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OAMC(オーエーエムシー)— Luke MeierとArnaud Faehが起点にした、ミリタリー・ワークウェアの再解釈と現在地

オリーブ色のワークウェア調ジャケットを着た男性のポートレート(OAMCが手がけるミリタリー・ワークウェアの意匠イメージ)

OAMC(オーエーエムシー)は、Luke Meier(ルーク・メイヤー、マイヤーとも表記)とArnaud Faeh(アルノー・ファー、フェとも表記)が2013年に立ち上げた、ミリタリーとワークウェアの意匠を軸にしたブランドです。旧版の記事には、Meierの生年や出身地、出身大学まで具体的に記した経歴、そしてブランドの拠点をスイスとする記述がありましたが、複数の海外ファッションメディアおよび日本の専門媒体を確認したところ、これらの具体的な記述を裏付ける一次情報は見当たりませんでした。また、旧版はLuke MeierがOAMCとJil Sanderの両ブランドで現在もクリエイティブディレクションを兼任しているという前提で書かれていましたが、実際には2024年にOAMCのクリエイティブディレクション職を、2025年にはJil Sanderの共同クリエイティブディレクター職を、それぞれ退いていることが複数の報道で確認できました。本稿ではこうした点を一つずつ確認し直しながら、OAMCの歩みと現在地をお伝えします。

創業者ふたりの経歴と2013年の創業経緯

Luke Meierはカナダ出身のデザイナーです。日本の専門媒体fashionsnapの記述によれば、カナダ西海岸の出身とされ、まずジョージタウン大学で金融と国際ビジネスを学び、その後オックスフォード大学で経営学の課程を修めています。ここからファッションへ関心を移し、ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)でメンズウェアデザインを学びました。2001年、FITの交換留学プログラムでイタリア・フィレンツェのポリモーダに滞在した際、同校でファッションマーケティングを学んでいたLucie(のちの妻ルーシー・メイヤー)と出会い、Meierは2002年にFITを、Lucieは2003年にポリモーダを、それぞれ卒業しています。旧版の記事には「1985年生まれ、トロント大学卒、スイス系カナダ人の父と英国系カナダ人の母」という具体的な記述がありましたが、これらを裏付ける一次情報は確認できず、本稿では採用していません。

Meierはニューヨークに移った後、ストリートウェアブランドSupreme(1994年にJames Jebbiaがニューヨークで創業)でデザイナー、のちにヘッドデザイナー兼クリエイティブディレクターとして、複数の海外メディアが一致して伝える約8年間を過ごしました。旧版の記事は在籍期間を「2006年から2011年までの5年間」と具体的に記していましたが、この年数を裏付ける一次情報は確認できず、複数の媒体が伝える「約8年間」という期間のほうが確度が高いと判断し、本稿では具体的な在籍年を断定していません。

もう一人の創業者Arnaud Faehは、デニム事業を営む父のもとで、10代の頃から放課後に生地の洗い加工を手伝っていたという経歴を持ちます。伯父がデトロイト発のワークウェアブランドCarharttをライセンス契約で欧州に導入した人物で、Faeh自身はフィレンツェのポリモーダでファッションマーケティングを学んだのち、Carharttの欧州ライン「Carhartt WIP(Work In Progress)」でクリエイティブディレクターを務め、デザイナーとのコラボレーション企画やメインラインの方向づけを主導してきました。旧版の記事はFaehを「Carhartt WIPの初代クリエイティブディレクター」と紹介していましたが、「初代」であることを裏付ける情報は見当たらず、本稿ではこの表現を採用していません。OAMC創業後の役割分担についても、Faehは共同創業者兼CEOとして経営・販売面の運営を担い、Meierがクリエイティブディレクションを担うという分業体制が伝えられています。デザイナー個人の名前が前面に出やすいブランドが多いなか、共同創業者が経営面を専任で担うという体制は、OAMCの運営を安定させてきた土台の一つといえます。

