IMPORT BRAND

Willy Chavarria|2015 NYC 共同創業、Mexican-American Willy Chavarria と David Ramirez による Latinx 主題と 2023-2024 CFDA 連続受賞

Willy Chavarria(ウィリー・チャヴァリア)の魅力|NY発、メキシコ系米国人のメンズウェア王者

カリフォルニア州 Huron の Mexican-American 家庭

Willy Chavarria は米国カリフォルニア州中央部の小さな農業町 Huron で生まれ育ちました。本人によると、母方の祖父母はメキシコからの移民で、Huron の Mexican-American コミュニティは、農業労働者として米国に根を張ったラテン系第一世代と第二世代が中心の地域です。

Chavarria は、自身のメキシコ系米国人としてのアイデンティティが、後年のデザイン作品の核となる「Latinx (ラテンクロス、ラテン系を性別中立的に表す表記) への敬意」 という主題に直結していると、複数のインタビューで語ってきました。

GUZ編集部レビュー4.0 / 5

チョロ文化の視覚言語を上質な素材で再構築する手法は、CFDAメンズウェア賞の連続受賞という形でも裏付けられています。ダブダブとしたシルエットが基調のため、体に沿ったすっきりした着こなしを好む方には合いにくい面があります。

Willy Chavarria は米国カリフォルニア州中央部の小さな農業町 Huron で生まれ育ちました。

サンフランシスコでのデザイン教育とキャリア出発

Chavarria は San Francisco State University でファッションとデザインを学び、卒業後はサンフランシスコの小規模なファッション業界で経験を積みました。1990 年代から 2000 年代の米国西海岸ファッション業界は、新進クリエイターのための充実した教育機関と独立系ブランドの集積地として機能しており、Chavarria はその中で実務経験を重ねました。

その後、自身が育ったメキシコ系米国人の視覚的・文化的記憶を、商業ファッションの主流に翻訳する独自の道筋を探求するため、より大手ブランドへの転職を選びました。

Ralph Lauren、American Eagle、Calvin Klein での経験

Chavarria は Ralph Lauren、American Eagle、そして Calvin Klein のメンズデザイン部門で連続してデザインキャリアを重ねました。特に Calvin Klein 期は、当時のクリエイティブディレクター Raf Simons (2016-2018 在籍) のチームに参画し、米国の主要メンズウェアブランドのグローバル展開を内側から経験する貴重な機会となりました。

この大手ブランド経験は、Chavarria が後年に自身ブランドを立ち上げる際の商業面の知識と、業界の主流のメンズデザインの規範を理解する基盤となりました。

2015 年自身ブランド Willy Chavarria 共同創業

2015 年、Chavarria はビジネスパートナーの David Ramirez と共同で米国ニューヨークで自身ブランド Willy Chavarria を立ち上げました。Chavarria がクリエイティブディレクターとして作品全体の方向性を、Ramirez がビジネス運営を担う役割分担で、創業から共同経営の体制を維持してきました。

最初のコレクションは小ロット生産で、ニューヨーク Lower East Side の独立系セレクトショップで取扱されました。ブランドの主題は最初から明確で、二人は「米国のメインストリーム・ファッションが見過ごしてきた Latinx コミュニティの視覚的アイデンティティを、ハイエンドメンズウェアに翻訳する」 という方針を掲げました。

Cholo 文化とラテン系視覚イメージの再構築

Willy Chavarria の作品の中核には、カリフォルニア州とテキサス州の Mexican-American コミュニティに根付いた「Cholo (チョロ)」 文化への深い敬意があります。Cholo はメキシコ系米国人若者の独特なスタイル文化を指し、ダブダブのスラックス、ボタンアップの白シャツ、ハイソックス、Pendleton 柄チェックシャツ、低い位置のベルトといった視覚要素で構成されます。

