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ワイプロジェクト(Y/Project)— グレン・マーティンスが遺した、変形と遊び心のパリ

ワイプロジェクト(Y/Project)— グレン・マーティンスが遺した、変形と遊び心のパリ

ワイプロジェクト(Y/Project)は、フランス・パリを拠点としていたブランドです。立体的に変形したシルエット、ウエストが何重にも重なるデザイン、ねじれたデニム。常識を軽やかに裏切る、コンセプチュアルで遊び心にあふれた服で、世界中のファッション好きを驚かせ続けました。デザイナーのグレン・マーティンスが率いた約11年間で、このブランドは唯一無二の存在となりました。そして2024年、惜しまれながらその歴史に幕を下ろします。だからこそいま、ワイプロジェクトの服は中古でこそ手に入れる価値を持っています。この記事では、ブランドの歩みと思想、代表的なアイテム、そして中古で選ぶときのポイントまで、順を追って解説します。

ワイプロジェクトの成り立ち

ワイプロジェクトの歴史は、2008年にさかのぼります。当初は、デザイナーのヨハン・セルファティが自身の名前を冠してスタートさせたブランドでした。そして2010年、共同設立者のジル・エラルーフとともに、ブランド名を「ワイプロジェクト」へと改めます。パリを拠点に、独創的な服づくりへの一歩を踏み出しました。新しい名前には、特定の個人に縛られず、自由に形を変えていける器でありたいという思いが感じられます。

しかし、ブランドは早い時期に大きな試練に直面します。2013年、創業デザイナーであったヨハン・セルファティが、病によってこの世を去ってしまったのです。ブランドの存続が危ぶまれるなか、その後を託されたのが、ベルギー出身の若きデザイナー、グレン・マーティンスでした。この出会いが、ワイプロジェクトの運命を大きく変えることになります。

2013年にクリエイティブディレクターとして就任したグレン・マーティンスは、それまであまり広く知られた存在ではありませんでした。母国ベルギーで建築やファッションを学び、いくつかのメゾンで経験を積んできた彼にとって、ワイプロジェクトは自らの名を世に問う初めての大きな舞台でした。しかし、彼がワイプロジェクトで見せた才能は、瞬く間にファッション界の注目を集めます。創業者を失って沈みかけていたブランドに、新しい血が通い始めたのです。前任者から受け継いだブランドを、彼はまったく新しい次元へと押し上げていきました。創業者の死という危機を乗り越え、ブランドは再び輝きを取り戻したのです。

そして2010年、共同設立者のジル・エラルーフとともに、ブランド名を「ワイプロジェクト」へと改めます。

グレン・マーティンスという才能

ワイプロジェクトを語るうえで、グレン・マーティンスの存在は欠かせません。彼がこのブランドにもたらしたのは、服に対する常識を覆すような、自由で大胆な発想でした。普通のシャツやパンツ、デニムといった、誰もが知っている日常の服を出発点にしながら、そこに思いがけない変形や仕掛けを加える。見慣れた服が、彼の手にかかると、まったく新しい表情を見せるのです。

たとえば、ウエスト部分が二重三重に重なって見えるパンツや、はくと脚にねじれるように沿うデニム。一枚の服が、見る角度によって違う形に見える立体的なカッティング。そうした遊び心あふれるアイデアは、ただ奇抜なだけではありません。確かな技術に裏打ちされ、実際に着られるものとして成立しているからこそ、多くの人を魅了しました。知的な実験と、着る楽しさ。その両方を高い次元で両立させたのが、マーティンスの非凡さです。

その才能は、ワイプロジェクトの枠を超えて広く認められていきました。彼は後に、ほかの名門ブランドの舵取りも任されるようになり、世界が注目するデザイナーの一人へと成長します。ワイプロジェクトは、そんな才能が存分に実験を重ね、自らのスタイルを磨き上げた場でもありました。一人のデザイナーの成長の軌跡が、このブランドの服には刻まれているのです。

コンセプチュアルで遊び心あふれるデザイン

ワイプロジェクトのデザインを一言で表すなら、「コンセプチュアルで、遊び心にあふれ、オリジナリティの強いディテール」となります。一見すると普通の服に見えても、よく見ると、どこかが変形していたり、思いがけない仕掛けが隠れていたりする。その発見の楽しさが、このブランドの大きな魅力でした。

大胆なシルエットも、ワイプロジェクトの特徴です。体にぴたりと沿わせるのではなく、あえて大きく膨らませたり、ねじったり、ずらしたりする。そうすることで、服そのものが一つの彫刻のような存在感を放ちます。着る人の体型をなぞるのではなく、服が独自の形をつくり出す。その発想の転換が、見る人に強い印象を残しました。

