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Pushbutton|ソウル 2003 創業、Park Seung-gun が Central Saint Martins 卒業直後に立ち上げた韓国前衛ブランド 22 年

Pushbutton|ソウル 2003 創業、Park Seung-gun が Central Saint Martins 卒業直後に立ち上げた韓国前衛ブランド 22 年

ソウル 2003 年、韓国独立系前衛ブランドの黎明期

Pushbutton は 2003 年にソウルで創業しました。創業者は韓国人デザイナーの Park Seung-gun (박승건) で、ロンドンの Central Saint Martins (CSM) のファッションコース卒業直後にソウルへ帰国して自身ブランドを立ち上げました。

2003 年当時のソウル・ファッション・シーンは、Wooyoungmi (1989 年創業)、Juun.J (1999 年創業) のような前世代ブランドが海外進出を始めた段階で、新世代の韓国独立系前衛ブランドはほぼ存在しませんでした。後年の Andersson Bell (2014 年創業)、Ader Error (2014 年創業) が世界的注目を集める 10 年以上前に、Pushbutton は韓国国内で前衛性を打ち出した先駆的存在として始動しました。

GUZ編集部レビュー4.0 / 5

男女を問わず着られるジェンダーレスなレイヤリング設計で、シャツやニットを自由に重ねられる汎用性の高さが魅力です。抑えた配色を基調にした落ち着いた雰囲気ですが、大きめのフィット感は体に沿ったシルエットを求める方には向きません。

男女を問わず着られるジェンダーレスなレイヤリング設計で、シャツやニットを自由に重ねられる汎用性の高さが魅力です。

Park Seung-gun の Central Saint Martins 期

Park Seung-gun は 1980 年代後半のソウルで生まれ、若年期に英国ロンドンへ留学しました。Central Saint Martins では BA Womenswear コースで学び、2002 年に卒業しています。CSM 在学中は Louise Wilson 教授指導下の同期と切磋琢磨し、卒業制作はジェンダーレスなレイヤリングを軸としたコレクションでした。

CSM 卒業直後、Park はロンドンに残るキャリア・パスを選ばず、敢えてソウルへの帰国を選びました。インタビューでは「ロンドンには既に確立された前衛シーンがあった。むしろソウルの空白こそが、自身が貢献できる場所だと感じた」 と述懐しています。

ブランド名「Pushbutton」 の哲学

「Pushbutton」 というブランド名は、ボタンを押すという行為そのものの瞬間性 (即時に何かが切り替わる感覚) を象徴する命名です。Park は、ファッションが提示する一つの選択が、着用者の自己認識や周囲の評価を一瞬で切り替える力を持つことに着目し、その「切替の瞬間」 を主題とすると公表してきました。

ロゴデザインは、シンプルな白黒タイポグラフィで、ブランド名以外の装飾的要素を最小限に抑える設計を貫いてきました。

創業初期のコレクションとソウル国内での認知

2003 年から 2008 年までの創業初期、Pushbutton は主にソウル国内のセレクトショップ Boon The Shop、10 Corso Como Seoul、そして自社の小規模ショールームでコレクションを発表していました。Vogue Korea、W Korea、Marie Claire Korea といった主要韓国ファッション媒体が継続的に取り上げ、国内のクリエイティブ業界とエンタテインメント業界から徐々に認知が広がりました。

韓国ドラマ業界では、2010 年代から Park Seo-joon、Hyun Bin、Song Hye-kyo などの主要俳優たちが、撮影合間の私服や公の場で Pushbutton を着用する事例が観察され始めました。

2014 年 Mercedes-Benz Fashion Week Seoul 受賞

2014 年、Park Seung-gun は Mercedes-Benz Fashion Week Seoul (現 Seoul Fashion Week) の Korea Fashion Designer of the Year を受賞しました。同賞は韓国ファッション業界の最高位の賞のひとつで、Wooyoungmi の Wooyoung Mi、Juun.J の Park Jung-jae、Hyein Seo の Seo Hye-in らに続く受賞となりました。

