GUIDE

柏・ウラカシの古着屋 — 20年以上続く6店

千葉県柏市の駅周辺、とくに南口側の一帯は「ウラカシ」という愛称で呼ばれ、1990年代から古着とストリートの街として知られてきました。柏三丁目の雑居ビルの2階、千代田や旭町の路面、東口から数分歩いた通り沿いに、開店から20年から30年になる店が今も並んでいます。東京の郊外都市でこれだけ古い古着屋が同時に残っている場所は多くなく、店主が自ら渡米して選んだものを扱う体制を長く続けてきた店が複数あるという点で、柏は独立した古着の街として成立しています。

ウラカシという呼び名が生まれたのは、駅前の大型商業施設が並ぶ「表」に対して、その裏手の路地に個性のある店が集まったという構図からです。1990年代にセレクトショップとストリートブランドの店が集積し、そこに古着屋が加わって、若い客層が電車で集まる街になりました。その後は流行の中心が移り、店の入れ替わりもありましたが、当時からの店がいくつも残ったことで、いまでは「長く続いている古着屋を訪ねる街」という性格に変わっています。1997年、1999年、2001年、2005年、2008年と、開店年を並べるだけで街の層の厚さが見えてきます。

この記事では、柏駅の東口と南口の周辺を中心に、実際に営業を確認できた独立系の古着店を6軒選びました。全国展開のチェーン店や大手のリユース店は外し、店主が買い付けと接客を担う店を軸にしています。柏の個人店は不定休の店が多く、買い付けによる臨時休業も起こるため、遠方から向かう場合は各店のInstagramで直近の告知を確かめてから出かけてください。

柏三丁目の古着店

c’mon — 2,000着の物量で掘るデザイン性の高い棚

柏三丁目のc’monは2001年の開店で、商品総数がおよそ2,000着という物量を持つ店です。1940年代のヴィンテージから90年代のレギュラー古着まで年代の幅が広く、スタイリストが足しげく通うほどデザイン性の高いアイテムがそろうと評されています。正午から夕方7時までの営業で定休は不定です。特徴的なのは、公式サイトもSNSも持たずに営業しているという点で、店の中身は実際に行かないと分かりません。情報が先に出回らないぶん、棚に残っているものの質が保たれているという見方もできます。物量のある店では、まず全体を一周して年代と価格の分布を把握し、二周目で狙いを絞るという回り方が効きます。時間に余裕を持って入るのがこの店を楽しむ条件です。柏駅から徒歩数分の雑居ビルにあり、看板も控えめなので、初回は住所を頼りに向かうほうが早く着きます。

wasteville — 1999年から続くオーナー直買い付け

柏三丁目の山口ビル2階にあるwastevilleは1999年の開店で、柏の古着シーンでも古株にあたる店です。商品は毎回オーナー自らがアメリカから直接買い付けており、ウェアだけでなく家具や食器まで扱っています。正午から夕方7時までの営業で月曜と水曜が定休です。買い付けを他人任せにしないという体制を20年以上続けているため、棚全体に一人の目線が通っています。服と家具が同じ空間に並ぶ構成なので、部屋の質感ごとそろえたいという相談にも応じられます。定休が週に二日あるので、訪問日を決めるときは最初に確認しておくべき一軒です。

gimmick — 2005年開店、時代とジャンルにとらわれない選定

柏三丁目のブラウンハイム柏にあるgimmickは、2005年6月に地元の柏で開いた店です。1950年代から2000年代まで、時代やジャンルにとらわれず、オーナーが手に取って良いと感じたものを選ぶという方針で棚を組んでいます。午後1時から夕方7時までの営業で定休は不定です。年代や産地で括らない選定は、一貫性がないように見えて実は選ぶ人の基準がいちばん強く出ます。レディースの比率が比較的高く、アメリカ製を軸にしながらヨーロッパやアジアのものも混ざるという構成です。柏三丁目の他の店とは徒歩数分の距離なので、続けて回って選定基準の違いを比べるという見方ができます。地元で20年近く続いているため、柏の古着シーンの変化そのものを聞ける相手でもあります。

