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Conner Ives(コナー・アイブス)— ヴィンテージTシャツのパッチワークと、2025年BFC/Vogue Designer Fashion Fund受賞までの歩み

カラフルな端切れを縫い合わせたパッチワークキルトのクローズアップ(Conner IvesのヴィンテージTシャツを切り分けて縫い合わせるパッチワークの意匠のイメージ)

Conner Ives(コナー・アイブス)は、ロンドンを拠点に活動するアメリカ出身のデザイナーです。旧版の記事は本人の表記を「Conner Ives」としつつ、タイトルでは「2024年LVMH Karl Lagerfeld Prize」受賞という肩書きを添えていました。しかし公式サイトや米ファッション専門誌Business of Fashion、LVMH Prize公式サイトなど複数の一次資料を確認したところ、この受賞歴の記述には大きな誤りがあることがわかりました。Conner Ivesが名前を連ねたのは2021年のLVMH Prizeで、9組のファイナリスト(最終候補)の一組として選ばれた段階までであり、本賞もKarl Lagerfeld Prizeも受賞していません。ちなみに2024年のKarl Lagerfeld PrizeはDuran Lantinkが受賞しており、同年のLVMH Prize本賞はHodakova(Ellen Hodakova Larsson)が受賞しています。いずれもConner Ivesとは無関係の年・人物です。本稿ではこの誤りを含め、確認できた経歴と実際の受賞歴を一次資料で照合し直しながら、ヴィンテージTシャツのパッチワークという意匠がなぜ生まれたのかをお伝えします。

創業者と創業経緯 — ニューヨーク州ベッドフォードからロンドンへ

Conner Ivesは1996年、米国ニューヨーク州の小さな町ベッドフォードに生まれました。2014年にロンドンへ移り、英国の代表的な服飾教育機関であるCentral Saint Martinsに入学しています。在学中の早い時期から自身のデザインをInstagramで発表し始めており、複数の海外ファッションメディアはこの時期を「学生の一年目から独自のレーベルを動かし始めた」時期として紹介しています。つまりConner Ivesという名前の活動は在学中からすでに始まっていたことになりますが、本人の卒業後に商業ベースのレーベルとして体制が整っていったという流れも合わせて押さえておく必要があります。

在学中の最初の大きな転機は2017年のメット・ガラです。モデルのAdwoa Aboahのために、南部の社交界デビュタント・ボールを思わせる、白鳥の刺繍をあしらった4フィートのトレーンを持つデコンストラクテッドなタキシード風ドレスを手がけたことが、複数の海外メディアで大きく報じられました。この仕事がRihannaの目に留まり、Rihanna自身のブランドFentyの最初のコレクション制作にインハウスデザイナーとして参加する機会につながったと伝えられています。旧版の記事は「Rihannaが自身のTomato Girlドレスを愛用した」という趣旨の記述をしていましたが、確認できた一次資料からはRihannaが私的にConner Ivesの服を着用したという事実は裏付けられず、正しくはFenty立ち上げ時の仕事上の関わりであったため、本稿ではこの経緯に絞って紹介しています。

Conner IvesはCentral Saint MartinsのBA Fashion Womenswear課程を2020年に卒業しました。新型コロナウイルスの影響で対面での卒業ショーは行われなかったものの、卒業コレクションは「The American Dream」というテーマで発表され、Vogueでも取り上げられています。旧版の記事にあった2018年発表の卒業作品「The American Girls」という名称については、裏付けとなる一次資料が見当たらず、本稿では採用していません。確認できた卒業コレクションの正式なテーマは、2020年の「The American Dream」です。Central Saint Martinsは、John GallianoやAlexander McQueen、Stella McCartneyなど数多くの著名デザイナーを輩出してきた英国の服飾教育機関として知られており、Conner Ivesもこの環境で在学中から自身の作風を育てていった一人だといえます。

この卒業コレクションの中の一着「Couture Girl Dress」は、Carolina HerreraのクリエイティブディレクターであるWes Gordonが提供したデッドストックのシルクオーガンジーを使い、デイジーやピオニー、ダリア、ひまわりをモチーフにした1万個以上のスパンコールを手作業で刺繍したガウンです。このドレスは、メトロポリタン美術館のコスチューム部門を統括するキュレーター、Andrew Boltonの目に留まり、「In America: A Lexicon of Fashion」という展示に選ばれたと報じられています。卒業から間もない若手デザイナーの作品が、いきなり米国の主要美術館の企画展に招かれるというのは異例の評価だといえます。卒業後、Conner Ivesは自身のレーベルとしての体制を整え、2022年2月にはロンドン・ファッションウィークで2022年秋冬コレクションを発表する、本人名義としては最初のランウェイショーを行いました。

