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Mowalola(モワローラ)— ラゴス生まれの反骨とレザー、Yeezy Gapを経た9年の歩み

黒革のハーネス風ベストと深緑のレザーパンツを着た人物がヴィンテージの車に寄りかかる後ろ姿(Mowalolaのレザー×ハードウェアの意匠と、創業者の卒業コレクションが参照したラゴスの車文化のイメージ)

Mowalola(モワローラ)は、ロンドンを拠点にナイジェリア系英国人デザイナーMowalola Ogunlesi(モワローラ・オグンレシ)が手がけるレザーウェア中心のブランドです。旧版の記事には、Ogunlesiの生年を「1995年」とする記述がありましたが、Wikipedia英語版をはじめとする複数の英語圏メディアを確認したところ、正しくは1994年3月25日でした。また、旧版はKanye Westのブランド「Yeezy」全体のデザイン・ディレクターを2020年から2022年まで務め、「Yeezy Season 9」というコレクションを率いたと紹介していましたが、この記述にも裏付けが見当たりませんでした。実際にOgunlesiが担ったのは、GapとKanye Westの提携ライン「Yeezy Gap」のデザイン・ディレクターという、より限定された役職です。同様に、旧版が触れていた「2024年LVMH Prizeファイナリスト選出」という記述も、同年の公式ファイナリスト8組の一覧にMowalolaの名前は確認できず、採用していません。本稿ではこうした点を一次情報で確認し直しながら、Mowalolaの歩みと現在地をお伝えします。

創業者Mowalola Ogunlesiと創業までの道のり

Mowalola Ogunlesiは1994年3月25日、ナイジェリア・ラゴスに生まれました。母のAdenike Ogunlesi(アデニケ・オグンレシ)は、ナイジェリアの子供服ブランドRuff ‘n’ Tumble(ラフ・アンド・タンブル)を1996年に立ち上げた人物で、Adenike自身もナイジェリア人の父とスコットランド人の母を持つ家庭で育っています。父はナイジェリアの伝統的なメンズウェアの仕立てに携わってきた人物とされ、Ogunlesiは服づくりが身近な家庭環境のなかで育ちました。民族的にはヨルバ系にあたります。さらにさかのぼると、Adenikeの母(Ogunlesiにとっての祖母)にあたるElizabeth Okuboyejo(エリザベス・オクボエジョ)もまた、ナイジェリアの伝統染織アディレ(藍染め布)を手がけた先駆的な服飾家だったと伝えられており、三世代にわたって服づくりに携わってきた家系であることがうかがえます。

12歳のころ、Ogunlesiはナイジェリアを離れ、英国サリー州の寄宿学校に進学しました。その後、英国の主要な服飾教育機関であるCentral Saint Martins(セントラル・セント・マーチンズ)のBAファッション課程に進み、メンズウェアとプリントを軸にした専攻で学んでいます。2017年5月の卒業ショーで発表した「Psychedelic(サイケデリック)」は、1970年代のナイジェリアのロックシーンと、ラゴスの車好きの若者文化を参照したコレクションで、レザーを多用した攻めた表現が業界内外の注目を集めるきっかけとなりました。

卒業と同じ2017年、Ogunlesiは引き続きCentral Saint MartinsのMA課程に進みますが、より自由な創作環境を求めて2018年に中退し、自身の名を冠したブランドMowalolaの立ち上げに専念することになります。旧版の記事は創業年を「2018年」とだけ紹介していましたが、実際には2017年の卒業コレクションがブランドの出発点であり、2018年のMA中退を経て本格的な独立ブランドとして動き出したという、二段階の経緯として理解しておくとよいでしょう。

本格デビューの舞台となったのが、2019年のロンドン・ファッション・ウィークです。新人デザイナーを後押しするプラットフォーム「Fashion East」の枠組みでショーを行い、ミュージシャンのSkepta(スケプタ)が最前列で見守るなかでのデビューとなりました。同じ2019年には、SkeptaのミュージックビデオPure Waterの衣装も手がけており、音楽シーンとの結びつきの強さは、このころから一貫してMowalolaを特徴づける要素になっています。この時期の勢いは海外メディアの評価にも表れており、2018年には英国のカルチャー誌Dazedが選ぶ年間注目人物リスト「Dazed 100」に選出されたほか、ファッション専門メディアBusiness of Fashionからも「型破りなライジングスター」として紹介されるなど、独立ブランドとしての活動初期から業界内での評価を積み重ねてきました。