1997年、1999年、2001年、2005年、2008年と、開店年を並べるだけで街の層の厚さが見えてきます。

千代田・旭町・柏三丁目北側の古着店

SHAMROCK — 1997年から、ほとんどをデッドストックで

旭町の飯塚ビル1階にあるSHAMROCKは1997年の開店で、ここで取り上げるなかで最も古い店です。店主の吉田恭輔さんが選ぶのは、ジャンルを問わない古き良きアメリカンファッションの基本アイテムで、そのほとんどをデッドストックで展開しているという点が際立っています。午前11時から夜8時までの営業で月曜が定休です。デッドストックとは未使用のまま残っていたもので、当時の生地と縫製をそのまま確かめられる資料的な価値があります。アンティーク雑貨やレザーシューズも扱い、柄物のアロハシャツやボウリングシャツといった時代を象徴するアイテムも並びます。営業時間が長く定休が明確なので、旅程を組みやすい一軒でもあります。

AEUGO — スニーカーとデニムを履ける状態で

千代田のAEUGOは2001年の開店で、1950年代から80年代を軸にデニムとスニーカーを展開する店です。特徴的なのは、扱うスニーカーの全品が実際に履けるコンディションであるという点で、飾るためではなく使うためのものとして選ばれています。午後1時から夕方7時までの営業で定休はありません。古いスニーカーは加水分解でソールが崩れるという問題を抱えるため、履けるかどうかを基準に選定している店は貴重です。柄物のシャツやポップなデザインのTシャツも豊富で、レディース専門の関連店も持っています。柏駅から少し歩く位置ですが、無休なので予定に組み込みやすい店です。スニーカーは同じモデルでも年代で木型と素材が変わるため、気になった一足があれば製造年を尋ねてみると選択の精度が上がります。

Gleeful 柏店 — カフェ併設で古着を日常に置く

柏三丁目のパーク・ノヴァ柏1階にあるGleefulは、2008年に開いた本店を2015年に現在の場所へ移し、カフェを併設して生まれ変わった店です。正午から夜8時まで年中無休で営業しています。商品はヴィンテージから定番のレギュラー、トレンドに沿ったものまで幅広く、メンズとレディースの比率はほぼ半々です。1980年代から90年代のアメカジが豊富で、大学生の客層にも支持されています。カフェがあるということは、服を見て終わりではなく、そこで座って考える時間が用意されているということです。柏駅東口から徒歩6分という位置で、一日の締めに置いても年中無休という安心感があります。

柏で古着を選ぶときの実践ポイント

柏を回るうえでまず押さえたいのは、店の多くが開店から20年以上経っているという事実の意味です。流行の周期を何度も見てきた店主が選ぶものは、いま値が上がっているかどうかとは別の基準で棚に並んでいます。相場を追いかけて買うのではなく、その店主が20年間何を良いと考えてきたのかを読み取るという姿勢で入ると、柏の面白さがいちばん立ち上がります。

もうひとつ、柏はSNSや公式サイトを持たない店が残っているという特徴があります。事前に棚の中身を確認できないため、行ってみないと分からないという前提で予定を組むことになります。逆に言えば、情報が先に出回っていないぶん、良いものが残っている可能性が高いということでもあります。物量のある店では時間を惜しまず一枚ずつ見ることが、そのまま収穫につながります。

選ぶ基準そのものを持っておくと、棚の前での判断が速くなります。ヴィンテージの仕様や当時の縫製を、現行の設計として再現し続けているブランドを一つ知っておくと比較の軸ができます。過去の実用着の構造を丹念に読み解いて現代の生産で組み直しているA.PRESSEのつくりを見ておくと、SHAMROCKの棚に並ぶデッドストックが、どの部分に当時の判断が残っているのかを見分ける手がかりになります。

価格帯とサイズの見立て方

柏の独立系古着店の価格帯は、日常的に着られるレギュラー古着で三千円から八千円あたり、状態のよいヴィンテージやデッドストックで一万円台から数万円というあたりが目安です。デッドストックは未使用という希少性がそのまま価格に乗るため、着るためなのか資料として持つためなのかを自分の中で決めてから見たほうが判断が早くなります。物量のある店では価格帯の幅が広いので、予算の上限を先に決めておくと迷いが減ります。