受賞を契機に、Pushbutton は海外バイヤー向けのショールーム展開を本格化させ、Paris ショールーム、Milan ショールーム、ニューヨーク・ショールームを順次開設しました。

「Genderless Layering」 の手法

Pushbutton の代名詞となったデザイン手法は「Genderless Layering (ジェンダーレスなレイヤリング)」 です。同一コレクション内のアイテムを、男性身体と女性身体の両方が違和感なく着られるシルエットで設計し、複数のレイヤー (シャツ + ニット + ジャケット + コート) を自由に組み合わせる前提でパターン化する独自手法です。

色彩は黒、白、グレー、深いネイビー、深いボルドーといった抑制された配色を主軸とし、シーズンごとに 1 から 2 色の差し色 (鮮やかな赤や緑) で変化を付ける構成を維持してきました。

主要店舗と国際展開

Pushbutton の販売チャネルは、ソウル国内では江南区の旗艦店、明洞の支店、釜山の専門店が直営として運営されています。

国際展開では、SSENSE (グローバル EC)、MATCHESFASHION (英国 EC)、Selfridges (ロンドン)、Browns (ロンドン)、Dover Street Market (ロンドン、東京、北京、LA、Paris、Ginza)、L’Eclaireur (パリ)、Antonioli (ミラノ) などの主要セレクトショップに取扱が拡大しました。日本国内では Beams、Estnation、United Arrows などが主要取扱店です。

K-Pop と K-Drama 着用者

Pushbutton の国際的拡散の決定的な要素は、韓国エンタテインメント業界の主要スターたちによる継続的な着用でした。

俳優の Park Seo-joon、Hyun Bin、Lee Min-ho、Song Joong-ki、Kim Soo-hyun、Cha Eun-woo (ASTRO) らは、自身の SNS 投稿、空港ファッション、ドラマ撮影合間の私服で Pushbutton を継続的に着用してきました。女優の Jun Ji-hyun、Song Hye-kyo、Kim Tae-hee も Pushbutton を選ぶ事例が定期的に観察されます。

K-Pop アイドル業界では、BIGBANG の G-Dragon (Pushbutton の最も継続的な着用者の一人)、TWICE のメンバー、ENHYPEN、Stray Kids らも、ステージ衣装と私服の両方で Pushbutton を組み込む事例が記録されています。

ヴィンテージ古着市場での Pushbutton の見方

Pushbutton のヴィンテージ古着市場での流通量は安定しています。中古価格帯は、Genderless Layering Coat (ロングコート系) が 30,000 円から 80,000 円台、Tailored Blazer (テーラード・ジャケット) が 25,000 円から 60,000 円台、レイヤード・シャツが 12,000 円から 30,000 円台、ニットが 15,000 円から 40,000 円台で取引される事例が観察されます。

タグは「PUSHBUTTON」 ロゴ刺繍と「Made in Korea」 表記が標準で、サイズ表記は韓国式 (90、95、100、105、110) と国際式 (XS から XL) の混在です。Genderless Layering の設計思想のため、メンズもレディースも同じ品番で展開され、サイズ表記より 1 段大きめのフィット感を意図したシルエットが多い傾向にあります。

同時代の韓国前衛系ブランドとの位置づけ

同時代で並べやすい韓国前衛系ブランドは、Wooyoungmi (1989 年創業、Wooyoung Mi、メンズウェア)、Juun.J (1999 年創業、Park Jung-jae、メンズウェア)、Hyein Seo (2015 年創業、Central Saint Martins 出身)、Andersson Bell (2014 年創業、Dohun Kim)、Ader Error (2014 年創業)、Heich Es Heich (2014 年創業) などです。

これらと並べたときの Pushbutton の独自性は、22 年の歴史を持つ韓国独立系前衛ブランドの最古級である点と、Central Saint Martins 卒業直後にソウルに帰国した稀有なキャリア選択にあります。多くの韓国独立系ブランドが 2014 年前後から登場する中で、Pushbutton はそれより 10 年以上早期に始動し、後続世代の道筋を切り拓いた先駆的存在として認知されてきました。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のIMPORT BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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