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Ottolinger(オットリンガー)— 2016年ベルリン創業、二人が育てる解体と身体表現の実験

ライトブルーデニム生地の裁ち切りの縁をマクロ撮影した写真、糸のほつれと織り目のディテール(Ottolingerが得意とする解体的なデニムの意匠のイメージ)

Ottolinger(オットリンガー)は、2016年にドイツ・ベルリンで生まれたブランドです。旧版の記事には、創業者2人がベルリン芸術大学で出会ったという記述や、ブランド名を「二人の祖父母世代に多かったドイツ語圏の人名を組み合わせたフィクション」とする記述、2022年にAdidas Originalsと初コラボしたという記述、LVMH Prizeを2019年にSemi-finalistとして通過したという記述がありました。しかし一次情報を確認したところ、これらはいずれも事実と異なるか出典が確認できないものでした。実際には二人はスイス・バーゼルのファッション学校で出会い、ブランド名は最初のアトリエの隣人の苗字に由来し、確認できる大きな靴・アパレルコラボレーションはCamperとPUMAとG-STAR RAWであり、LVMH Prizeの通過は2018年でした。本稿ではこうした点を一つずつ確認し直しながら、Ottolingerの歩みと現在地をお伝えします。

創業者2人の歩みと2016年の創業経緯

Ottolingerを立ち上げたのは、Christa BöschとCosima Gadientというスイス出身の2人のデザイナーです。Böschはスイスの山あいにある人口400人ほどの小さな村の農家で育ち、周囲にファッションやアートに携わる人がいない環境で育ったと、複数の海外メディアのインタビューで語っています。当初はチューリッヒで法律を学んでいましたが、その過程でファッションやアートの分野の人々と出会って関心を強め、進路を法律からファッションデザインへ切り替えました。農家育ちという背景は、のちのOttolingerの意匠にも影響を残しており、ベルトやデニム、キャンバス地といった子ども時代に身近だった素材を、大人になってから服づくりのなかで作り替えていく姿勢につながっています。

Böschがファッションデザインを学んだのは、スイス・バーゼルにあるファッションデザインの専門学校(Institute of Fashion Design、通称HGK Basel)でした。Gadientもこの学校の卒業生で、2人はここで出会い、在学中から互いの作品を意識する関係だったと伝えられています。旧版の記事にあった「ベルリン芸術大学(UdK)のファッションコースで出会った」という記述は、複数の一次情報を確認するかぎり裏付けが見当たらず、本稿では採用していません。卒業後、2人はベルリンに拠点を移し、共同でレーベルを立ち上げています。

ブランド名Ottolingerの由来についても、旧版の記事とは異なる事実が確認できました。旧版は「二人の祖父母世代に多かったドイツ語圏の人名を組み合わせたフィクションで、特定の人物を指さない」としていましたが、複数の海外メディアのインタビューによれば、Ottolingerは実在した隣人の苗字です。2人が最初に構えたアトリエは家屋の一部に間借りするような非常に小さな空間で、郵便受けが独立していなかったため、届く郵便物はすべてこの隣人であるOttolinger氏宛てのものとして扱われていました。ブランド名を考えていたある朝、どちらかが半ば冗談交じりに「Ottolingerがちょうどいい名前になるのでは」と提案し、そのまま定着したというのが実際の経緯です。特定の時代や題材と結びつかない、古めかしくも据わりのよい響きを気に入ったという説明は旧版とも重なりますが、由来そのものは全くの創作ではなく、実在の隣人の名前だったという点が重要な違いです。

2人が最初に大きな注目を集めたのは、2016年2月10日、米国ニューヨークで開催されたVFilesの新人デザイナー企画でした。会場はSoHoの倉庫スペースで、審査員には当時Off-Whiteを率いていたVirgil Abloh、Calvin Kleinのメンズウェアを手がけていたItalo Zucchelli、メトロポリタン美術館コスチューム・インスティテュートの元学芸員Harold Kodaが名を連ねていました。このとき披露されたのは2人にとって2つ目となるコレクションで、コルセットの構造を応用したパターンと、パンク的な焼き加工・裂き加工を組み合わせた作風が早くも確立されていたと報じられています。ここでの評価が、Ottolingerが国際的なファッションメディアに取り上げられる出発点になりました。