実際にOgunlesiが担ったのは、GapとKanye Westの提携ライン「Yeezy Gap」のデザイン・ディレクターという、より限定された役職です。

ブランド美学 — レザーとジェンダーレスの言語

Mowalolaの服づくりの軸にあるのは、レザーやPVCといった素材を用いた、性別の枠にとらわれないシルエットです。Ogunlesi自身、ロンドン東部のクラブナイト「PDA」――クィアや性自認が多様な有色人種のコミュニティを主な受け皿としてきたパーティー――に出入りしていた経験を、自身の服づくりの初期の参照点として語っています。露出の多いカットアウトや、ボディラインを強調するタイトなシルエットは、こうしたクラブカルチャーの身体感覚と地続きにあるものです。

参照点としてもう一つ欠かせないのが、ナイジェリア・ラゴスの若者文化と、1970年代のロックやサイケデリアです。旧版の記事は、こうした要素を「Pop African Leather」という独自の確立した哲学として紹介していましたが、この呼び名自体を裏付ける一次情報は見当たりませんでした。実際にOgunlesi自身や各種メディアが繰り返し語っているのは、ラゴスの車文化やロック、そしてロンドンのクラブカルチャーという複数の参照点が、レザーという素材のうえで重なり合っているという、もう少し流動的な世界観です。ショーごとのテーマも一貫しているわけではなく、2022年の「Burglarwear(強盗ウェア)」、2023年の「Dark Web」、2023年発表のSS24「Crash」など、コレクションごとに異なる切り口が採用されてきました。

2023年9月に発表したSS24コレクションでは、複数の国旗をあしらったミニスカートを発表しましたが、このなかにサウジアラビアの国旗を使ったデザインが含まれていたことが、SNS上で大きな批判を呼びました。同国の国旗にはイスラム教の信仰告白(シャハーダ)の文言が記されており、商業目的での使用は宗教的に不適切だとする指摘が相次いだためです。Ogunlesiは当初SNSで批判を軽く受け流す姿勢を見せていましたが、最終的には「この話題について学ばせてもらったうえで、心から謝罪する」とコメントし、当該デザインをコレクションから除外することを表明しました。

代表アイテムと著名人の着用実績、Yeezy Gapでの日々

Mowalolaを語るうえで欠かせない一着が、2019年9月に発表した「Coming for Blood」コレクション(2020年春夏シーズン)の、白いホルターネックドレスです。銃創を思わせる赤い染みをあしらったこのドレスは、人種を理由にした銃暴力とBlack Lives Matter運動を主題にしたデザインで、モデルのNaomi Campbell(ナオミ・キャンベル)がチャリティイベントFashion for Reliefで着用したことで大きな話題になりました。旧版の記事はこのコレクションを「2021年春夏(SS21)」としていましたが、複数の一次情報を確認したかぎり、正しくは2019年9月発表の2020年春夏(SS20)シーズンのコレクションです。

もう一つ、Mowalolaのキャリアを語るうえで見落とされがちなのが、2018年FIFAワールドカップに向けてナイキが手がけた、ナイジェリア代表「スーパーイーグルス」のユニフォームデザインへの関与です。鷲の翼を抽象化したシェブロン柄をあしらったこのユニフォームは、発売から短時間で完売するほどの反響を呼び、大会に出場した各国のユニフォームのなかでも特に大きな話題になった一着として、複数の海外メディアで振り返られています。ブランド単体の代表アイテムとは性格が異なりますが、Ogunlesiのキャリアを代表する仕事の一つとして押さえておく価値があります。

2020年6月、Ogunlesiは Kanye West(カニエ・ウェスト)とGapによる提携ライン「Yeezy Gap」のデザイン・ディレクターに起用されたと発表されました。旧版の記事はこれを、Kanye Westのブランド「Yeezy」全体のデザイン・ディレクター職であり、2022年10月発表の「Yeezy Season 9」を率いたと紹介していましたが、この記述は正確ではありません。Yeezy GapはKanye WestとGapの提携によって生まれた別ラインであり、Ogunlesiが率いたのはこのYeezy Gapのデザインチームです。Yeezy Gapの商品は2021年6月に第一弾となるパファージャケットが発売され、以降数点のアイテムが展開されましたが、2022年9月、Kanye West側の問題行動を理由にGap側が提携を解消しています。Ogunlesi自身は、これに先立つ2022年6月ごろに役職を退き、自身のブランドへ専念する道を選んでいます。Vogue Businessのインタビューでは「もともと1年だけのつもりだった」「大きな企業のもとで働くより、制約のない環境で作りたかった」と、その心境を語っています。

