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Rejina Pyo(レジーナ・ピョウ)— ソウル生まれのデザイナーが磨き上げた、静かな女性性の12年

オーバーサイズのグレイッシュベージュのウールコートを胸元にたぐり寄せる人物のクローズアップ(Rejina Pyoの彫刻的なオーバーサイズシルエットのイメージ)

Rejina Pyo(レジーナ・ピョウ)は、韓国・ソウル出身のデザイナーが2014年にロンドンで立ち上げた、独立系のコンテンポラリーウィメンズウェアブランドです。旧版の記事は、彼女の出身校を「延世大学」、修士課程の修了を「2000年代後半」としていましたが、複数の英語圏メディアと1granaryのインタビュー記事を確認したところ、正しくは韓国の美術系大学である弘益大学(Hongik University)でファインアートを学んだのち渡英し、Central Saint Martins(CSM)のMA Fashion Designコースを2011年に修了したという経緯でした。さらに、既存のguz_brand側の記録は「Loewe等のロンドン拠点ファッションハウス」で経験を積んだとする一方、同じ記録の別項目では「Roksandaなどのアトリエ経験」とも記載しており、CPT内部の記述自体が矛盾していました。複数の業界メディアを確認したかぎり、Loeweでの勤務を裏付ける情報は見当たらず、正しくはRoksanda IlinčićとChristopher Raeburnという、ロンドンの二つのブランドでの経験が実際の経歴です。本稿ではこうした食い違いを一つずつ確認し直しながら、Rejina Pyoの歩みと現在地をお伝えします。

ソウルからロンドンへ — 創業者レジーナ・ピョウの歩みと2014年の創業

Rejina Pyoは韓国・ソウルで生まれ育ちました。複数の海外メディアのプロフィール記事によれば1983年生まれとされていますが、本人の公式な生年月日を明記した一次情報は確認できなかったため、この年についてはメディア報道ベースの情報として扱います。ソウルの弘益大学でファインアートを学んだのち、韓国国内の大手小売企業での勤務を経て、2008年にロンドンへ渡りました。CSMのMA Fashion Designコースでは、後年伝説的な指導者として語られることになるLouise Wilsonのもとで学んだと1granaryのインタビュー記事は伝えています。

2011年にMAコースを修了したPyoは、卒業コレクションでHan Nefkens Fashion Awardを受賞しました。この賞は、オランダのロッテルダムにあるBoijmans Van Beuningen美術館が主催するもので、審査員にはViktor & RolfやPenny Martin、José Teunissenといった名前が名を連ねていたと同美術館の公式サイトは紹介しています。受賞に伴い、2012年秋にBoijmans Van Beuningen美術館で単独プレゼンテーションの機会と、2万5,000ユーロ(うち1万5,000ユーロは展示制作費)の賞金が与えられました。旧版の記事やCPTには、この受賞にまつわる具体的な記述がなく、ブランドの出発点となった重要な出来事が欠落していました。

CSM修了後、PyoはRoksanda IlinčićとChristopher Raeburnという、方向性の異なる二つのロンドンブランドで実務経験を積みました。どちらの経験が先だったかは情報源によって記述が分かれるため本稿では順序を断定しませんが、一方でオートクチュール的な女性服のアトリエ運営を、もう一方でビジネスとしてのブランド運営の実務を学んだと複数の記事は伝えています。この二つの現場を経たのち、2014年にロンドンで自身の名を冠したブランドを立ち上げました。旧版の記事にあった「最初のスタジオはHackney地区の共同アトリエ」という具体的な記述は、裏付けとなる一次情報が見当たらなかったため、本稿では採用していません。

私生活では、2011年にアイルランド出身のシェフ兼フードライターであるJordan Bourkeと結婚しています。二人は2015年から2016年にかけて、韓国の家庭料理をテーマにした共著書『Our Korean Kitchen』を出版しました。既存のguz_brand側の記録は「夫であるJordan Bourkeと共にレジーナ・ピョウ社を設立した」としていますが、複数の英語圏メディアを確認したかぎり、Bourkeがブランドの正式な共同創業者だったことを裏付ける記述は見当たりませんでした。確認できたのは、彼が料理と食の分野で活動する伴侶であり、自宅がアトリエとキッチンを兼ねる制作の拠点になっているという関係性です。本稿ではこの点を「共同創業」ではなく「夫であり、生活と創作をともにするパートナー」という表現に改めています。