Böschの農家育ちという背景と、都市的なベルリンの空気が同居しているという点は、複数の海外メディアがOttolingerを紹介する際にたびたび触れているポイントです。カルチャーメディアi-Dは、Ottolingerのスタイルを「伝統的なスイスの農民ウェアとアートパンクの気風を組み合わせたもの」と評し、Dazedも同ブランドを「ベルリンの気風をスイスの田舎へ持ち込む」存在として紹介しています。ベルトや作業着的なキャンバス地といったBösch自身の原風景と、ベルリンのクラブカルチャーや実験的なアートシーンで育まれた感性が重なり合っていることが、Ottolingerを単なる前衛ブランドではなく、独自の背景を持つレーベルとして際立たせている理由の一つだといえるでしょう。

ブランド名を考えていたある朝、どちらかが半ば冗談交じりに「Ottolingerがちょうどいい名前になるのでは」と提案し、そのまま定着したというのが実際の経緯です。

ブランド美学 — 解体と身体表現へのこだわり

Ottolingerの服づくりを貫く姿勢は、オートクチュール的な精緻な構築技術と、パンク的な破壊衝動を同居させることです。生地を意図的に燃やす、裂く、ほつれさせるといった加工は、単なる装飾ではなく、完成された服をあえて壊すことで新しい形を見出すという制作プロセスそのものだと2人は説明しています。工場が服を燃やす加工に難色を示した際には、2人自身の手でその工程を行ったというエピソードも伝えられており、量産のセオリーよりも自分たちの手触りを優先する制作姿勢がうかがえます。

役割分担としては、Böschがドレーピングや型紙まわりを中心的に担い、Gadientがプリントやスタイリングの領域を主導する傾向があると語られていますが、最終的な意思決定は2人の議論を通じて行われることが多いとされています。片方のアイデアがそのまま完成形になるのではなく、互いの提案に手を入れ合ってブランドとしての着地点を探るという共同制作のあり方は、Ottolingerが単独のデザイナー名ではなく2人組のレーベルとして機能してきた理由の一つだといえます。

意匠面でOttolingerを特徴づけるのは、未処理のまま残された裾線、焼き穴、非対称なシルエット、そしてコルセットのワイヤー構造を応用して身体に沿うループを作る立体的な装飾です。近年のコレクションでは、ブラトップのホックを金具からナイロン製のスナップボタンに置き換えるなど、下着的なディテールを表に出す構造を継続的に更新しながら扱っている点も、複数のランウェイレビューで指摘されています。ずれた重なりと裂けた表面が、破綻ではなくむしろ均衡として成立して見えるという評は、Ottolingerの美学を端的に表しているといえるでしょう。

業界メディアGOATのインタビュー記事は、Ottolingerの姿勢を「ラグジュアリーを引き裂くことで再発明する」ものと形容し、ファッション誌Lampoonも初期のコレクションを「終末後の世界観からアスレジャーまで」を横断する取り組みとして紹介しています。こうした評からもうかがえるのは、Ottolingerが単に壊れた見た目を演出しているのではなく、高度な縫製技術を土台にしたうえで、あえてその完成度を崩すという二段構えの手法を取っているという点です。2018年のLVMH Prize Semi-finalist選出以降、Ottolingerはパリ・ファッションウィークの公式カレンダーに継続的に名を連ねており、2024年秋冬、2025年春夏、2025年秋冬、2026年春夏と、直近のシーズンでも途切れることなく新作を発表し続けています。

代表アイテムと著名人の着用、ブランドコラボレーション

2018年、OttolingerはLVMH Prize for Young Fashion DesignersのSemi-finalistに選出されました。旧版の記事にあった「2019年にSemi-finalistに選出された」という記述は年が誤りで、LVMH Prize公式サイトの表記でも「2018年のSemi-finalist」として紹介されています。この選出を経て、Ottolingerはパリ・ファッションウィークの公式カレンダーに継続的に参加するようになり、近年のシーズンでもパリで新作を発表し続けています。

Ottolingerを象徴するアイテムの一つがデニムです。ウエスト部分をカットアウトしたラップ仕様のシグネチャーデニムや、裁ち切りの裾をそのまま生かしたデニムパンツなど、裂け目や生地の切りっぱなしを意匠として取り込んだ製品が定番として展開されています。この分野での大きな出来事が、オランダのデニムブランドG-STAR RAWとのコラボレーション「THE DENIM Series」第1弾への起用です。G-STAR RAWの代表的な立体裁断デニム「Elwood」を、Ottolingerらしい解体的な視点で再解釈し、サイドジップ仕様とフルレングスジップ仕様の2型を発表しました。新興デザイナーを起用するこのシリーズの記念すべき第1弾にOttolingerが選ばれたことは、ブランドのデニムに対する評価の高さを示す出来事だといえます。