Mowalolaの服を着用してきた著名人としては、Rihanna(リアーナ)、Kelela(ケレラ)、Naomi Campbell、Solange Knowles(ソランジュ・ノウルズ)といった名前が、複数のファッション媒体で確認できます。Drake(ドレイク)は、女優Halle Berry(ハル・ベリー)をあしらったカスタムのレザージャケットを着用したことで話題になりました。近年では、Kanye Westの妻であるBianca Censori(ビアンカ・チェンソリ)が、2024年のSuper Bowl LVIII前後のパーティーでMowalolaの際どいボディスーツを繰り返し着用していることも報じられています。旧版の記事が挙げていたA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)については、着用者というより、自身のミュージックビデオ「RIOT」でスタイリストのMatthew Hensonとともにスタイリングを手がけた協力関係として確認できました。旧版が並べていたLil Nas Xについては、Mowalolaとの具体的な着用エピソードを裏付ける一次情報が見当たらず、本稿では採用していません。

服づくり以外の顔 — 音楽とミュージックビデオ演出

Ogunlesiは服づくりだけでなく、音楽や映像の領域でも活動してきました。2019年には英国Vogueの創刊60周年企画で使われたバービー人形のスタイリングを手がけ、SkeptaのミュージックビデオPure Waterでは出演者の衣装を担当しています。2024年4月には、シンガーJTのシングル「OKAY」のミュージックビデオを自ら監督し、モデルのAlex Consani(アレックス・コンサーニ)やAweng Chuol(アウェン・チュオル)らを起用してMowalolaの衣装でJTをスタイリングしました。A$AP Rockyのミュージックビデオ「RIOT」でも、長年のスタイリストMatthew Hensonとともにスタイリングを担当しており、こうした音楽シーンとの継続的な関わりが、Mowalolaというブランドの認知を服単体にとどまらない形で広げてきた側面があります。

近年のコラボレーションと事業の広がり

自身のランウェイと並行して、Mowalolaは複数のブランドとのコラボレーションを重ねてきました。2022年11月には、New Balance(ニューバランス)とのスニーカー「9060」の共作を発売しています。これは同年6月にパリで発表したコレクション「Burglarwear」と連動したもので、黒・紫・黄色系と黒・緑・桃色系の2色展開で、窃盗というテーマを自己表現の手段に読み替えるというコンセプトが掲げられました。同じ2022年12月には、玩具メーカーMGA Entertainmentの人気ドール「Bratz」とのコラボレーションで、キャラクター「Jade」と「Felicia」の限定ドールも発売しています。ほかにも、Crocs(クロックス)とのコラボレーションや、デニムブランドKsubi(クスビ)との2025年4月のカプセルコレクション、ファッションブランドMiss Sixty(ミス・シックスティ)とのコレクションなど、レザー以外の領域への展開も広がっています。

2023年2月に発表したFW23コレクション「Dark Web」は、資本主義と大企業を象徴するモチーフを自身のブランドロゴ風に読み替えたパロディが特徴で、美術館MoMAをもじった「MoWA」や、ニューヨークの野球チームのロゴを女性的にアレンジしたモチーフなど、匿名化された企業文化への皮肉を効かせたコレクションでした。続く2023年9月発表のSS24「Crash」は、1996年の映画「クラッシュ」を参照した刺激的な世界観で組み立てられ、この回のショーにはKanye Westが会場に姿を見せたと報じられています。旧版の記事にはこうした2022年以降のコレクション展開についての言及がほとんどなく、本稿で新たに補いました。

販路としては、SSENSE、Dover Street Market、Farfetchといった国際的なセレクトショップ・ECサイトでの取り扱いが確認できます。事業規模については、社員数十数名規模で黒字を確保しつつ、年間売上高は数億円規模(100万ポンド未満)にとどまり、主にEC経由の販売が中心だと報じている海外メディアもありますが、この数値は単一の報道にとどまるため、参考情報としてとどめておきます。旧版の記事にあった具体的な売上高や店舗展開の年表については、裏付けとなる一次情報が確認できなかったため、本稿では採用していません。

どんな人に似合うブランドか

Mowalolaが似合うのは、レザーやPVCといった素材そのものの存在感を楽しみたい人です。ロゴを主張するタイプのブランドではなく、シルエットのタイトさやカットアウトの大胆さで語る服が中心なので、コーディネートの主役として一着投入するだけで印象が大きく変わります。ジェンダーレスな設計思想を反映したアイテムが多く、性別にとらわれない着こなしを楽しみたい人にも向いています。