確認できた卒業コレクションの正式なテーマは、2020年の「The American Dream」です。

ブランド美学 — アップサイクルとヴィンテージTシャツの再構築

Conner Ives自身が公式サイトで説明しているブランドの根っこにある考え方は、自分が育った町ベッドフォードで身近だった女性たちの記憶や、アメリカという国のアイデンティティを、あらためて服の形で語り直すというストーリーテリングです。そのための素材として一貫して使われているのが、デッドストックの生地やヴィンテージの古着で、Conner Ives自身は「アップサイクルされた素材で作ることを、望ましくないものという扱いから引き上げたい」という趣旨の考えを繰り返し語っていると複数の海外メディアが伝えています。

本人はインタビューのなかで、サステナビリティという言葉が持つイメージそのものを揺さぶりたいという趣旨の発言をしていると英インテリア・デザイン誌Wallpaperなどが伝えています。エコであることを前面に押し出すのではなく、まず一着として魅力的であることを優先し、その結果として素材が再利用されたものだったという順序を大事にしている点が、Conner Ivesらしさだといえます。この考え方が最も分かりやすい形で表れているのが、ブランドの代名詞になっているパッチワークのドレスです。大学のロゴが入ったカレッジTシャツ、バンドTシャツ、スポーツチームのグラフィックTシャツといった、米国で大量に流通してきたヴィンテージのTシャツを何枚も切り分けて縫い合わせ、一着のドレスへと組み立てる手法で、ひとつひとつの柄や配色の組み合わせが違うため、同じものが二つとない一点ものになるという特徴があります。この手法は、量産された服の一部だったTシャツを解体し、まったく別の文脈のドレスとして再構築するという意味で、古着(セカンドハンド)そのものを主材料に据えたデザインだといえます。

もう一つの軸が、Couture Girl Dressのようなデッドストック生地を使った、より高級な仕立ての一着です。ラグジュアリーメゾンのクリエイティブディレクターが個人的に提供した廃棄予定の生地を、手作業の刺繍で仕上げるという手法は、Tシャツのパッチワークとは対照的な工程を経ていますが、いずれも「新しく生地を作らず、すでにある素材を生かす」という一貫した姿勢に基づいています。この二つのアプローチを併せ持つことが、Conner Ivesという名前を単なるサステナブル系ブランドの一つにとどめず、素材の背景そのものを見せる作り手として評価される理由になっているようです。

代表アイテムと受賞歴 — Protect the DollsとBFC/Vogue Designer Fashion Fund

ブランドの代表アイテムとしてまず挙げられるのは、先述のパッチワークのTシャツドレスです。ヴィンテージTシャツの再構築という手法そのものがブランドの入口になっており、これを目当てにConner Ivesを知るファッション関係者や愛好家が多いとされています。もう一着、美術館に選ばれたCouture Girl Dressも、素材の背景まで含めてブランドを語るうえで欠かせない一着です。

直近でもっとも社会的な反響を呼んだのは、2025年2月のロンドン・ファッションウィークで発表した「Protect the Dolls」というTシャツです。ランウェイショーの最後に、前日の夜に熱転写プリントで即興的に作ったという白いTシャツを着て登場したのがきっかけで、翌日から購入方法を尋ねる連絡が相次いだと伝えられています。「Protect the Dolls」は、トランスジェンダーの女性たちを守るという連帯を表す、以前から使われてきた言葉です。反響を受けてConner Ivesはこのシャツを99米ドルで自身のオンラインストアで販売し、売上をトランスジェンダー向けの相談支援を行う非営利団体Trans Lifelineへ寄付する取り組みへと発展させました。複数の海外メディアの報道によれば、このシャツを通じた寄付額は60万米ドルを超えたとされています。俳優のPedro PascalやTilda Swinton、Lisa Rinna、歌手のTroye SivanやAddison Rae、デザイナーのHaider Ackermannなど、多くの著名人がこのシャツを着用したことも、話題が広がった一因とされています。旧版の記事にも「Protect the Dolls」への言及自体はありましたが、発表の経緯や寄付先、寄付額といった具体的な事実は書かれていなかったため、本稿であらためて補いました。あわせて、2024年のメット・ガラにはIvy Gettyがレッドカーペットにコナー・アイブスのデザインを着用して登場しています。