フットウェアの分野では、スペインの靴ブランドCamperとのコラボレーションが継続的に行われています。2022年秋冬シーズンに発表された最初のコラボレーションでは、リサイクルウールを混紡した素材によるクロッグとハイブーツが展開され、彫刻的なシルエットと厚底のソール、内蔵されたプラットフォーム構造が特徴でした。ベルリンのCamper直営店をはじめとした店舗と公式オンラインストアで販売され、その後2度目のコラボレーションも実現しています。もう一つの主要なフットウェアコラボレーションが、ドイツのスポーツブランドPUMAとの提携です。2023年春に発表内容が明らかになり、同年秋冬シーズンとして正式にお披露目されたこのコラボレーションでは、PUMAの代表的なシューズ「Mostro」をOttolingerが再構築したブーツや、テキストバブルの形をしたバッグなどが展開されました。

著名人との関わりでは、Böschと Gadientがともにかつて Kanye Westの Yeezy でデザイナーとして働いていた経歴があり、この縁もあってKim KardashianはOttolingerの初期からの支持者の一人とされています。KardashianはNetflixの番組「The Kardashians」の中でOttolingerのプリント入りデニムを着用したことが確認されているほか、それ以前にはOttolingerによるカスタムメイドの一着を着用した実績もあると報じられています。ほかにも、Cardi B、Barbie Ferreira、Kendall Jennerといった著名人がOttolingerの愛用者として紹介されており、歌手のRita Oraがシアータイツと合わせてOttolingerのマイクロミニドレスを着用した事例も報じられています。2025年3月にパリで発表された2025-26年秋冬コレクションでは、ショーの中でKim Kardashianが手がけるシェイプウェアブランドSkimsのタグが確認され、Skims素材をOttolingerらしい解体的な手法でレイヤードしたトップスやボディスーツ、レギンスが披露されたと業界メディアが報じています。同じシーズンでは、腰や肩の見え方を変えるパッド構造を仕込んだテーラードジャケットや、ウエストを絞ったバイカーブルゾン、デニムの切れ端をあえて露出させたオーバーダイのジーンズなど、既存のシルエットを組み替える手法が続けて発表されました。旧版の記事にあった具体的な着用エピソードの一部は出典を確認できなかったため、本稿では確認できた範囲の着用実績のみを紹介しています。

どんな人に似合うブランドか

Ottolingerが似合うのは、完成された美しさよりも、あえて壊された部分に魅力を感じられる人です。裁ち切りの裾や焼き加工、非対称なカッティングは、着る人の身体の動きに合わせて表情を変えるため、静止した状態の美しさだけでなく、動いたときの崩れ方まで楽しめる人との相性が良いブランドだといえます。コルセット由来の構造やブラトップのようなインナー的なディテールを表に出すスタイルに抵抗がない人にも向いています。

一方で、左右対称で均整の取れたシルエットを好む人や、装飾の少ないミニマルな服を求める人にとっては、Ottolingerの解体的な意匠はやや強い個性に映るかもしれません。その場合は、CamperやPUMA、G-STAR RAWとのコラボレーションアイテムのような、フットウェアやデニムから触れてみるという入り口がおすすめです。ブランド単独のライン以上に価格帯が抑えられていることが多く、Ottolingerらしい解体の視点を、比較的取り入れやすい形で体験できます。

普段のコーディネートに取り入れる際は、無地でシンプルなアウターやボトムスと組み合わせ、Ottolingerらしい裂け目や非対称なラインだけを主役として立たせる引き算の合わせ方が扱いやすいでしょう。逆に、複数のOttolingerのアイテムを重ねて着る場合は、素材の質感やカラーをある程度統一しておくと、解体的な要素同士がぶつかり合わず、全体として一つの世界観にまとまりやすくなります。ベルリンの実験的なファッションシーンに関心がある人や、パリ・ファッションウィークで継続的に評価されている新興ブランドの動向を追いたい人にとっても、Ottolingerは追いかけがいのある存在だといえます。

中古市場でのOttolingerの位置づけ

中古・古着市場でOttolingerを見るときにまず押さえておきたいのは、生地を燃やす、裂く、ほつれさせるといった後加工が一点ごとに手作業で施されているため、同じ品番であっても個体差が大きいという特徴です。裁ち切りの裾の解け方や、焼き加工の焦げ目の入り方は工業製品のように均一ではなく、この不均一さそのものがOttolingerらしさの証明になっています。真贋や状態を見極める際は、縫い目の意図的な露出や、コルセットワイヤーのような立体的な補強構造、非対称なカッティングの精度を確認すると、量産的な模倣品との違いが見えてきます。

