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世田谷区で北欧食器を探す — ヴィンテージマグカップとうつわの5軒

木製シェルフに並ぶミニマルな北欧食器(ボウル・皿・ティーポット・マグ)。世田谷区の北欧食器ガイドのイメージ

住宅街の奥にこそ、北欧食器の名店がある

世田谷区は、渋谷や新宿のような繁華な中心地を持たない代わりに、赤堤、経堂、北烏山、尾山台、玉川といった住宅街のそこかしこに、店主ひとりの目利きで成り立つ小さな店が点在してきた土地です。北欧のヴィンテージ食器やうつわを扱う店も例外ではなく、大通りの路面ではなく、商店街の奥や住宅地の一角に構えているケースが目立ちます。看板を掲げずに営業している店も多く、知っている人だけが通う隠れ家のような雰囲気を持つのがこのエリアの特徴です。

一方で、この数年でエリアの顔ぶれは静かに入れ替わってきました。三軒茶屋にあった北欧食器の人気店は二〇二〇年に閉店し、下北沢の専門店も二〇一八年に埼玉へ移転しています。自由が丘にあったフィンランド食器の直営店も二〇二〇年に実店舗を閉じました。住宅街の一角で家賃を抑えながら営むという業態は、後継者の有無や店主の体力に左右されやすく、決して安泰ではありません。こうした流れのなかで、経堂や北烏山、赤堤といったエリアで長く営業を続ける店の存在は、かえって際立って見えます。本記事では、世田谷区内で北欧の器を実際に扱っている店を五軒、住所と営業時間つきで紹介します。掲載情報は変わることがあるため、訪問前には各店の公式情報やSNSで最新の状況をご確認ください。

看板を掲げずに営業している店も多く、知っている人だけが通う隠れ家のような雰囲気を持つのがこのエリアの特徴です。

編集部が定点観測する、世田谷区の北欧食器・うつわ5店

ここで紹介する五軒は、北欧のヴィンテージ食器を軸にする独立系の小さな店を中心に選びました。あわせて、北欧デザインの世界観を体系的に見渡せる大型店も一軒加えています。まずは独立系の店で一点物の魅力に触れ、大型店で全体像を確認するという回り方をすると、自分の好みの輪郭がつかみやすくなります。掲載にあたっては各店の公式サイトやSNSの直近の投稿を確認し、閉店や移転をしていないことを個別に確かめたうえで選んでいます。それでも小さな個人店は臨時休業や営業時間の変更が起こりやすいため、訪問前の最終確認は引き続きおすすめします。

LITEN BUTIKEN — 赤堤の北欧・東欧ヴィンテージ食器店

世田谷線・京王線の下高井戸駅から少し歩いた赤堤の住宅地に構える、北欧と東欧のヴィンテージ食器を扱う小さな店です。フィンランドのARABIAやFINEL、スウェーデンのRörstrandやGustavsberg、Jie Gantofta、デンマークのLyngby Porcelainといった陶磁器ブランドのヴィンテージ品が、店主自身の買い付けによって棚に並びます。店内にはカフェスペースも設けられており、スウェーデンの紅茶やシナモンロールを味わいながら食器を眺められる作りです。

もともとは三軒茶屋にあった店が二〇一四年に下高井戸へ移転してきたという経緯があり、移転後も北欧食器を軸にした専門性の高さを保ち続けています。ガラスケース越しに眺めるだけの店ではなく、実際に手に取って質感や重みを確かめられる距離の近さが心地よい店です。営業時間はコンパクトで、平日と休日で開店時間も変わるため、事前に電話やSNSで確認してから向かうと安心でしょう。

Chuffy — 経堂で三十年以上続く北欧・東欧ヴィンテージ雑貨店

経堂駅から徒歩五分ほどの宮坂にある、北欧と東欧のヴィンテージ生活雑貨を扱う店です。一九五〇年代から七〇年代にかけての食器や洋服、靴、アクセサリーまでを幅広く扱い、暮らし全体をコーディネートできる品揃えが特徴になっています。マリメッコの珍しいサイズの生地が並ぶこともあり、定番のファブリックとは違う出会いを求める人に向いています。