2013年、Supreme、Carhartt WIPをそれぞれ離れたMeierとFaehは、パリを拠点にOAMCを共同で立ち上げました。デザインをパリで手がけ、商品企画と生産の中心をミラノに置く体制で、ブランドが手がける製品の大半はイタリア製と伝えられています。なお、OAMCがパリ・メンズ・ファッションウィークで初めてランウェイショーを開催したのは、創業から約4年が経った2017年1月のことです。会場となったパリ大学薬学部の校舎では、トンネルの奥から光の中へモデルが歩き出してくるという演出と、闇の中に浮かぶランウェイが、服そのものに語らせる親密な空気をつくり出したと当時の海外メディアは伝えています。この2017年1月のショーを境に、OAMCはパリ・メンズ・ファッションウィークでの定期的なランウェイ発表を続けており、2018年春夏、2019年春夏、2020年秋冬、2022年春夏など、複数のシーズンでコレクションを披露してきたことが海外のファッション専門メディアの記録から確認できます。旧版の記事にあった「スイス・ローザンヌ郊外を拠点に運営」という記述は、複数の一次情報を確認するかぎり裏付けが見当たらず、本稿では採用していません。なお創業年については2014年とする媒体も一部にありますが、直近の報道および教育機関発の記録も含め2013年とする記述のほうが多く確認できたため、本稿では2013年を採用しています。

ブランド名「OAMC」は「Over All Master Cloth」の頭文字で、米国のワークウェアブランドが製品タグに記していた、上質な生地への敬意を示す表現を引用したものと伝えられています。Meierはこの頭文字が指す意味を、シーズンごとのコレクションのテーマに合わせて言い換える手法を続けているとされ、固定された一つの意味に縛られない運用がブランドらしさの一つになっています。

2018年には、日本の大手アパレル企業オンワードホールディングス傘下のOnward Luxury Groupが、OAMCの少数株を取得しています。この提携期間中、ブランドはパリ・メンズ・ファッションウィークでのコレクション発表を継続しながら、自社ECサイトの立ち上げを含む販路の拡大を進めました。2021年3月、MeierとFaehはこの少数株を買い戻し、ふたたび創業者だけでブランドの全株式を保有する体制に戻っています。日本の大手アパレル企業がOAMCの成長期に一時的な資本参加をしていたという経緯は、旧版の記事には触れられていなかった事実です。

2021年3月、MeierとFaehはこの少数株を買い戻し、ふたたび創業者だけでブランドの全株式を保有する体制に戻っています。

ブランド美学 — ミリタリー・ワークウェアの再解釈

OAMC公式サイトの説明によれば、ブランドの創作の根底にあるのは自己表現と高品質への評価であり、音楽やアート、映像、写真といった分野への関心と同等の重みで、伝統的なテーラリングの手法、先進的な素材、手工芸を一つの服に融合させるという姿勢が貫かれています。日本の専門媒体fashionsnapは、OAMCのコレクションを「ワーク&ミリタリー、ストリート、テーラード、ラグジュアリー」という、メンズウェアの複数の要素を掛け合わせたものと位置づけています。軍服やワークウェアが本来持つ機能性を、仕立ての精度や素材選定を通じてラグジュアリーの文脈に引き上げるという方向性が、創業から現在まで一貫しているといえます。

旧版の記事には、Meierが元米軍兵士の遺族との対話や、戦後の世界各国の軍払い下げ作業着のリサーチを定期的に行っているという記述、および素材の産地を国別に細かく列記した記述(イタリア製ナイロン、ポルトガル製コットン、英国製Harris Tweed、日本製デニム、スイス製メリノウールなど)がありましたが、これらを裏付ける一次情報は見当たらず、本稿では採用していません。確認できたのは、ブランドの大半の製品がイタリアで製造されているという点と、ワークウェアとミリタリーの意匠を軸にした設計思想がある点にとどまります。

OAMC公式サイトはまた、毎シーズン少なくとも一つの慈善団体とパートナーシップを結んでいることも紹介しています。商業的な発表サイクルのかたわらで、こうした社会的な取り組みを継続している点も、ブランドの姿勢を示す手がかりの一つといえるでしょう。

代表アイテムと近年のコラボレーション、そしてJil Sander兼任という特異な経歴

OAMCを象徴するアイテムの一つが、ミリタリーウェアのフィールドジャケットをテクニカル素材で再構築したアウターです。この方向性がもっとも明確に表れているのが、日本のアウトドアブランドGoldwinとの協業です。2024年秋冬シーズンに発表された最初のコラボレーションでは、Goldwinが持つ約70年の素材開発の専門性とOAMCのデザインを組み合わせた6アイテムのコレクションが展開され、なかでも「3L Field Jacket」は、日本製の高品質ウール素材を使った3層構造に防水膜とライニングを組み合わせ、このコラボレーションでのみ使われるミント色のライニングや、着脱式フード、サイドジッパー、内部メッシュポケットといった機能を備えたオーバーサイズのシルエットで話題になりました。2025年春夏には、アウターに加えてパンツやショーツ、Tシャツ、フーディーを含む10アイテムの第2弾コラボレーションも発表されています。