性別の枠にとらわれないジェンダーレスな姿勢も、このブランドを語るうえで欠かせません。男性も女性も、自由に楽しめる服。レザーをはじめとする素材の使い方にも独自のこだわりがあり、立体的なカッティングと組み合わさることで、ほかにはない世界観を生み出していました。型にはまらない、自由な精神。それこそが、ワイプロジェクトが多くのファッション好きに愛された理由です。

2024年、惜しまれながらの終幕

独創的な服で多くのファンを魅了してきたワイプロジェクトですが、その歴史は2024年に幕を下ろすことになりました。2024年9月、ブランドを長年率いてきたグレン・マーティンスが退任します。創業から関わってきた共同設立者を失ったことも重なり、ブランドは運営の継続が難しい状況に陥りました。約14年にわたる歩みは、ここで一区切りを迎えたのです。

ブランドの終了は、世界中のファンにとって大きな驚きと寂しさをもって受け止められました。それだけ、ワイプロジェクトが唯一無二の存在であったということでもあります。なお、2025年の春には、ある人気ブランドとのコラボレーションが発表されました。これは、ブランドのファンへ向けた最後の贈り物として位置づけられたものでした。最後まで、人々の心に残る形で幕を閉じたのです。

ブランドが終わってしまったことは、確かに残念な出来事です。しかし、それは同時に、これまで世に送り出されてきた服が、二度とつくられない貴重な一点ものになったということでもあります。新しいコレクションが生まれることはなくなりましたが、その分、過去のアイテムには特別な価値が宿りました。ワイプロジェクトの魅力に触れる道は、いまも中古市場のなかにしっかりと残っています。

日常着を問い直すという発想

ワイプロジェクトのデザインを面白くしていたのは、その出発点が常に「誰もが知っている日常の服」だったという点です。奇抜なドレスや特殊な衣装ではなく、デニムやシャツ、トレンチコートといった、ありふれた定番。グレン・マーティンスは、その当たり前の存在を改めて見つめ直し、「本当にこの形でなければいけないのか」と問いかけました。

たとえば、なぜウエストはひとつでなければならないのか。なぜデニムはまっすぐ脚に沿うべきなのか。なぜ襟は決まった位置にあるのか。そうした、普段は誰も疑問に思わない服の約束事を、一つひとつ解きほぐし、組み替えていく。その知的な遊びこそが、ワイプロジェクトの真骨頂でした。見慣れたものを新しい目で見せてくれる、その視点の転換に、多くの人が刺激を受けました。

こうした発想は、ただ目立つための奇抜さとは根本的に異なります。日常の延長線上にありながら、しっかりと考え抜かれている。だからこそ、奇抜に見えても実際に着られるし、着れば着るほど面白さがわかる。普通の服に少し飽きた人が、新しい視点を求めてたどり着く先に、ワイプロジェクトはありました。服を着る楽しさを、根っこから思い出させてくれるブランドだったのです。

パリのモードシーンでの存在感

ワイプロジェクトは、パリのファッション・ウィークでコレクションを発表し、世界のモードシーンのなかで確かな存在感を放っていました。毎シーズン、何かしらの驚きを用意してくれるブランドとして、業界の関係者やファッション好きから熱い視線を集めていたのです。次は何を見せてくれるのか。その期待感こそが、このブランドの強みでした。

批評家からの評価も高く、その独創的なデザインは、国内外の数々のメディアで繰り返し取り上げられました。同時に、ストリートで実際に着る人々からも支持される。専門的な評価と、現実の着やすさ。その両方を獲得できるブランドは、決して多くありません。ワイプロジェクトは、頭で楽しむ服と、体で楽しむ服のあいだを、見事に行き来していました。

こうしたパリでの活動を通して、グレン・マーティンスの名前は世界に広まっていきました。ワイプロジェクトという実験の場があったからこそ、彼はデザイナーとしての地歩を固めることができたといえます。一つのブランドが、一人の才能を育て、その才能がまたブランドを輝かせる。その幸福な関係が、ワイプロジェクトの歩みには確かにありました。

代表的なアイテム

ワイプロジェクトの魅力を最もよく伝えるのが、変形を効かせたデニムです。はいたときに脚にねじれるように沿うものや、ウエストが何重にも重なって見えるものなど、一本で強い個性を放つデニムは、このブランドの象徴的な存在でした。普通のジーンズに見えて、よく見るとどこかが違う。その仕掛けに気づいたときの驚きが、ワイプロジェクトらしさそのものです。

ニットやシャツ、トップスにも、独自の工夫が凝らされています。襟や袖が変形していたり、二枚重ねているように見えるデザインだったり。一枚でレイヤードしたような立体感を演出するアイテムは、コーディネートの主役として活躍します。シンプルに着るだけで、こなれた雰囲気と個性を同時に手に入れられるのが魅力です。