店主は東京蚤の市をはじめとした各地のアンティークイベントにも継続的に出店しており、実店舗とイベント出店の両輪で北欧・東欧の生活雑貨を紹介してきました。そのぶん催事出店で実店舗が不在の日もあるため、目当ての一枚がある場合は訪問前にSNSで在店状況を確かめておくと確実です。定番のブランド食器だけでなく、名もない作り手の日用品まで幅広く並ぶ、掘り出し物探しの楽しさがある店です。

FURUICHI/古一 — 北烏山の北欧ヴィンテージ家具・食器専門店

京王線の芦花公園駅と千歳烏山駅の中間あたり、北烏山の住宅地に店を構える、北欧ヴィンテージ家具と食器を専門に扱う店です。デンマークのイェンス・H・クイストゴーがデザインしたコーディアルシリーズの食器や、ビング・オー・グレンダールのプレート、コスタボダやホルムガードのガラス器、ヌータヤルヴィのガラス製品など、家具だけでなく食卓まわりの品揃えも本格的です。照明やダイニングテーブル、椅子まで含めて空間ごと北欧デザインを提案できる規模感があります。

素材やデザインへのこだわりから生まれた、時間を経たからこその風合いを大切にセレクトしているのがこの店の姿勢です。ヴィンテージ家具の店は食器の扱いが薄いことも多いなか、古一は皿一枚から部屋全体のコーディネートまでを一気通貫で相談できる懐の深さがあります。基本的に無休で営業しているため、平日の空いた時間にふらりと立ち寄りやすいのも利点です。仕入れの都合で臨時休業になる日はSNSで告知されるので、遠方から訪れる場合は事前に確認しておくとよいでしょう。

corneille — 尾山台の作家もののうつわとプリンの店

尾山台のハッピーロード商店街に、二〇一九年十月に店を開いた、作家もののうつわを扱う店です。オーナーはテーブルコーディネーター兼フードスタイリストとして活動してきた下田有利さんで、和洋を問わず作り手の個性が伝わる一点ものの器を、独自の目線でセレクトしています。北欧食器の専門店とは性格が異なりますが、量産品にはない手のあとを楽しむという点で、この記事の他の店と地続きの魅力を持つ一軒です。

コロナ禍で来店客が減った時期に、店内で手作りする無添加のプリンの製造販売を始めたことでも知られています。器を眺めながらプリンを持ち帰れるという組み合わせは、日々の暮らしに小さな寄り道を作りたい人に向いています。定休日は火曜を基本としつつ、水曜も休みになる週や繁忙期の変動があるため、訪問前にInstagramで最新の営業状況を確かめておくと確実です。

ACTUS 二子玉川店 — 北欧デザインを体系的に見渡せる大型インテリアストア

二子玉川ライズのテラスマーケット内にある、家具から食器までを扱う大型インテリアストアです。北欧デザインを軸にした品揃えのなかで、iittalaやARABIAといった北欧食器の定番ブランドを取り扱っており、コラボレーションによる限定の食器セットが並ぶこともあります。ここまで紹介した四軒がヴィンテージや作家ものを主軸にした個人店であるのに対し、ACTUSは新品の北欧食器を体系立てて比較できる場という位置づけになります。

独立系の店で一点物の面白さに触れたあと、こうした大型店で定番ブランドの現行ラインナップを確認すると、自分がヴィンテージの風合いを求めているのか、それとも新品の均一な美しさを求めているのかが見えてきます。二子玉川ライズという商業施設内にあるため、買い物のついでに立ち寄りやすいのも実用的な利点です。福袋など季節ごとの限定企画が組まれることもあり、通常の店頭在庫とは違う組み合わせの食器に出会える機会も用意されています。

五軒を効率よく回るなら、路線ごとに日を分ける

今回紹介した五軒は、いずれも世田谷区内にありますが、最寄り駅の路線はばらばらです。LITEN BUTIKENのある下高井戸・赤堤と、Chuffyのある経堂は、東急世田谷線や小田急線・京王線を使えば同じ日に無理なく回れる距離感にあります。午前中に下高井戸でLITEN BUTIKENの棚をゆっくり眺め、昼過ぎに経堂へ移動してChuffyに立ち寄るという順番であれば、移動の負担を抑えながら二軒を見比べられるでしょう。京王線でもう少し西へ足を延ばすなら、千歳烏山・芦花公園のFURUICHIも同じ沿線上にあり、家具まで含めた北欧デザインの広がりを確認できます。