OAMCはこのほかにも、2019年のadidas Originalsとのコラボレーション「adidas Originals by OAMC」、同じ2019年のSupremeとのコラボレーション、2020年の藤原ヒロシによるfragment designとの協業、2022年のWTAPSとのコラボレーションと、日本のブランド・クリエイターとの接点が多いことでも知られています。旧版の記事にあった、著名人の着用歴を10名近く列記した記述については、それぞれの着用を裏付ける一次情報が確認できなかったため、本稿では採用していません。

アパレル以外の分野では、ドイツのアイウェアブランドMYKITAとの協業も見逃せません。両ブランドは、機能性と精密さ、日常での使いやすさを design の出発点に置くという共通の姿勢から協業に至ったと伝えられており、中世紀のアイウェアや実用品を参照点に、軍隊の俗語から名付けられた「RAT」「GRUNT」という2型のサングラスを展開しています。軽量なステンレススチールのフレームに、MYKITA独自素材Mylonのインサートを組み合わせ、視界のノイズを抑えるサイドシールドを備えた仕立てが特徴で、2026年1月29日から発売されました。アパレルのクリエイティブディレクション体制が社内チームに移った後も、こうした異分野とのコラボレーションが継続していることは、OAMCというブランド自体の設計思想が、個人のクリエイティブディレクターだけに依存していないことを示す一つの手がかりといえます。

Meierのもう一つの顔が、Jil Sanderでの仕事です。2017年4月、MeierとLucie Meierの夫妻は、Rodolfo Paglialungaの後任として、Jil Sanderの共同クリエイティブディレクターに就任しました。Lucie Meierは、Louis Vuitton(Marc Jacobsのもとで)、Balenciaga(Nicolas Ghesquièreのもとで)、そしてDior(Raf SimonsからMaria Grazia Chiuriへの体制移行期をまたぐ5シーズン)で経験を積んだ人物です。旧版の記事にあった「Givenchy(Riccardo Tisci期)」や「Dior(John Galliano期)」といった在籍歴の記述は、本稿で確認したかぎり裏付けが見当たらず採用していません。

MeierはOAMCの創業者兼クリエイティブディレクターという立場と、Jil Sanderの共同クリエイティブディレクターという立場を、2017年から数年間並行して務めていました。しかし2024年6月、OAMCは、2024年春夏コレクションをMeierにとって最後のコレクションとし、同氏がクリエイティブディレクション職を退くと発表しました。退任の理由は明らかにされておらず、後任のクリエイティブディレクターも置かれていません。日本の専門媒体WWD JAPANによれば、Meierは共同創業者としての持分を保有し続け、一部のプロジェクトには引き続き関わる見通しとされていますが、コレクションのデザインと開発は社内のデザインチームが担う体制に切り替わっています。

さらに2025年2月、MeierとLucie Meierの夫妻はJil Sanderの2025年秋冬コレクションの発表を最後に、共同クリエイティブディレクター職からも退くことが発表されました。2017年から約8年間続いた夫妻の在任期間が終わり、Jil Sanderの親会社OTBグループは、Bally在籍を経たデザイナーSimone Bellottiを新たなクリエイティブディレクターに起用しています。つまり、旧版の記事が前提としていた「OAMCとJil Sanderの兼任体制」は、本稿執筆時点ではすでに両方とも終了しているということになります。

どんな人に似合うブランドか

OAMCが似合うのは、ミリタリーやワークウェアの機能的なディテールを、あえてラグジュアリーの文脈で楽しみたい人です。フィールドジャケットのようなアウターは、素材やシルエットの作り込みが精緻なぶん、シンプルなインナーと合わせるだけでコーディネートの主役になります。Quiet Luxuryと呼ばれる、ロゴを主張しないミニマルな高級感を好む層とも相性がよいブランドです。

一方で、日本のブランドとの接点も多いことから、WTAPSやfragment design、Goldwinといったストリート・アーカイブ文化に親しみのある人にとっても、OAMCは入り口として扱いやすいブランドです。とくにGoldwinとの協業アイテムは、テクニカルアウトドアウェアの機能性とOAMCのミリタリー的なシルエットが融合しているため、機能性を重視するアウトドア愛好者が、あらためてOAMCという名前に触れるきっかけにもなっています。逆に、はっきりとしたロゴやグラフィックを主役にした服を求める人には、OAMCの控えめな意匠はやや物足りなく映るかもしれません。その場合は、Supremeやadidas Originalsとのコラボレーションのように、ストリートの文脈がより強く出ているアイテムから試してみるとよいでしょう。また、アウターからいきなり手を出すのが不安な人には、MYKITAとの協業サングラス「RAT」「GRUNT」のような小物から、OAMCらしいミリタリー由来の実用的なディテールに触れてみるという選び方もあります。