ブランドとしての評価も着実に積み重ねてきました。英国ファッション評議会(BFC)とVogueが共同で主催するBFC/Vogue Designer Fashion Fundには、2018年、2019年、2020年と三度にわたって最終候補入りを果たしています。2020年は新型コロナウイルスの影響で審査方式が変更され、最終候補に残った6ブランドのあいだで助成金が分配される初めての年になったと当時の業界メディアは伝えています。あわせて2019年には、英国最大級のファッション表彰式であるThe Fashion Awardsで「British Emerging Talent, Womenswear」を受賞しました。旧版の記事にあった「2019年BFC/Vogue Designer Fashion Fund」という表現は、この二つの異なる評価制度を混同したものである可能性が高く、本稿では両者を分けて整理しています。

本稿ではこの点を「共同創業」ではなく「夫であり、生活と創作をともにするパートナー」という表現に改めています。

「静かな女性性」と呼ばれるブランド美学

Rejina Pyoの作風は、韓国的な感性と英国的な仕立ての両方を行き来する点にあります。公式サイトや複数の海外ファッションメディアは、彫刻的なシルエット、意外性のあるディテール、色使いの巧みさという三つの要素をブランドの核として紹介しています。過剰な装飾に寄らず、かといって無個性でもない、控えめでありながら存在感を保つ女性服という方向性は、John LewisとのコラボレーションでPyo自身が語った「静かな強さ(quiet strength)」という言葉によく表れています。2025年秋から2026年春にかけて展開された二度目のJohn Lewisとのコラボレーションで、Pyoは1990年代の女性たちが体現していた「リラックスしていながら芯の強いフェミニニティ」を参照点にしたと述べており、この姿勢は創業当初から一貫しているブランドの軸だといえます。

もう一つの特徴が、スローファッションという考え方への一貫したコミットメントです。公式サイトのサステナビリティページによれば、既製服やシューズ、バッグの多くはポルトガルとスペインの小規模な工房で生産され、アルパカニットに関してはペルーで原毛の段階から仕上げまで一貫して製造されているとのことです。旧版の記事にあった「Better Cotton Initiative認証コットン、Responsible Wool Standard認証ウール、bluesign認証合成繊維」といった具体的な認証名や、「工場との5年から8年の長期契約」という記述については、公式サイトを含む複数の情報源で裏付けが確認できず、本稿では採用していません。なお、サステナビリティ評価サイトGood On Youは、気候影響の低減や繊維廃棄物の削減に関する具体的な取り組みの証拠が乏しいとして、Rejina Pyoを「Not Good Enough」と評価しています。ものづくりの姿勢そのものは丁寧であっても、業界標準の認証取得という点では、旧版の記事が伝えていたほど整った体制ではないというのが実情に近いようです。

2024年には、Pyo自身が初めてキュレーションを手がけた美術展「As She Is」を発表したとHypebaeは報じています。デザイナーであると同時に絵画制作も続けてきた彼女らしく、ファッションと美術の境界を行き来する活動は近年ますます広がっており、後述するMulberryやMUNCH美術館とのコラボレーションも、こうしたアート志向の延長線上にある取り組みだと捉えると理解しやすくなります。

代表アイテムと意匠 — NaneバッグとBarbaraヒール、そしてコラボレーション

旧版の記事は「Maud Coat」というオーバーサイズコートと「Aaron Square Toe Loafer」というローファーを、ブランドの代名詞的アイテムとして紹介していました。しかし、公式オンラインストアの現行ラインナップや、Victoria & Albert博物館の収蔵品記録、複数のファッションメディアを確認したかぎり、この二つの名称を裏付ける情報は一切見当たりませんでした。ご依頼の際に候補として挙がっていた「Coco heels」や「Frances bag」についても同様に、実在を確認できる一次情報は見つかっていません。これらはいずれも出典不明の名称として、本稿では採用を見送りました。

実際に一次情報で確認できた代表アイテムとしては、まずV&A博物館が2019年のリゾートコレクションから収蔵した「Nane」バッグが挙げられます。韓国の伝統的な弁当箱からヒントを得たというコットン素材のバッグで、日用品をユーモラスな造形へと転換するPyoらしい発想が表れた一着です。このNaneバッグは、2020年3月にMeghan Markleがロンドン・ダゲナムの学校訪問時にアイボリーカラーの編み込みタイプを着用したことでも広く報じられ、Who What WearやTatler Asiaなど複数のメディアが取り上げています。もう一つ、同じくV&Aが2019年発表分として収蔵しているのが「Barbara」ヒールです。円形にジグザグを刻んだ木製の彫刻的なヒールに、赤いスエードのつま先とブラックのアンクルストラップを組み合わせたデザインで、色使いとヒールの造形性というブランドの特徴がよく表れたアイテムだといえます。