コートやアウター、そしてブーツやバッグといった小物にも、このブランドならではの感覚が息づいています。大胆なシルエットのアウターや、変形を効かせた靴は、装い全体を一気に印象的にしてくれます。レザーを使ったアイテムは、独特のカッティングと相まって、ほかでは見られない存在感を放ちます。どれも、見る人の記憶に残る個性を備えています。

コラボレーションのアイテムも、このブランドを語るうえで見逃せません。ワイプロジェクトは、さまざまなブランドやメーカーとの協業にも積極的でした。定番の道具や日用品を、ワイプロジェクトの変形の発想で作り替える。そうしたコラボレーションは、その都度大きな話題を呼びました。生産数が限られていることも多いため、中古市場で出会えたなら、それは特別な巡り合わせだといえます。通常のラインとはまた違った遊び心が詰まっているのも、コラボならではの魅力です。

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ワイプロジェクトが似合う人、向く着こなし

ワイプロジェクトは、人とは違う個性を楽しみたい人によく似合います。流行のど真ん中を追いかけるよりも、自分だけの一着で装いに物語を添えたい。そんな感覚を持つ人にこそ、ふさわしいブランドです。一着の存在感が強いため、それを主役に据えるだけで、コーディネートが完成します。

たとえば、変形デニムに、シンプルな無地のトップスを合わせるだけで、力の抜けた、それでいて個性的な装いが生まれます。主役となる一着が十分に語ってくれるので、まわりはあえてシンプルにまとめるのがコツです。色数を抑え、落ち着いたトーンで構成すると、デザインの面白さがより際立ちます。盛りすぎないことが、このブランドを格好よく着こなす鍵になります。

ジェンダーレスなデザインが多いため、性別を問わず楽しめるのも魅力です。大胆なシルエットは着る人を選ぶように思えるかもしれませんが、一点だけ取り入れて、ほかをシンプルにまとめれば、日常のなかでも無理なく着られます。普通の服に少し飽きてきた人、装いに新しい刺激がほしい人にとって、ワイプロジェクトはまたとない相棒になります。

中古でワイプロジェクトを選ぶときのポイント

ブランドが終了したいま、ワイプロジェクトの服を手に入れる主な方法は、中古市場です。新しくつくられることはもうないため、一点一点が貴重な存在になっています。古着として手に入れるときには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

まず確認したいのが、変形やギミックの部分の状態です。ワイプロジェクトの魅力は、ねじれや重なりといった独特のデザインにあります。中古の場合、こうした凝った部分に負担がかかりやすく、縫製がほつれていたり、形が崩れていたりすることがあります。気に入った一着があれば、デザインの肝となる部分がきちんと保たれているかを、丁寧に確認してください。ボタンやファスナーといった付属品の状態も、あわせて見ておくと安心です。

次に大切なのが、素材のコンディションです。レザーを使ったアイテムは、傷やひび割れがないかを確認しましょう。デニムは、色落ちの具合や生地のへたりを見ておくと、その一本がどれだけ着込まれてきたかの目安になります。終了したブランドだけに、状態の良いものは年々貴重になっていきます。気に入った一着に出会えたなら、それは巡り合わせだと考えてよいでしょう。

サイズ選びも重要です。ワイプロジェクトは大胆なシルエットのアイテムが多く、表記の数字だけでは着たときの印象がつかみにくいことがあります。肩幅や身幅、着丈、わたり幅といった実寸を必ず確認しましょう。大きく見せるデザインなのか、意外とすっきり着られるものなのか、型によって大きく異なります。自分がどう着たいかをイメージし、実寸と照らし合わせて選ぶことが、満足度の高い一着選びの近道です。

ワイプロジェクトのシャツやアウター、その他のアイテムは、下記からも探せます。状態とサイズをよく確かめながら、長く付き合える一着を見つけてください。

終了したブランドだからこその価値

ワイプロジェクトのように、すでに終了してしまったブランドの服には、現役のブランドとはまた違った価値があります。新しいコレクションが生まれることはありませんが、それは裏を返せば、いま市場にあるものがすべて、もう増えることのない限られた存在だということです。年月が経つほどに、状態の良いものは見つけにくくなっていきます。

とりわけ、グレン・マーティンスという才能が手がけた服は、ファッションの歴史のなかでも特別な位置を占めています。彼がワイプロジェクトで実験し、磨き上げたアイデアの数々は、いまも色あせることがありません。その服を身にまとうことは、一つの時代の創造性を受け継ぐことでもあります。単なる古着ではなく、文化的な価値を帯びた一着として楽しめるのです。