一方で、露出の多いデザインやタイトなシルエットが中心のため、控えめな着こなしを好む人にはハードルが高く感じられるかもしれません。その場合は、ロゴが控えめなTシャツやHoodieのような、レザーアイテムに比べて価格・主張ともに抑えられたアイテムから試してみると、ブランドとの距離感がつかみやすくなります。Kanye WestやRihannaといったポップカルチャーの文脈に関心がある人、あるいはナイジェリアやロンドンのクラブカルチャーの背景に興味がある人にとっても、単なる一着以上の物語を持つブランドだといえます。

中古市場でのMowalolaの位置づけ

中古・古着市場でのMowalolaは、レザーパンツやレザードレスといったシグネチャーアイテムを軸に、海外のリセールプラットフォームVestiaire Collectiveや、スニーカー・アパレルに特化したマーケットプレイスGOATなどで一定の流通が見られます。日本国内では、フリマアプリや一部のインポート古着店での取り扱いが中心で、Yeezy GapやKanye West周辺のカルチャーに関心を持つ層を通じて認知が広がってきた側面があります。New BalanceやKsubiとのコラボレーションアイテムは、スニーカーやデニムという間口の広さもあって、レザーのメインラインよりも比較的見つけやすい入り口になっています。加えて、Ogunlesiが在籍したYeezy Gap期のアイテムは、ブランド自体が2022年にすでに終了しているという事情もあり、Kanye West関連のプロダクトを集めるコレクター層からも一定の需要があります。ただし、Yeezy Gapのデザインチーム全体としての制作物であり、Mowalola単独のクレジットが明記されているわけではない点には注意が必要です。

中古で選ぶ際にまず確認したいのは、レザーやPVCという素材の状態です。特にPVC素材は経年で硬化やひび割れが進みやすく、保管環境によって劣化の度合いが大きく変わります。関節部分や折り目のひび割れ、レザー特有のシワや色あせの具合を実際に確認してから購入することをおすすめします。旧版の記事にあった具体的な円建ての価格帯については、裏付けとなる一次情報が確認できなかったため、本稿では採用していません。真贋を見極めるうえでは、縫製の精度やタグの表記に加えて、正規の販売実績を持つセレクトショップやリセールプラットフォーム経由での購入かどうかも、判断材料の一つになります。

よくある疑問

MowalolaはKanye WestのYeezy本体のデザイナーだったのですか

いいえ、正確には異なります。Ogunlesiが2020年6月から2022年6月ごろまで務めたのは、Kanye WestとGapの提携ライン「Yeezy Gap」のデザイン・ディレクターという役職です。Adidasとの提携から始まったYeezy本体のコレクションを率いたわけではなく、旧版の記事にあった「Yeezy Season 9を率いた」という記述の裏付けは確認できませんでした。

「Coming for Blood」はいつ発表されたコレクションですか

2019年9月に発表された、2020年春夏(SS20)シーズンのコレクションです。人種を理由にした銃暴力とBlack Lives Matter運動を主題にしたコレクションで、Naomi Campbellが着用した銃創モチーフのドレスが特に大きな話題になりました。旧版の記事にあった「2021年春夏(SS21)」という表記は誤りです。

中古でMowalolaを選ぶときに注意すべき点はありますか

レザーやPVCの経年劣化を必ず確認してください。特にPVCは硬化やひび割れが進みやすい素材です。またNew BalanceやKsubiとのコラボレーションアイテムは、コレクション名や発売時期を把握しておくと、真贋や状態の判断がしやすくなります。

まとめ

Mowalolaの歩みを一次情報で確認し直すと、1994年にラゴスで生まれたOgunlesiが、Central Saint Martinsでの学びを経て2017年の卒業コレクション「Psychedelic」で注目を集め、2018年の独立を経て自身のブランドを本格始動させたこと、2018年のナイジェリア代表ユニフォームデザインという特筆すべき仕事を挟みながら、2020年からのYeezy Gapデザイン・ディレクター就任と2022年の退任を経て、New BalanceやKsubiとのコラボレーションを重ねる現在に至るまでの流れが見えてきます。旧版の記事にあった生年の誤り、Yeezy本体との混同、コレクション年の誤り、LVMH Prizeファイナリストという事実に基づかない記述は、一次情報を確認するかぎり事実と異なっていたため、本稿であらためて整理しました。レザーやPVCという素材の個性が強いぶん、中古で選ぶ際には状態の見極めが特に重要になるブランドです。Mowalolaというブランドの現在地を踏まえたうえで、中古でのアイテム選びに役立ててみてください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のIMPORT BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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