中古市場でのOAMCの位置づけ

OAMCは、fashionsnapの記述によれば直営店を持たず、卸売りを中心にセレクトショップやオンラインストアで展開されているブランドです。日本国内でも直接の店舗を持たないぶん、古着店やフリマアプリ、海外の委託販売プラットフォームといった中古の流通経路が、ブランドに触れる実務的な入り口の一つになっています。旧版の記事にあった、アイテム別・生産国別の具体的な中古価格帯の記述については、裏付けとなる一次情報が確認できなかったため、本稿では採用していません。

中古でOAMCを探す際に一つの目安になるのが、2024年を境にしたクリエイティブディレクション体制の変化です。2013年の創業から2024年春夏コレクションまではMeierが自らクリエイティブディレクションを手がけた時期にあたり、それ以降は社内デザインチームによる開発体制に切り替わっています。ヴィンテージや古着の文脈では、創業者自身が指揮した時期のコレクションを一つの区切りとして意識するコレクターも一定数いると考えられ、タグの年代やシーズン表記を確認しながら選ぶ楽しみ方があります。

もう一つの見分け方が、コラボレーションラインの扱いです。Goldwin、WTAPS、fragment design、adidas Originals、Supremeといった協業アイテムは、それぞれ協業先のロゴやタグが加わるため、OAMCのメインラインとは別の文脈で評価される傾向があります。中古で購入する際は、メインラインかコラボレーションラインかをタグで確認し、コラボレーション特有の素材やディテール(たとえばGoldwinとの協業で使われた防水膜や日本製ウールなど)についても、販売元の説明を確認しておくと安心です。日本のブランドとの協業が多いという特性上、国内の古着店やアーカイブ系セレクトショップでの取り扱いも見つけやすいブランドだといえます。

よくある疑問

OAMCは現在もLuke Meierがデザインしているのですか

いいえ。2024年6月、Meierは2024年春夏コレクションを最後にOAMCのクリエイティブディレクション職を退いたと発表されています。後任のクリエイティブディレクターは置かれておらず、現在は社内のデザインチームがコレクションの開発を担っています。Meierは共同創業者としての持分を保有し続けているとされていますが、日々のデザインディレクションからは退いた状態です。

OAMCとJil SanderはまだLuke MeierとLucie Meierが兼任していますか

兼任していません。2017年4月から共同クリエイティブディレクターを務めていた夫妻は、2025年秋冬コレクションの発表をもってJil Sanderを退任しています。後任にはBally在籍を経たデザイナーSimone Bellottiが起用されました。旧版の記事が前提としていた兼任体制は、本稿執筆時点ではすでに解消されています。

OAMCという名前の由来は何ですか

「Over All Master Cloth」の頭文字とされています。米国のワークウェアブランドが上質な生地への敬意を示すために製品タグに記していた表現を引用したもので、Meierはこの頭文字が指す意味を、シーズンのテーマに合わせて言い換える手法を続けているとされています。

まとめ

OAMCの歩みを一次情報で確認し直すと、Supremeでヘッドデザイナーを務めたLuke Meierと、Carhartt WIPでクリエイティブディレクターを務めたArnaud Faehが、2013年にパリを拠点として立ち上げたブランドであることが見えてきます。旧版の記事にあった具体的な生年・出身地・出身大学、スイスを拠点とする記述、Carhartt WIPでの「初代」という肩書き、そして著名人の着用歴の列記は、一次情報を確認するかぎり裏付けが見当たらなかったため、本稿では採用していません。もっとも大きな訂正点は、旧版が前提としていたOAMCとJil Sanderの兼任体制で、実際にはMeierは2024年にOAMCのクリエイティブディレクション職を、MeierとLucie Meierの夫妻は2025年にJil Sanderの共同クリエイティブディレクター職を、それぞれ退いています。Goldwin、WTAPS、fragment designといった日本のブランド・クリエイターとの協業の歴史、そして日本のオンワードホールディングスが一時期少数株を保有していたという経緯も含めて、OAMCという二人組から始まったブランドの現在地を踏まえたうえで、中古でのアイテム選びに役立ててみてください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のIMPORT BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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