現行コレクションでは、バッグは「Lena」「Cassie」「Felix」「Camila」、ヒールは「Soft Pump」「Kitten Mule」「Mathilde」「Lou」「Bella」「Avery」といった具合に、シーズンごとに個別の名前を与えたスタイル展開が続いています。2025年12月に開業した二店舗目のノッティングヒル店に関する報道では、ブランドを象徴する「ノット(結び目)ハンドル」のバッグが、新作のホーボーバッグにも受け継がれていると紹介されており、装飾的な結び目のディテールが一つの継続したシグネチャーになっていることがうかがえます。近年はコラボレーションも活発で、2024年9月にはMulberryとの限定カプセルコレクションでブランドの代表バッグ「Blenheim」を再解釈し、2025年にはオスロのMUNCH美術館と組んでEdvard Munchの作品からインスピレーションを得たスカーフやジュエリー、ミラーなどを展開しました。百貨店John Lewisとのコラボレーションも2025年に初回、2026年春夏に二度目が実現しており、独立系デザイナーブランドとしては珍しく、大衆向け百貨店との協業を継続的に重ねている点も現在のRejina Pyoの特徴です。

どんな人に似合うブランドか

Rejina Pyoが似合うのは、はっきりとしたロゴ主張やストリート的な派手さではなく、シルエットと色使いで個性を出したい人です。彫刻的なヒールや結び目のディテールを持つバッグのように、一点だけでも十分に存在感のあるアイテムが多いため、普段は落ち着いた服装を好む人でも、小物や差し色として取り入れやすいという側面があります。オフィスカジュアルとエレガンスの中間を探している人や、韓国的な感性と英国的な仕立てが交わる独自の立ち位置に関心がある人にも相性のよいブランドです。1990年代の映画やポートレートに写る、力の抜けた自然体の女性像に憧れがある人にとっても、参考になるヒントが多いブランドだといえます。

一方で、Rejina Pyoは大量生産型のファストファッションとは異なり、比較的小規模な生産体制を保っているブランドでもあります。派手なロゴやわかりやすいブランド記号を求める人には、控えめな佇まいがやや物足りなく映るかもしれません。その場合は、Mulberryとのコラボレーションのように、より認知度の高いブランドとの協業アイテムから試してみると、Rejina Pyoらしい造形性に触れながらも取り入れやすい入り口になります。2022年12月に開業した最初のソーホー店に続き、2025年12月にはロンドン西部ノッティングヒルのゴルボーン・ロードに二店舗目を開いています。Broadsheetなどの報道によれば、この二店舗目は「アトリエでもあり、ギャラリーでもあり、リビングルームでもある」空間として設計されており、カラーラ大理石のカウンターや、Aleksander MechlinskiやDaisy Douglas Miller、Ishbel Lowtherといったアーティストの作品が入れ替わりながら展示される仕組みになっているとのことです。旧版の記事は「直営店を持たず、予約制のアトリエ兼ショールームのみ」としていましたが、この記述は2022年以降の実情とは異なっており、本稿ではあらためて訂正しています。ロンドンを訪れる機会があれば、店舗そのものを体験してみるのも一つの楽しみ方です。

中古市場でのRejina Pyoの位置づけ

Rejina Pyoは、Net-a-PorterやBrowns Fashion、Harvey Nicholsといった英国の主要小売店で、2016年前後という比較的早い段階から取り扱いが始まったと複数の業界メディアは伝えています。2020年時点で世界に100以上の取扱店があったとも報じられており、独立資本のまま着実に販路を広げてきたブランドです。旧版の記事にあった「Selfridges、Liberty London、Galeries Lafayette、Bergdorf Goodman、Saks Fifth Avenue、日本国内ではBeams、Estnation、United Arrows」という詳細な取扱店リストについては、裏付けとなる一次情報が確認できなかったため、本稿では採用を見送っています。日本国内での正規取扱いの有無を含め、最新の状況は公式サイトのストアリストで確認することをおすすめします。

