてきました。
「Directional Silhouette」 と布のオーバーラップ
Cres.E.Dim の作品の中核を支えるデザイン手法は、Kim が命名した「Directional Silhouette (方向性のあるシルエット)」 です。
具体的には、複数の異なる素材の布を意識的にオーバーラップ (重ね合わせ) し、シェイプを断片化された構造として組み合わせ、繊細なニュアンスのある配色を採用する手法です。Clothes の構造そのものを音楽の楽譜のように設計し、見る角度と動きによって「Crescendo (強さの増加)」 と「Diminuendo (強さの減少)」 が視覚的に表現される独自の構造美を追求してきました。
脱構築と オーバーラップ・レイヤーの代表作品
Cres.E.Dim のコレクションは、脱構築されたカット、オーバーラップ・レイヤー、彫刻的な構造を持つアイテム、ルーズな裾の細部、そしてクラシック・アイテムへの非伝統的な解釈で評価されてきました。
象徴的なアイテムには、Deconstructed Coat (脱構築されたロングコート)、Overlapping Layer Top (重ね布の構造を持つトップス)、Sculptural Dress (彫刻的なシルエットのワンピース)、Asymmetric Skirt (非対称構造のスカート) などが含まれます。
2013 年 CONCEPT KOREA 代表選出
2013 年、Cres.E.Dim の Hongbum Kim は CONCEPT KOREA で韓国代表 5 名のデザイナーの一人に選出されました。CONCEPT KOREA は韓国政府と米国政府が共同で主催するファッション・プログラムで、韓国の主要新進デザイナーを米国のメインストリーム業界に紹介する役割を担います。
CONCEPT KOREA 代表選出により、Kim は New York Fashion Week 期間中の合同ショーケースでコレクションを発表する機会を得て、米国主要バイヤーへの認知拡大に直結しました。
2014 年 Seoul Representative Designer 10 名選出
2014 年、Kim は「Seoul を代表するファッションデザイナー 10 名」 の一人に選出されました。同選出は韓国国内のファッション業界が、ソウル発の主要新進デザイナーを公式に認定する制度で、Kim の Cres.E.Dim は同世代の韓国独立系ブランドを代表する存在として位置づけられました。
サブブランド「DIM.E.CRES.」
Kim は本ライン Cres.E.Dim 以外に、サブブランド「DIM.E.CRES.」 を運営してきました。サブブランド名は本ライン名「CRES. E DIM.」 を逆順に並べた構造で、本ラインの「Crescendo を先に、Diminuendo を後に」 の方向性とは正反対の「Diminuendo を先に、Crescendo を後に」 の方向性を持つラインです。
二つのラインは並列運営され、本ラインがレディースを軸とする一方で、サブラインはより日常的なカジュアル・アイテムを軸とする役割分担で運営されてきました。
脱構築されたカットと布のオーバーラップを重ねる構造的な一着で、音楽理論を翻訳したという独自のコンセプトに裏付けられた個性が光ります。取扱店舗が限られ国内での流通量も少ないため、実物を確認しにくい点は留意しておきたいところです。
主要店舗と取扱チャネル
Cres.E.Dim の販売チャネルは、ソウル国内のフラッグシップ・ストアと、世界各国の主要セレクトショップ・EC で構成されています。Lane Crawford (香港・上海・北京)、NOT JUST A LABEL (グローバル・デザイナーズ・プラットフォーム) などが主要取扱店です。
公式 EC はブランド全体のフィロソフィーとシーズン・コレクション情報を公開する場として機能してきました。
著名な着用者
公の場で Cres.E.Dim を着用した著名人には、韓国エンタテインメント業界の主要女性アーティストや俳優、香港・上海の主要ファッション・インフルエンサーが含まれます。
K-Pop と K-Drama 業界では、独特のオーバーラップ・レイヤー構造を持つコレクションが、ステージ衣装と私服の両方で着用される事例が観察されてきました。
ヴィンテージ古着市場での Cres.E.Dim の見方
Cres.E.Dim の中古市場での流通量は限定的ですが、韓国国内と東アジア市場で取引が観察されます。中古価格帯は、Deconstructed Coat が 25,000 円から 60,000 円台、Overlapping Layer Top が 12,000 円から 30,000 円台、Sculptural Dress が 18,000 円から 45,000 円台、Asymmetric Skirt が 10,000 円から 25,000 円台で取引される事例が観察されます。
タグは「Cres.E.Dim」 ロゴ刺繍と「Made in Korea」 表記が標準で、コレクター層は 2009 年から 2014 年までの創業初期 Made in Korea ロットを特に高評価する傾向があります。
同時代の韓国独立系ブランドとの位置づけ
同時代で並べやすい韓国独立系ブランドは、Pushbutton (2003 年創業、Park Seung-gun)、Wooyoungmi (1989 年創業、Wooyoung Mi)、Juun.J (1999 年創業、Park Jung-jae)、Hyein Seo (2015 年創業)、Andersson Bell (2014 年創業)、Ader Error (2014 年創業)、Post Archive Faction (2018 年創業) などです。
これらと並べたときの Cres.E.Dim の独自性は、音楽理論「Crescendo e Diminuendo」 をブランド全体の哲学に組み込んだ稀有な命名と、「Directional Silhouette」 という独自概念を 16 年にわたって貫いてきた姿勢にあります。