Chavarria の手法は、これらの視覚要素を単に引用するのではなく、ラグジュアリー・モードの素材 (イタリア製ウール、ベルギー製シルク、ポルトガル製コットン) と組み合わせて再構築し、ファッション業界の主流に Latinx の美学を提示する道筋を切り拓きました。

2023 年 CFDA Menswear Designer of the Year

2023 年 11 月、Willy Chavarria は CFDA (Council of Fashion Designers of America) Fashion Awards で Menswear Designer of the Year を受賞しました。同賞は米国メンズファッション業界の最高峰の称号で、過去の受賞者には Thom Browne、Raf Simons for Calvin Klein、Tom Ford、Ralph Lauren、Marc Jacobs などが名を連ねます。

Chavarria の受賞は、Mexican-American デザイナーとして CFDA Menswear 部門を制した最初期の事例の一つで、業界の多様性議論に新たな視点を加える歴史的な瞬間として記録されました。

2024 年 American Menswear Designer of the Year 連続受賞

翌 2024 年 10 月の CFDA Fashion Awards でも、Chavarria は American Menswear Designer of the Year を再受賞しました。連続 2 年の主要部門受賞は、業界の通常パターン (受賞者は 1 年で別ブランドに譲るのが慣例) を超える稀有な現象で、業界批評家からは「Chavarria の独自路線が、メンズウェアの新基準を提示している」 と評価されました。

2024 年 Pier 17 ショーと政治的メッセージ

2024 年 9 月の New York Fashion Week で、Chavarria は ニューヨーク Lower Manhattan の Pier 17 で大規模ショーを開催しました。会場は港湾物流の倉庫を改装したミニマルな空間で、ラテン系コミュニティの讃美歌を背景に、150 名のモデルがゆっくりとした行進形式でランウェイを歩く独自演出が施されました。

ショーの主題は「Sacred (聖なるもの)」 で、米国の Latinx コミュニティが日常的に経験する困難 (移民問題、差別、医療アクセス、教育格差) への敬意と、文化的アイデンティティを保つことの重要性を、ファッションの形で表明する内容でした。

主要店舗と取扱チャネル

Willy Chavarria の取扱店は、SSENSE (グローバル EC)、MATCHESFASHION (英国 EC)、Net-a-Porter (グローバル EC)、Dover Street Market (ロンドン、東京、北京、LA、Paris、Ginza)、Browns (ロンドン)、Selfridges (ロンドン)、Bergdorf Goodman (NYC) などが主要取扱店です。

直営店は持たず、ニューヨーク本社をショールーム兼アトリエとして運営する小規模体制を維持しています。

著名な着用者

公の場で Willy Chavarria を着用した著名人には、Bad Bunny (プエルトリコ系米国人、Latin Grammy 多受賞)、Pedro Pascal (チリ系米国人俳優)、Rosalía (スペイン)、Lin-Manuel Miranda (プエルトリコ系米国人)、America Ferrera (ホンジュラス系米国人女優)、John Leguizamo (コロンビア系米国人俳優) などのラテン系著名人を中心に、A$AP Rocky、Frank Ocean、Pharrell Williams、Tyler, The Creator もラテン系以外の主要着用者として記録されています。

特に Bad Bunny は 2023 年から 2024 年にかけて Willy Chavarria を公の場で頻繁に着用し、ラテン系音楽業界とファッション業界の連携を象徴する代名詞的な広告塔として機能しました。

ヴィンテージ古着市場での Willy Chavarria の見方

Willy Chavarria は創業から 11 年と歴史が浅く、中古市場での流通量は限定的ですが、2023 年 CFDA 受賞以降の認知拡大により二次流通価格が上昇傾向にあります。中古価格帯は、Cholo Suit (ダブダブのスーツ) が 80,000 円から 200,000 円台、Pendleton 柄チェックシャツの再構築アイテムが 30,000 円から 80,000 円台、Boxing Robe (ボクシングロブをモチーフにしたコート) が 60,000 円から 150,000 円台で取引される事例が観察されます。