中古・古着市場でRejina Pyoを見分ける際にまず参考になるのは、既製服やシューズ、バッグの多くがポルトガルとスペインで生産されているという点です。タグの生産国表記がこの二カ国になっているかどうかは、真贋や生産時期を推測する一つの手がかりになります。またアルパカニットについてはペルー製という記載が見られるはずです。旧版の記事にあった「タグはRejina Pyo, London表記が標準」「中古価格帯はコートが35,000円から90,000円台」といった具体的な数値は、裏付けとなる一次情報が確認できなかったため、本稿では採用していません。中古市場での実勢価格は、フリマアプリや古着店の実際の出品状況を確認しながら判断することをおすすめします。海外では委託販売プラットフォームのVestiaire Collectiveにも一定数の出品があり、コンディションや付属品の有無ごとに価格が細かく分かれている様子が確認できます。国内で探す場合も、こうした海外プラットフォームの相場感を参考にしながら、フリマアプリの出品と比較してみると値付けの妥当性を判断しやすくなります。

探す際の着眼点としては、V&A博物館にも収蔵されているNaneバッグやBarbaraヒールのような、彫刻的な造形やユニークな発想が反映された初期のシグネチャーアイテムは、資料的な価値も込みで評価されやすい傾向があります。また、MulberryやMUNCH美術館とのコラボレーション商品は、生産数が限られる期間限定の企画であることが多く、通常のシーズンコレクションとは異なる希少性を持つ点も、中古で探すときに意識しておきたいポイントです。ブランド自体が比較的小規模な独立系ハウスであることから、中古市場での流通量自体はファストファッションほど多くありませんが、その分、状態のよい個体を見つけたときの満足感は大きいブランドだといえます。

よくある疑問

Rejina Pyoは韓国ブランドですか、それとも英国ブランドですか

デザイナーのRejina Pyoは韓国・ソウル出身ですが、ブランド自体は2014年にロンドンで設立され、現在も本拠地はロンドンにあります。公式サイトや複数のメディアは、韓国的な感性と英国的な仕立てが交わる点をブランドの特徴として紹介しており、どちらか一方の国のブランドと単純に分類するよりも、両方の背景を持つロンドン発のブランドとして理解するのが実情に近いといえます。

旧版記事にあった「Maud Coat」や「Aaron Square Toe Loafer」は本当に存在しないのですか

本稿の調査時点では、公式オンラインストアの現行ラインナップにも、V&A博物館の収蔵品記録にも、この二つの名称を裏付ける情報は見当たりませんでした。過去のシーズンで一時的に使われていた可能性を完全には否定できませんが、少なくとも広く報じられている代表アイテムとしては確認できていません。本稿では、V&A博物館が収蔵しているNaneバッグとBarbaraヒールという、一次情報で存在が確認できるアイテムを代表例として紹介しています。

中古でRejina Pyoを選ぶときに注意すべき点はありますか

まず、タグの生産国表記を確認することをおすすめします。既製服やシューズ、バッグの多くはポルトガルとスペイン製、アルパカニットはペルー製という体制になっているため、これと異なる表記がある場合は、コラボレーションラインなど別の位置づけの商品である可能性があります。また、MulberryやMUNCH美術館とのコラボレーションアイテムは期間限定の企画であるため、通常のシーズンコレクションとは別枠として価値を判断するとよいでしょう。具体的な相場については、旧版記事にあったような固定的な価格帯を鵜呑みにせず、実際の出品状況を確認しながら判断することをおすすめします。

まとめ

Rejina Pyoの歩みを一次情報で確認し直すと、韓国・ソウルで生まれ弘益大学でファインアートを学んだPyoが、2008年にロンドンへ渡ってCentral Saint Martinsで学び、2011年の修了と2012年のHan Nefkens Fashion Award受賞を経て、2014年に自身のブランドを立ち上げたという流れが見えてきます。旧版の記事やCPTにあった出身校の誤り、勤務先に関する内部矛盾、夫Jordan Bourkeを共同創業者とする記述、そして「Maud Coat」「Aaron Square Toe Loafer」という出典不明の代表アイテム名は、一次情報を確認するかぎり事実と異なるか裏付けが取れなかったため、本稿ではあらためて整理しました。V&A博物館が収蔵するNaneバッグとBarbaraヒール、MulberryやMUNCH美術館とのコラボレーション、そして2022年と2025年に相次いで開いた二つのロンドン店舗という現在地も含めて、Rejina Pyoというブランドの実像を踏まえたうえで、中古でのアイテム選びに役立ててみてください。

編集方針について — この記事は GUZ FASHION 編集部のIMPORT BRANDカテゴリの編集方針に沿って制作されています。

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