サイズ表記は欧州式(XS、S、Mなど)が中心で、肩を落とした仕様や非対称な裁断により、数字上のサイズ感と実際の着用感が異なる場合があるため、中古で購入する際は採寸や試着を通じて実際のフィット感を確認することをおすすめします。旧版の記事にあった具体的な中古価格帯の記述は、裏付けとなる一次情報が確認できなかったため、本稿では採用していません。デニムやニットのメインラインに比べると、CamperやPUMA、G-STAR RAWとのコラボレーションアイテムは流通量が相対的に多く、Ottolingerの意匠に初めて触れる一足・一本として中古市場でも探しやすい部類に入ります。

公式オンラインストアの製品ラインアップを確認すると、ウエストにカットアウトを施したラップ仕様のデニムパンツや、裁ち切りの縁をそのまま残したリネン素材のトップスなど、シーズンをまたいで継続的に展開されているアイテム群があることがわかります。中古で探す場合も、こうした継続的な定番アイテムから手を付けると、Ottolingerの解体的な意匠の中でも比較的日常使いしやすいラインを見極めやすくなります。生地の裂け目やほつれが後から起きた劣化なのか、もともとの設計に組み込まれた意匠なのかを見分けるためにも、可能であれば公式オンラインストアや過去のランウェイ画像で同型のアイテムを確認しておくと安心です。

ブランドとしての注目度は、2018年のLVMH Prize Semi-finalist選出以降、着実に積み重ねられてきました。パリ・ファッションウィークでの継続的な発表や、複数のスポーツ・デニムブランドとのコラボレーション、そしてKim Kardashianをはじめとする著名人からの支持が重なり合うことで、Ottolingerは前衛的な解体系ブランドの中でも国際的な流通網を持つ存在に育っています。今後もコラボレーションアイテムを中心に、中古市場での流通量は緩やかに増えていくことが見込まれます。

よくある疑問

Ottolingerというブランド名は本当に架空の人名の組み合わせですか

いいえ、架空の組み合わせではありません。旧版の記事は「二人の祖父母世代に多かったドイツ語圏の人名を組み合わせたフィクション」としていましたが、複数の一次情報によれば、Ottolingerは創業者2人が最初に構えた小さなアトリエの隣人の実際の苗字です。郵便受けが分かれていなかったため郵便物がすべてこの隣人宛てとして届いていたという逸話にちなみ、半ば冗談交じりにブランド名として採用されました。

OttolingerはAdidas Originalsとコラボレーションしていますか

複数の海外ファッションメディアを確認したかぎり、OttolingerとAdidas Originalsのコラボレーションを裏付ける情報は見当たりませんでした。旧版の記事にあった「2022年にAdidas Originalsと初コラボした」という記述は、本稿では出典不確認のため採用していません。確認できているフットウェア・アパレル関連のコラボレーションは、スペインのCamper(2022年秋冬から複数回)、ドイツのPUMA(2023年)、オランダのデニムブランドG-STAR RAW(THE DENIM Seriesの記念すべき第1弾)の3社です。

中古でOttolingerを選ぶときに注意すべき点はありますか

まず、裁ち切りの裾や焼き加工、コルセット由来の立体構造といった、意図的な「壊し」のディテールが丁寧に作り込まれているかを確認すると、量産的な模倣品との違いが見えてきます。サイズは欧州式表記が中心で、非対称な裁断により実際のフィット感が数字と異なることがあるため、試着や採寸を通じた確認をおすすめします。メインラインに比べて流通量が多いCamperやPUMA、G-STAR RAWとのコラボレーションアイテムから探し始めるのも一つの方法です。

まとめ

Ottolingerの歩みを一次情報で確認し直すと、スイスの小さな村で育ったChrista Böschと、同じくスイス出身のCosima Gadientが、バーゼルのファッション学校で出会い、2016年にベルリンで意気投合してブランドを立ち上げたことが見えてきます。ブランド名の由来が架空の人名ではなく実在した隣人の苗字だったこと、LVMH Prizeの通過が2019年ではなく2018年だったこと、そして確認できる主要コラボレーションがAdidas OriginalsではなくCamper・PUMA・G-STAR RAWであったことなど、旧版の記事にあった複数の記述は、一次情報を確認するかぎり事実と異なっていたため、本稿ではあらためて整理しました。オートクチュール的な構築技術とパンク的な破壊衝動を同居させる解体の美学、Kim Kardashianをはじめとする著名人からの支持、そして複数のブランドとのコラボレーションを通じて広がってきたOttolingerの現在地を踏まえたうえで、中古でのアイテム選びに役立ててみてください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のIMPORT BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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