もちろん、こうした価値は、あくまで服そのものの面白さがあってこそです。ワイプロジェクトの服は、終了したから注目されているのではなく、もともと着て楽しい、見て面白いものだからこそ愛されてきました。その本質的な魅力に、希少性という新たな価値が加わった。いまワイプロジェクトを手に入れるということは、そういう特別な体験だといえます。

変わった服を長く楽しむために

ワイプロジェクトのような個性的な服は、買ったものの着こなせずに眠らせてしまう、ということになりがちです。しかし、少し視点を変えれば、こうした服ほど長く楽しめるものはありません。鍵となるのは、一着を主役と割り切り、まわりをとことんシンプルにまとめることです。個性の強いボトムスに無地のトップス、という組み合わせは、いつでも失敗のない王道です。

また、変形の効いた服は、着る人の工夫しだいで何通りもの表情を見せてくれます。重ね方を変えたり、合わせる小物を変えたりするだけで、まったく違う印象になる。一着で何役もこなせるのは、コンセプチュアルなデザインならではの楽しみです。飽きずに長く付き合えるという意味では、むしろ実用的だともいえます。

手入れの面では、変形やギミックの部分に負担をかけないよう、丁寧に扱うことが大切です。独特のカッティングやレザーのパーツは、無理な力を加えると形が崩れることがあります。ハンガーの選び方や保管の仕方に少し気を配るだけで、その独創的なシルエットを長く保てます。二度とつくられない一着だからこそ、大切に着て、次の世代へと受け継いでいく価値があります。

よくある疑問

ワイプロジェクトを初めて知る人から、よく寄せられる疑問にも触れておきます。まず「どこの国のブランドなのか」という点です。ワイプロジェクトは、フランス・パリを拠点としていたブランドです。クリエイティブディレクターを務めたグレン・マーティンスはベルギー出身ですが、ブランドそのものはパリのモードシーンのなかで育まれてきました。

「もう買えないのか」という疑問もよく聞かれます。ブランドは2024年に終了したため、新品が新しくつくられることはありません。しかし、中古市場には数多くのアイテムが流通しており、過去のコレクションを手に入れることは十分に可能です。むしろ、終了したいまだからこそ、じっくりと探して自分だけの一着を見つける楽しみがあります。

「偽物に注意する必要はあるか」という疑問もあります。人気と希少性が高まると、残念ながら模倣品が出回ることもあります。中古で手に入れる際は、信頼できる店や、検品体制の整った販売元を選ぶと安心です。タグや縫製、独特のディテールの作り込みを確認し、少しでも不自然に感じたら慎重に判断しましょう。終了したブランドだからこそ、本物を見極める目を持つことが、満足のいく買い物につながります。

「グレン・マーティンスは今どうしているのか」という声もあります。彼はワイプロジェクトで培った才能を高く評価され、その後もファッション界の第一線で活躍を続けています。ワイプロジェクトという場で磨かれた発想は、形を変えながら今も生き続けているのです。だからこそ、彼がこのブランドで遺した服は、一つの原点として振り返る価値があります。

「最初の一着には何がおすすめか」という質問も多くあります。ワイプロジェクトの個性を最もよく味わえるのは、やはり変形を効かせたデニムやパンツです。一本取り入れるだけで、いつものコーディネートが一気にこのブランドらしくなります。まずは比較的取り入れやすいボトムスから入り、気に入ったらニットやアウターへと広げていく。そんな順番が、ワイプロジェクトを無理なく楽しむ近道になります。

まとめ

ワイプロジェクト(Y/Project)は、フランス・パリを拠点としていたブランドです。創業デザイナーのヨハン・セルファティの死という危機を、若きグレン・マーティンスの才能が乗り越え、変形と遊び心に満ちた唯一無二の服づくりで世界を魅了しました。約14年の歩みを経て、2024年にその歴史に幕を下ろしましたが、生み出された服は、いまも中古市場のなかで輝きを放ち続けています。

ブランドは幕を下ろしましたが、その精神はファンの手元に残された一着一着のなかに息づいています。古着として誰かに受け継がれ、また新しい着こなしで生かされていく。新品では決して出会えなくなったからこそ、一着との縁はいっそう特別なものになります。終わったはずのブランドが、こうして人から人へと旅を続けていく。それもまた、ワイプロジェクトという自由なブランドにふさわしい余生だといえるのかもしれません。

流行で勝負するのではなく、服そのものの面白さで語る。そんなワイプロジェクトの服は、終了したいまもなお、長く愛せる懐の深さを持っています。人とは違う個性を楽しみたい、装いに物語を求める人にとって、これほど語りがいのある相棒はそう多くありません。気になるアイテムがあれば、まずは下記のリンクから、もう二度とつくられない一着を、じっくり探してみてください。

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