一方、尾山台のcorneilleと二子玉川のACTUSは東急大井町線・田園都市線側にあり、下高井戸や経堂からは電車を乗り継ぐ必要があります。器という共通点はあっても土地としてのつながりは薄いため、無理に一日で五軒すべてを回ろうとせず、世田谷線・京王線側と東急線側で日程を分けるほうが、一軒ごとにじっくり向き合う時間を確保できます。小さな個人店ほど、混雑した状態で駆け足に見て回るよりも、店主と会話をしながら選んだほうが満足度の高い一枚に出会えるものです。

北欧食器を選ぶときに知っておきたいこと

北欧の食器ブランドには、それぞれ異なる成り立ちがあります。フィンランドのARABIAは一八七三年にヘルシンキで創業した陶磁器メーカーで、カイ・フランクをはじめとするデザイナーが手がけたシンプルな器が広く親しまれてきました。スウェーデンのRörstrandは一七二六年創業と北欧でも屈指の歴史を持ち、Gustavsbergもまた長い時間のなかで幾つものデザイナーと組んで多彩な柄を残しています。デンマークのイェンス・H・クイストゴーは家具デザイナーとして知られながら、コーディアルシリーズのような温かみのある陶器も手がけており、家具と食器の両面から北欧デザインの厚みを支えてきた人物です。こうした背景を知っておくと、店頭で一枚を選ぶときの手がかりが増えます。

フィンランドのiittalaは一八八一年にガラス工房として創業し、アルヴァ・アアルトが手がけた波打つ形のベースなど、ガラス製品の名作を数多く残してきたブランドです。テキスタイルで知られるマリメッコは一九五一年にアルミ・ラティアが立ち上げた会社で、当初から生地だけでなく暮らしの道具全般を提案する姿勢を持っていました。二〇〇〇年代以降はiittalaとマリメッコが共同で食器を展開することも増え、柄と器の形の両方から北欧デザインを楽しめる選択肢が広がっています。こうした成り立ちを知っておくと、ヴィンテージ品と新品のどちらを選ぶにしても、目の前の一枚がどの時代のどんな思想から生まれたのかが見えてきます。

古い時代の食器を選ぶ際は、欠けやヒビ、絵付けの摩耗の有無を実際に手に取って確認することが欠かせません。写真だけでは分かりにくい細かな傷や、電子レンジ・食洗機に対応しない年代の釉薬もあるため、日常使いを想定するなら店員に使用上の注意を尋ねておくと安心です。裏面の刻印や窯印は年代を見分ける手がかりになりますが、復刻品と初期生産品とで刻印の書体が異なる場合もあるため、判断に迷ったら店主に確認するのが確実です。同じ柄でも生産された年代によって色味や絵付けの濃淡が異なることも多く、その個体差こそが古い器ならではの面白さでもあります。一枚だけを買って和食器と組み合わせるのか、シリーズで揃えて食卓の主役にするのかによっても、選ぶべき店の性格は変わってきます。個人店であれば予算や用途を率直に伝えることで、店主が持つ知識をもとに候補を絞り込んでもらえるはずです。

まとめ — 世田谷区は、北欧食器を探し歩くのに向いた街

世田谷区の北欧食器・うつわの店は、派手な看板や集客力で勝負するのではなく、店主ひとりの審美眼と長年の買い付けによって成り立っています。赤堤のLITEN BUTIKEN、経堂のChuffy、北烏山のFURUICHI、尾山台のcorneille、そして二子玉川のACTUS。性格の異なる五軒を回るだけでも、ヴィンテージの一点物から新品の定番ブランドまで、北欧食器の幅広さを体感できるはずです。閉店や移転を経てもなお、こうして個性のある店が住宅街に息づいていることこそ、このエリアの奥深さと言えるでしょう。マグカップ一つを選ぶ小さな時間が、暮らしの器選びの視点を広げてくれます。仕入れのタイミングによって棚の顔ぶれが変わる店が多いため、一度訪れて気に入らなかった場合でも、季節を変えて再訪すると、以前は無かった違う一枚に出会える可能性があります。

関連記事として、表参道の器・うつわ店ガイド東京の伝統工芸ショップガイド東京のセレクトショップガイドもあわせてご覧ください。

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