受賞歴について整理すると、Conner Ivesはこれまで英国のブリティッシュ・ファッション・カウンシル(BFC)が新進デザイナーを支援するNEWGENの枠組みで、2021年および2023年から2024年にかけて支援対象デザイナーに選ばれており、2023年にはNEWGEN Designer of the Yearの候補にも挙がっています。NEWGENは、ロンドン・ファッションウィークでのショー開催費用や展示スペースの提供などを通じて、資金面での基盤がまだ弱い若手デザイナーの活動を支える、BFCの継続的な支援プログラムです。一度きりの受賞というよりも、複数年にわたって支援対象に選ばれ続けてきたという点で、Conner Ivesが英国のファッション業界内で安定した評価を得てきたことがうかがえます。そして2025年、Conner Ivesは英国ヴォーグ誌とBFCが共同で運営するBFC/Vogue Designer Fashion Fundの受賞者に選ばれました。この基金はBurberryやPaul Smithといった大手ブランドの支援を受けて運営されており、受賞者には15万英ポンドの助成金と、専属メンターや弁護士事務所による無償の法務サポートを含む1年間の育成プログラムが提供されます。同年の候補にはDi Petsa、Dilara Fındıkoğlu、Edeline Lee、Talia Byreといった名前が並んでおり、Conner Ivesはこの競争のなかから選ばれています。繰り返しになりますが、旧版の記事が伝えていた「2024年LVMH Karl Lagerfeld Prize受賞」という事実は確認できず、Conner Ivesが実際に得てきた評価は、NEWGENの継続的な支援と、2025年のBFC/Vogue Designer Fashion Fund受賞という英国国内の支援制度を通じたものだといえます。

どんな人に似合うブランドか

Conner Ivesが似合うのは、アメリカのカレッジTシャツやバンドT、スポーツチームのグラフィックといった、いわゆるアメリカーナ的な古着の柄そのものが好きで、それをドレスという別の文脈で楽しみたい人です。パッチワークのTシャツドレスは、素材の出どころが分かりやすい分、コーディネートの主役として一枚で存在感を出せるアイテムでもあります。単なる「エコである」という抽象的な訴求ではなく、どの生地がどこから来たのかという物語込みで服を選びたい人にも相性のよいブランドだといえます。

一方で、ロンドン・ファッションウィークの若手デザイナーが持つ社会的なメッセージ性そのものに関心がある人にとっては、Protect the Dollsのような一枚を通じて、ブランドを支援するという選び方も成立します。ただし前述のとおり、このシャツの売上寄付という仕組みは新品購入時に紐づくものなので、中古で入手する場合はこの仕組みの外側にあることを理解しておく必要があります。派手な柄や強いメッセージ性にまだ慣れていない人は、Couture Girl Dressのような仕立ての整った一着や、比較的落ち着いた配色のパッチワークアイテムから距離感をつかんでいくとよいかもしれません。

中古市場でのConner Ivesの位置づけ

Conner Ivesを中古市場という観点で見るときにまず押さえておきたいのは、本人名義のレーベルとしての商業的な歴史がまだ2020年前後から2022年の単独ランウェイデビューあたりから数えて浅く、老舗メゾンのような何十年分もの蓄積を持つ中古流通は存在しないという点です。現在の主な販売経路は本人の公式オンラインストアと、Net-a-PorterやSSENSE、Nordstrom、Moda Operandi、24S、Farfetchといった一部のラグジュアリー系セレクトショップに限られており、流通量そのものが決して多くありません。旧版の記事にあった具体的な中古価格帯の記述は、裏付けとなる一次資料が確認できなかったため、本稿では採用していません。

そのぶん、GUZの読者にとって面白いのは、Conner Ivesという名前が持つ素材の構造そのものです。パッチワークのTシャツドレスは、もともと誰かが着ていたヴィンテージのTシャツという古着を主材料にして作られています。つまりこの一着を中古で手に入れるということは、すでに一度着られたTシャツ生地を再構築した服を、さらにもう一段階、別の誰かへ受け渡すという、二重に循環した古着を手にすることに等しいわけです。しかも同じ配色や柄の組み合わせは基本的に存在しないため、中古市場に出てくる一着一着が、量産品の古着とは違う一点ものとしての価値を持つことになります。