タグは「Willy Chavarria, New York」 表記が標準で、生産地は「Made in USA」 「Made in Italy」 「Made in Portugal」 の三つに分散します。

同時代のラテン系米国人デザイナーとの位置づけ

同時代で並べやすいラテン系米国人デザイナーは、Carolina Herrera (1981 年創業、ベネズエラ出身)、Oscar de la Renta (1965 年創業、ドミニカ共和国出身)、Narciso Rodriguez (1997 年創業、キューバ系米国人)、Maria Cornejo (1998 年創業、チリ系米国人) などです。

これらと並べたときの Willy Chavarria の独自性は、ラグジュアリーモードの伝統的な記号 (フランス・イタリア基準) を踏襲するのではなく、米国南西部の Latinx コミュニティの視覚的記憶を直接ハイエンドに翻訳する逆向きのアプローチを取った点にあります。前世代のラテン系デザイナーが欧米メインストリームへの同化を選ぶ中で、Chavarria は自身のアイデンティティを前面に出した独自路線を確立しました。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のIMPORT BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

「IMPORT-BRAND」で読まれている

あなたへのおすすめ

Shang Xia(シャンシア/上下)— エルメスと蒋琼耳が紡いだ、中国工芸とラグジュアリーの交差点 IMPORT BRAND Shang Xia(シャンシア/上下)— エルメスと蒋琼耳が紡いだ、中国工芸とラグジュアリーの交差点 2025.01.19 Reike Nen(レイケネン)— ソウル発、ユン・ホンミが建築的なヒールで描く現代の女性靴 IMPORT BRAND Reike Nen(レイケネン)— ソウル発、ユン・ホンミが建築的なヒールで描く現代の女性靴 2024.11.03 HIPANDA(ハイパンダ)— アーティストJiJiのパンダ彫刻から生まれた、上海発ストリートブランドの軌跡 IMPORT BRAND HIPANDA(ハイパンダ)— アーティストJiJiのパンダ彫刻から生まれた、上海発ストリートブランドの軌跡 2025.01.19 ライオット ディビジョン(Riot Division)— 2010年キーウ発、機能と変形のウクライナ・テックウェア IMPORT BRAND ライオット ディビジョン(Riot Division)— 2010年キーウ発、機能と変形のウクライナ・テックウェア 2024.11.03 NEEMIC(ニーミック)— 香港生まれ、北京を拠点に15年続く中国サステナブルファッションの先駆け IMPORT BRAND NEEMIC(ニーミック)— 香港生まれ、北京を拠点に15年続く中国サステナブルファッションの先駆け 2025.01.19 Peter Do|ベトナム系難民の家庭からニューヨークの代表的な紳士服ハウスと Helmut Lang 指揮者まで IMPORT BRAND Peter Do|ベトナム系難民の家庭からニューヨークの代表的な紳士服ハウスと Helmut Lang 指揮者まで 2026.05.11 Helmut Lang(ヘルムート・ラング)— ウィーンが生んだ、90年代ミニマリズムの旗手 IMPORT BRAND Helmut Lang(ヘルムート・ラング)— ウィーンが生んだ、90年代ミニマリズムの旗手 2024.09.19 CMMN SWDN(コモン・スウェーデン)の魅力|ストックホルム IMPORT BRAND CMMN SWDN(コモン・スウェーデン)の魅力|ストックホルム 2026.04.30 Feng Chen Wang|ロンドン 2015 創業、中国福建省出身 Royal College of Art 卒業の Genderless デザイナーと Nike コラボ IMPORT BRAND Feng Chen Wang|ロンドン 2015 創業、中国福建省出身 Royal College of Art 卒業の Genderless デザイナーと Nike コラボ 2026.04.30 Diptyque(ディプティック)の魅力|パリ発、香水とインテリア IMPORT BRAND Diptyque(ディプティック)の魅力|パリ発、香水とインテリア 2026.05.06
このブランドの商品を探す 新品楽天ファッション 中古メルカリ