サイズについては、年代が古くなるほど現代の体型と合わなくなる点に注意が必要です。1940年代から50年代のアメリカ古着は全体に小柄な設計で、肩幅は合っても袖丈が足りないということが起こります。80年代から90年代のアメカジは逆にゆとりのある型が多く、表記より小さめでちょうどよくなることがあります。スニーカーは同じサイズ表記でも年代とモデルで木型が違うため、必ず履いて確かめる必要があります。

状態の確認も価格と同じくらい重要です。古いスニーカーはソールの加水分解、古いウールは虫食いという固有の弱点があります。明るい場所で確認し、直せる範囲かどうかを店主に相談してから決めると、買ってから何年使えるかの見通しが立ちます。20年以上続く店であれば、こうした相談に的確な答えが返ってきます。

効率よく巡るための道順と時間帯

柏の古着店は正午から午後1時のあいだに開き、閉店は夕方7時から夜8時にそろっています。夕方7時で閉まる店が多いため、正午に街へ入って動き始めるのが確実です。午前11時から開くSHAMROCKを最初に置き、夜8時まで開いているGleefulを最後に置くと、営業時間を最大限使えます。

道順としては、旭町のSHAMROCKから始めて柏三丁目のc’mon、wasteville、gimmickを固めて回り、千代田のAEUGOへ抜けて、最後に東口側のGleefulで締めるという流れが移動距離を抑えられます。柏三丁目の3軒は徒歩数分の圏内にあるので、ここを中心に据えると効率がよくなります。千代田はやや離れるため、歩く順番を間違えると往復が発生します。

定休日は月曜と水曜に集中する傾向があるため、平日に訪れるなら火曜から金曜のあいだが空振りの少ない曜日になります。柏駅は常磐線と東武アーバンパークラインが交わる駅で、上野から30分ほど、北千住からは20分ほどの距離です。日帰りで回りきれる規模なので、都内から半日で訪れるという使い方に向いています。支払いは現金のみの店も残っているため、いくらか用意しておくと安心して選べます。

ウラカシという呼び名が残した条件

柏が古着とストリートの街になった経緯には、この街の地理的な位置が関係しています。常磐線で上野から30分、東武線で船橋方面へも抜けられる乗り換えの拠点であり、千葉県北西部と茨城県南部から人が集まる商圏を持っていました。1990年代に駅前の大型商業施設が「表」を占め、その裏手の路地に個性のある店が入っていったという構図は、家賃の差がそのまま店の性格の差になった典型例です。若い客層が電車で集まるという条件があったことで、路面ではなくビルの2階でも店が成立しました。

その後、流行の中心はほかの街に移り、当時のセレクトショップの多くは姿を変えました。それでも古着屋が残ったのは、扱っているものが流行の周期に完全には依存しないからです。年代の古い実用着は、いま何が流行しているかとは別の理由で価値を持ちます。結果として柏は、賑わいの中心ではなくなったあとも、長く続く古着屋を訪ねる街として位置づけが変わりました。開店年が1997年から2008年に集まっているという事実は、その転換をそのまま示しています。

まとめ

柏の古着屋は、ウラカシという呼び名が生まれた1990年代の集積のうえに、開店から20年以上経った店が複数残っているという構成です。2,000着の物量を情報発信なしで支える店、20年以上オーナー自ら渡米して買い付ける店、ほとんどをデッドストックで展開する1997年開店の店、履ける状態のスニーカーを揃える店、カフェを併設して年中無休で開ける店と、続いてきた理由がそれぞれ違う6軒が徒歩圏に収まっています。

首都圏のほかのエリアと合わせて回るなら、北千住の古着屋ガイド大宮の古着屋ガイドが距離感の近い参考になります。全国の古着エリアを俯瞰したい場合は日本全国の古着エリアガイドもあわせてご覧ください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のGUIDEカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

SHARE

「GUIDE」で読まれている

あなたへのおすすめ

掲載6店を地図で見る 関連ガイド