実物を手にする機会があれば、どの部分にどんなブランドのカレッジTシャツやスポーツチームのグラフィックが使われているかを見比べてみるのも楽しみ方の一つです。使われている素材の年代や柄そのものが、その一着がいつ頃作られたパッチワークなのかを推測する手がかりになることがあります。Protect the DollsのようなプリントTシャツが中古で流通する場合は、前述のとおり売上寄付の仕組みの対象外になる点を理解しつつ、メッセージそのものに共感して選ぶかどうかを判断するとよいでしょう。

よくある疑問

Conner Ivesは本当にLVMH Prizeを受賞したブランドですか

いいえ、受賞はしていません。Conner Ivesは2021年のLVMH Prizeで9組のファイナリストの一組に選ばれましたが、その年の本賞はNensi Dojakaが、Karl Lagerfeld PrizeはKidSuper、Lukhanyo Mdingi、Ruiの3組が受賞しています。旧版の記事にあった「2024年LVMH Karl Lagerfeld Prize受賞」という記述は事実と異なり、2024年のKarl Lagerfeld PrizeはDuran Lantinkが受賞しています。Conner Ivesがこれまでに実際に受賞しているのは、英国のNEWGENという継続的な支援制度と、2025年のBFC/Vogue Designer Fashion Fundです。

ConnerとConnorはどちらが正しい表記ですか

本人の公式サイトや主要な海外ファッションメディア、LVMH Prize公式サイトのプロフィールページはいずれも「Conner Ives」の表記を採用しています。一部のメディアで「Connor Ives」という表記が使われることもありますが、これは綴りの揺れによる誤表記だと考えられます。本稿では確認できた一次資料に基づき、Conner Ivesの表記で統一しています。

パッチワークのTシャツドレスはどういう素材でできていますか

大学のロゴが入ったカレッジTシャツ、バンドTシャツ、スポーツチームのグラフィックTシャツなど、米国で流通してきたヴィンテージのTシャツを複数枚切り分けて縫い合わせて作られています。新しく生地を織るのではなく、すでに存在する古着をそのまま主材料として使うという点が、このアイテムの最大の特徴です。同じ組み合わせのものは基本的に存在しないため、一着ごとに柄や配色が異なります。

Conner Ivesはどこで購入できますか

本人の公式オンラインストアのほか、Net-a-PorterやSSENSE、Nordstrom、Moda Operandi、24S、Farfetchといった海外のラグジュアリー系セレクトショップで取り扱われています。日本国内の実店舗で常時扱われているという情報は確認できていないため、国内で探す場合はこうした海外の通販サイトや、後述する中古流通が主な選択肢になります。

まとめ

Conner Ivesの歩みを一次資料であらためて確認すると、1996年に米国ニューヨーク州ベッドフォードで生まれ、2014年にロンドンへ移り、Central Saint Martinsの在学中からすでに自身の名前で作品を発表し始めていたことが見えてきます。2017年のメット・ガラでの仕事がRihannaの目に留まり、Fentyの最初のコレクション制作に参加する機会につながり、2020年の卒業コレクション「The American Dream」の一着がメトロポリタン美術館の企画展に選ばれ、2022年に本人名義としての最初のランウェイショーを行うという流れです。旧版の記事にあった「2024年LVMH Karl Lagerfeld Prize受賞」という記述は、一次資料を確認するかぎり事実と異なり、実際にConner Ivesが得てきた評価は、2021年のLVMH Prizeファイナリスト選出、NEWGENの継続的な支援、そして2025年のBFC/Vogue Designer Fashion Fund受賞というものでした。

ブランドの核にあるのは、ヴィンテージTシャツを切り分けて縫い合わせるパッチワークの手法と、デッドストック生地を使った仕立てのよい一着という、二つの異なる工程でありながら「すでにある素材を生かす」という一貫した姿勢です。2025年の「Protect the Dolls」のように、素材の話だけでなく社会的なメッセージ性を服に乗せてきたことも、このブランドを特徴づけています。まだ商業的な歴史が浅いぶん、中古市場での流通量は限られていますが、もともと古着を主材料にしているという構造そのものが、GUZの読者にとっては二重に循環した一着として楽しめる要素になるはずです。中古でConner Ivesを探す際は、こうした背景を踏まえたうえで、一着ごとに異なる素材の組み合わせを見比べてみてください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のIMPORT BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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